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夢に至る初日の手続き 【専業旅婦はジョージア🇬🇪を目指す 2】

空港から路線バス337番で、今日の宿まで徒歩15分の最寄りのバス停で降りたら、いきなり目に入ったのはワイン🍷を売る店だった。

いい
何がいいって見慣れたワインボトルより前面に押し出されて売られているペットボトルだ。
もちろん醤油でないのは明らかで、正真正銘のハウスワイン。
ワイン発祥の地と言われるジョージアは、ハウスワインは、ちょっと前の日本人にとっての味噌のように、道民にとってのニシン漬けのように、韓国人にとってのキムチのように、各家庭で作られるのがスタンダードな物なのだ。首都のトビリシでは買う人も多いだろうし、有名なボトルワインもたくさんあれど、何ら素敵でもないラベルもないペットボトルを堂々と陳列する光景が麗しい。
そして掲げられた小さな国旗🇬🇪が迎えてくれるようだ。

旧市街の坂の途中に取ったホテルまでの道のりは、ワインの店を皮切りにとても旅情を誘う好ましい光景が現れる。

橋を渡った旧市街には絵本の中のようなアルメニア大聖堂が
ナリカラ砦に至る相当な急坂を上ってホテルにたどり着く

よその国に着いた初日の懸案事項は決まっている

❶まず入国できたら一安心

簡単なようで、かつての旅行では相当難関だった。
次々便が到着しイミグレ前はすし詰め状態にも関わらず更に到着便を迎えた状況下で西洋人ツーリストから「また次の便到着したよ〜 おめでとう!我々はどうなちゃうんだろうね〜 いつか入国できるといいね〜」とやけっぱちの拍手が巻き起こったバリ🇮🇩デンパサール空港を思い出す。
明らかに精神がイっちゃってる感じのお兄ちゃんが、インド🇮🇳ーパキスタン🇵🇰国境で怪しく踊っていて、次に並んだ私の番がなかなか来なかったのを思い出す。
ネパール🇳🇵からチベット国境の雨季で崩れた道を2日間歩いてたどり着いたヨーロピアン3人グループの一人だけ、中華人民共和国🇨🇳ではなく中華民国(台湾)🇹🇼のビザしか取っておらず揉めに揉めていたのを思い出す。中国の本領発揮でイミグレの人が怒って窓口を力まかせに閉めてしまい、出国するだけの罪のない私までとばっちりで待たされたのも思い出す。残り二人が見捨てて入国しようとするのもわからなくもない致命的なミスだが、台湾ビザ君も無謀にも正当性を主張して戦っていたのが印象的だ。英語を解さない職員相手に勝ち目などハナからないが。

21世紀のジョージア🇬🇪トビリシ空港のイミグレでは、もちろん何事もなく入国スタンプをもらえた。
何と1年間滞在できる。これは長期滞在する外国人にとってはありがたい。というか だから長期滞在のノマドワーカーがここに多い訳だ。
ここがソ連だった頃、こんな風に観光で呑気に入国はやはりなかっただろうか。

❷通貨を替えられれば万々歳

両替所のカウンターもあるけれど、空港はレートが悪いのは周知の事実。銀行のATMで直接カードで引き出せたらとても楽。
とは言っても空港で全く読めないジョージアアルファベットのみの画面表示のATMに一か八かでカードを突っ込んで「ENGLISH」の文字が出てきた時の安心感たらない。怖いけど突っ込んで何とかなった。

画面にジョージア語しかなくても
カードを突っ込むと道は開けた

❸スマホが使えるようになれば言う事なし
ネットがない時はどうしていたんだっけ?という程、情報は紙媒体や人に聞かなくても相当得られる。目の前の物を見ずに盲信するのはもったいないけど、方向音痴だからGoogle Mapで旅行が変わった。
空港でMAGTIのSIMカードを買い、大きな安心を得る。

