カーペットパイソンの繁殖に関する記録
今年(2022年)人生初のカーペットパイソンの繁殖に踏み切りました。
その時の記録を覚えてる範囲で備忘録的に記載してみます。
【オスメスのステータスと産卵まで】
オス キャラメルゼブラ 3歳 2800g
メス ジャガー 4歳 4200g
上記がクーリング前のステータスです。
2021年9月くらいから本格的なクーリングに備えて食い溜めをさせました。
実は前年にも「クーリング→オスメスを同じケージで飼う」を、行っていたのですが交尾をしてくれませんでした。
びびってクーリング温度を22〜24度くらいをキープする形でやってたのでクーリングになってなかった可能性を考え今年は18〜20度まで落とした環境でクーリングを行いました。
餌を与えるのは10月までで止めてそこから徐々に温度を下げて11月中旬には20度になりました。
10月までの餌やりでオスもメスもしっかり太らせていたので
クーリング中の断食は問題ないと判断しています。
2月くらいから温度を上げ始めて3月初旬には28度程度になったのでオスメスを同じケージで飼育しました。
しかし最初の1週間は交尾どころか盛る様子も見られませんでした。
で、3月の中旬(18日くらいだった気がする。)
カーペットを全て部屋に出して部屋んぽさせていたらオス2匹(うちには別の雄:ジャングルが居ます)が喧嘩しました。
これは僕の不注意によるところが原因なので誉められた物ではないのですが結構ガチガチに巻き付いて喧嘩してました。
その後、3/22交尾を確認しました。
個人的には先の喧嘩がホルモンを刺激したんじゃないかと思って居ます。
トカゲの繁殖などではオス同士をあえて喧嘩させて繁殖行動を促すような事をする(めっちゃリスキーです。特にモニター。本当に事故ったら死にます。)場合がありますがそれと同じことかと思います。
あと交尾を確認したのはそれもオスメスの部屋んぽ中でした。
ずっと同じケージに入れていても交尾しなかったのに部屋んぽさせたら交尾した。。。
よくわかりませんが相手の匂いもしくはホルモンの匂いに慣れてしまうと交尾行動に移らない場合があると聞いたことがあります。
政略結婚より自由恋愛の方が愛が燃え上がるということですね。
、、、、、、?
交尾は1時間ほど見て居ても離れる様子は無かったので一旦放置してその日は寝ました。
その後メスは別ケージに移し少し高めの温度30〜32度で管理しました。
個人的な経験則でカーペットは28〜30度が適切ではありますが32度くらいで飼育した場合の方が状態がいいと思っていて、母体は冷やすなという人間の先人の教えにも習い高めの管理です。
もちろん状態をよく保つために湿度も60%程度でキープ。
とにかく少し高めの設定で、「環境を変化させないこと」を意識しました。
【産卵から卵の管理環境 謎のこだわり】
結果5/19に産卵を確認しました。
カーペットの交尾から産卵までの期間は2ヶ月前後と聞いて居たのでほぼ適切。
高めの温度設定にして居たので少し早かったのかなと思って居ます。
交尾から40日くらい経った辺りから急激にお腹が膨らんできました。
それまではただ太ってるのか妊ったのかの判断はできませんでした。
卵の管理環境についてですが
お金がある人はインキュベーター?などを導入した方がいいです。
僕はレプタイルボックスの下に園芸用の軽石を敷き詰め、その上に園芸用の網を敷き、その上に赤玉土(大玉)を敷きました。
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準硬質赤玉土 18L 2袋(36L) 小粒 プロも使う型崩れしにくい赤玉土です 植木鉢 鉢 バラ ばら 薔薇 園芸 庭 ガーデニング https://amzn.asia/d/34XS0MF
バーミキュライトなどの選択肢もあるところ、僕としては赤玉土を選びました。
理由としては2つで
バーミキュライトだと赤玉土の大玉に比べて細かいので卵底面の通気性が確保できないと考えました。
2つ目は赤玉土の持つ自浄作用的な部分に期待しました。
アクアもやってる勢的には赤玉土の浄化作用は信用に値します。
正直結果を見るとこの選択が正しかったとは言えないかもしれません。
その辺りも後述します。
卵の管理環境は湿度は高ければ高いほど良いという説があります。(諸説あります。)
湿度が低いと卵が潰れてしまうとのことです。
水は園芸用の網のラインまでヒタヒタにしておくと赤玉土が下の水を吸ってかなり高い湿度が保たれます。
そのレプタイルボックスを普通の飼育用ケージ(6045)にダントツを設置した物の中に入れて2重構造の管理にしました。
高い湿度を保ちつつ温度を安定させる為にこの形を取りましたが、多分もっといい方法もあったと思います。
そのレプタイルボックスに回収した卵を入れていくのですが、ここで後々後悔するミスをします。
卵を確認した段階でかなり卵同士がくっついて居て剥がせないと判断したので塊のままレプタイルボックスに入れました。
これはおそらく良くなくて出来るだけ細かく剥がしてレプタイルボックスを2個用意して卵を入れればよかったです。
なんで後悔したかは後述します。
カーペットの繁殖を検討している人にとっては当たり前ですが、卵を回収、剥がし、孵化器に配置する際には卵の角度を変えないように注意する必要があります。
なんかよくわかりませんが卵の中で核ができている場合角度を変えてしまうと核が窒息死してしまうためです。
複数の卵が固まった状態になるの卵が転がるのを防ぐ役割もあります。
人間側でそれを剥がすのであれば卵の角度を変えないのは絶対です。
