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妄想昭和歌謡 す 「すみれ September Love」一風堂

昭和57年 歌 一風堂 作詞 竜真知子 作曲 土屋昌己

昭和の方だからSHAZNAのカバーでなく一風堂の元歌の方である。
正直なところ曲としてかなり好きな部類だ。

この曲を聴くと印象の相反する二人がそれぞれ曲に合わせて体を揺らしているシーンが交互に脳内を駆け巡る。
どちらも非常にキャッチーではあるが若干の違和感があるところがまたいい。

化粧品キャンペーンCMでのヒットだ。

カネボウのCM内で体を揺らしているのは、その時を代表する女優 ブルック シールズ。
一直線の眉毛の彼女は「青い珊瑚礁」「エンドレスラブ」によってその頃同年代の私たちの憧れだった。


わずか12歳の娼婦役を演じた「プリティベイビー」を見るにはちょっと子どもだったが、こっちなら見れると、友達が連れ立って見に行っていた。その時は性的なコンテンツ有りだとしても未成年同士でも見れたのだ。
私は数年後のテレビ放映までお預けだったが。

プリンストン大学に入学したことで頭もいいのだと驚嘆されたのも、来日して黒柳徹子とも桂三枝とも少しもえらぶるところなくニコニコ応対してますます熱狂されたのも記憶にある。
どう見ても感じまでいいんだもの。
Wikipediaには大学を首席卒業とあったので、入学よりさらに今驚いている。

体を揺らしていると表現したのは、踊っているとするには少々動きが足りないからである。保育士さんが歌いながら手遊びしてるような動きである。
かPPAPレベル?
それが上り調子とはいえまだまだ畏れ多くも欧米と構える時代、アメリカの人気女優を起用したはいいものの、予算が足りなかったのか、おこがましくてちゃんと面と向かって振り付けできなかったからか、時間がなくて彼女にお任せにしたからかはわからない。
でもこの場合顔さえ表情さえ映っていればいい気がするほど、日本でもブルック シールズは大人気だった。
春の花のすみれがSeptember だろうと、「ペンパイナッポアップルペン」であろうとなんでもいい。違和感には何も気づかないことにして見ていたくなる程彼女はキレイだった。


ザ ベストテンなど歌番組で体を揺らしていたのは、曲を作って歌っている一風堂の土屋昌巳である。別に揺らしているのではなく、歌いながらギターを弾いているので揺れているのだが。

研ナオコ似と誰もが思わずにいられない、その一度見たら忘れない風貌で、音楽的にはこの歌で初めて知った人でももう動かしようもないハイクオリティ。ギター演奏。
あまりに印象が強くて、そのがっつりメイクにパープルも使われているような気がしてきて、つい ブルック シールズ ではなくこっちがすみれ色の目元だっけ?と思いそうになる。
実はブルックシールズなしで一風堂でもいけたんじゃんじゃね?と思うインパクトだった。

当時春は唇、夏は焼けた肌、秋は目元、冬は基礎化粧品と、枕草子とか俳句の季語レベルで資生堂とカネボウ、たまにコーセーが華麗なキャンペーンで戦いを繰り広げていた。
私もガッツリ思春期あたりにぶつかっているので、憧れたのは確かだ。
調べると82年秋のすみれSeptember Loveに対するライバル資生堂のキャンペーンソングは「気分はフェアネス」だった。うっすら聞いたことがあるような気はするが見た記憶はないから、この期はカネボウの圧勝のような気がする。

でもどうなんだろう。
こんなあくまで欧米人の豪華な人気女優がモデルで、一般的に平たい顔の日本人が同じメイクをしたとして、勝算はあったのか?買って実際使ってみてブルックのようなゴージャスな陰影ではなく、DVとか寝不足を想起されたりしなかったのか?
CMとしては圧勝でも、昭和終わりの日本の女子が本当にこれを見てカネボウレディ80ですみれ色メイクをした場合の評判。
今なら口コミサイトで⭐️⭐️⭐️とか見れるんだが。
いやもしかしたらそこまで考えて微妙にダンスをダサくして親近感持たせたとか?

と、ここで思い出した。
今上天皇がまだ浩宮殿下の時代、柏原よしえと共にブルックシールズのファンであったことを。イギリス留学時の寮の部屋に二人のポスターを貼っていると報道されていたことを。
180cm以上ある長身の彼女と対面したこともあり、大変うれしそうにかつ堂々とアドレス交換したというのは、当時女子だった私達の間でも好評だった。あれ?その写真かなんかを見たような気がするが、記事だけ?確かに友達とその話をした記憶はあるんだけれど。
ほとんどの日本の男なら気後れしそうなのに、全く臆することのない姿を感じとって、何かやっぱり一般人を超越していて究極の育ちを表していそうだったからだ。

柏原よしえの方はひとまずおいておくとして、ブルック シールズに私は雅子妃に通ずる系譜を見てしまう。
とびきりの知性やらゴージャスさのある美貌やらそれでいて高慢さがなく努力家そうなところやら。一般人のちょっと女が下の方が気分がいいっていう昭和の価値観持っていたら怖気づいてしまいそうなスペック。
チンケなプライドなしに、まっすぐにすばらしいと思う女性を望んだらブルック シールズや雅子様だったのは当然かも。

画質も音質も良くないけれど、探していたらまさに当時の ザ ベストテン の動画があった。
これ。
で、見ていたらこれはロンドン、テムズ川のタワーブリッジあたりで中継されているようである。
82年にはまだ留学されていなかったようだが、「テムズとともに」の当時浩宮様とブルック シールズをすみれSeptember  Loveで図らずも繋げたのが一風堂?
そんなわけはないか。

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