この3つは大抵の旅行者にも必須だろうが、自分の旅行で付け加えるなら

❹公共交通機関で市内に移動する

を課している。
そのためには着く時間帯を考えてフライトを決めるし、(そのくせ夜行便苦手だからジョージアへの道も厳しかった)、荷物を小さくする事は厭わない。
そもそも夜中に着いたり、慣れない所でタクシーを利用するのはこの上なく苦手なのだ。
今は違うってわかっていてもタクシーアプリがあっても、変な所に連れて行かれたりボラれたりするという例を20世紀の中国やインドなんかで見聞きし過ぎて、「楽したいからタクシー使っちゃおう」とはどうしてもならない回路が出来上がってしまっている。
しかし、空港内で「タクシー?」と声をかけてくる人はいなくはなかったが、驚くほどあっさりしていた。
外の乗り場で路線バスを待ち、乗り込んで「本当かな?」と疑いつつクレカをピッとタッチした。
何とトビリシの路線バスも地下鉄も、クレカのタッチ決済が可能という噂は本当だった。おまけに一度ピッとしたら1時間半以内は乗り換えてもその金額でいける。
明細には1時間移動で使ったバス料金87円(1.5ラリ)がトビリシにいる間並ぶことになる。
そして実は路線バスや電車といった地元の多くの人が普通に使うものの中で、会話、服装、ごく普通の街並みに触れるのは、好きな作家の本のページを初めて開くような楽しさがある。

❺宿にたどり着く
かつての20世紀の旅行では泊まるところは、予約できるようなところは大抵高級ホテルだったので、安めの宿の密集地へ行ってその場で探していたが、さすがに今はネットで予約済み。
ノミや南京虫(と言われてた虫が今はトコジラミとして新たに日本でも被害報告が)がいても、ジャンキーが混じっていようと都市部では安宿のドミトリーに泊まっていたのは、
そういう剥き出しのリスクはまだ人目がある所なら本当にひどいことにはならないというのが身に染みていたからだ。当時若い女だったから、客引きに連れていかれた部外者の出入りが多い宿で軟禁されるような目に合う方が怖かったし。
でもまずそこまでたどり着かなければならないのは同じ。
着いて、予約通りの部屋をもらえて、水やお湯や電気が出るのを確認する儀式は必要。
キレイでも、ちゃんとしてても、日本より停電や故障はよくあることだから。

ベランダから見える風景だけでも来た甲斐がありそう
特にここでの3泊だけでトンボ帰りする連れ合いにとっては

❻夕食にありつく

初日は夕食にありつければもう完璧だ。
まだ日は高いけど 時差と長距離移動と寝不足でこのままだと日没と同時に部屋のベッドで寝てしまうに違いない。
という事で近くのレストランで17時前に夕食を取ることにする。

英語表記もあるメニューだが初めての注文での難易度は高め

飲み物はさっそくハウスワインといきたいけど、機内で酔いが回って今の状態だとべろんべろん確実なので私はパスし、レモネード

レモネードと言うが適当にタラゴンフレーバーを頼んだら
見事にハーブのタラゴン風味 そしてメロンソーダのようなすごい緑
連れ合いのビールは繊細な泡でやけにうまい

何がどのように来るかわからないまま、一か八か的賭けでオーダーしてみたが、ものすごくハマった。賭けに勝った気分。いちいちとてもおいしい。それでいてスパイスとハーブが効いて初めてなのにどこか少し覚えがある。

ハチャプリ(パン)だがかまどで固く香ばしく焼かれている
ジョージアではスタンダードなロビオ(レッドキドニービーンズ🫘)のマッシュ入り
国民食ヒンカリ(右)の形につられて小籠包を想像してはいけない
元々モンゴル発祥で広まり小籠包、餃子、モモと四方で広まったと言われ
肉汁ブシャーの旨さは同じだが 
茹でてある事と対象物がないとわからないであろう大きなサイズが想像を超える
左のアジャブサンダリは トマト、ナスのラタトゥーユ的な物が
ハーブ、スパイス、ナッツで和えられ クリーンヒット
トルコが近いのでケバブもジョージアアレンジで食べられるようだ
本場の肉肉しさと香味野菜の取り合わせは相当うまい

ビギナーズラック?
いや、料理が大変においしい地に来たのだ。







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