あらかじめ卵の上を向いている方にマジックかなんかでマークをしてから剥がすようにしたほうがいいです。
またミスや地震でコロンと転んでしまったりしないように赤玉土を少し凹ませて卵を配置する事をお勧めします。
卵の孵化器はそんな感じで、ダントツを使って温度を28度に保ちました。
爬虫類の卵は管理温度が高く慣ればなるほど早く孵化する傾向があります。
32度程度で管理しても良かったのですが、その場合カビや雑菌の繁殖速度が速くなる気がしました。
ここから2ヶ月半ほどこの環境から動かさない事を考えて今回は温度は低めに設定しました。
産卵した卵を孵化器に移した次の日にキャンドリングを行いました。
バチバチに血管が張っている卵を見た時はかなり感動しました。
このために色々調べたりとかしてきたなぁと思いました。
この時点で25個くらいの有精卵を確認しました。
この後、波乱の卵管理編です。
【卵の管理環境 あらゆる戦いと敗北】
上記の卵管理環境で管理を始めたのが5/19でした。
一応孵化予定日を7/20 (おおよそ2ヶ月)として管理しました。
とにかく湿度と温度を一定に保つ事を意識しました。
湿度は常時80% 温度は28度これを2ヶ月維持する。
気象変化の多い日本では難しいかつ、時期的に寒い日は28度を切り暑い日は30度を超える時期ですので基本的に室温を26度程度にキープしダントツで孵化器の中は28にキープする事。
水を絶やさない事。
霧吹きを絶やさない事。
霧吹きは卵にかかっちゃダメです。ケージの側面に吹きかけるやつです。当たり前ですね。
卵はこう見えて卵の表面で皮膚呼吸のようなものをしているので卵の表面に水がつくと窒息死します。
環境キープするのは一つ一つのタスクは大したことはないですが毎日継続的に行うのはとても忍耐力がいります。
管理をし始めて1ヶ月くらい経つといくつかの卵は潰れたり変色が見られるようになりました。
ここからが後悔編なのですが、
明らかに死んでしまった卵は表面にカビが生えたりし始めます。
当然カビが生えてしまった卵は他の生きた卵に悪影響なので切除しますが。
先述した通り僕は卵を塊のまま保管してしまったし、生まれてから1ヶ月がたったガッチガチに固まった卵がそう簡単に剥がせるわけがありません。
生きている卵を傷つけないように死んでいる卵を割って外していくのですが、もう綺麗に剥がすのは無理なので裁縫用の小さい鋏を使って卵自体をカットしていきました。
そこでもっと良くない事が起きるのですが死んだ卵の半分腐った卵白が生きた卵の表面に着いてしまいました。
もちろん水洗いすることもできないのでティッシュなどで拭き取るのですが、卵白がついたところはおそらく呼吸もできなくなるし卵白がついているのでそこからカビが発生します。
もう最悪です。
死んだ卵を切除するために他の生きた卵が汚れカビが伝播していくみたいな状態になりカビが表面に生えた卵は高確率で死んでしまいます。
そんな感じでカビを出来るだけ発生させず死んだ卵を切除するような神経を削る作業が毎日するタスクに追加されました。
最初からまだ卵が柔らかいうちに卵同士を引き離して管理しておけば良かったのです。
めっちゃ後悔です。
しかしあの柔らかい状態の卵を外す度胸が当時の僕には無かったので初心者の判断できる限界だなと思いました。
死んでしまった卵は、本当に申し訳ないと思いながら後半の1ヶ月を耐え抜く日々になります。
7月中旬になると死んで切除した卵の中から蛇のような形の何かが見られるようになります。
!!!!グロ注意です。!!!!
完全に死んでる、かつ未発達なのでよくわかりませんが体が真っ白でパターンがない、、、
母親がジャガーだし。。。まさかな。。。
などと思いながら(意味がわかる人にだけわかれば良いです。)死んだ卵は全て解剖していきましたがどれも似たような形です。
おそらく表面にカビがついたことによる窒息死だと思って居ます。
シンプルに僕の管理環境の悪さが原因なので死んだ卵にあらためて申し訳ないなと思いながら供養しました。。。
【ついにその時が】
元々7/20を孵化予定日と設定して居ましたがその時が最初に来たのは8/7でした。
低温管理ではありましたがまさかここまで遅れるとは、、、
てか、孵卵器の環境が悪かったのかと色々悪い予感がしましたが無事一匹目の、卵が孵りました。
しかも一匹目からゼブラのモルフ持ちが出てくれました!!!
あとあとジャガーも持ってる気がしてきています。
次の日に2匹目
これは確実にゼブラですね。
あ、ちなみに一匹目が生まれた時点で残っている卵は全てカットを行いました。
そしたら3つ目の卵がこんな状態になって居ました。
ちなみにこいつこの状況で3日過ごしたのち出てきました。
うん、わかるよ。外の世界は辛いからな。僕もできることなら卵の中に帰りたry
3個目の卵が出てくるのを渋っているうちに4個目の卵が孵りました。
こいつはジャガーかな、、、?
ギリギリの背面ストライプがあるようなないような。笑
3個目の卵のやつもその後出てきました。
なぜか泥だらけになってました。。。
以上です。。。
最初25個くらいあった卵ですが
ちゃんと孵化したのは4匹だけでした。
本当に卵の管理が難しくて多くの卵を失ってしまいました。
飼育者として死なせてしまった卵には本当に悪い事をしました。。。
しかし生まれた命もあります。
この4匹を大事に育てていこうと思いました。
【FSと初給餌】
生まれた子たちは2週間程度でFSを迎えました。
その3日後くらいに緊張の初給餌を行いました。
とりあえずピンクマウス のS
今日は寿司だな!!!
あ、ちなみに生まれた子たちは虫籠に赤玉土と軽石で管理しました。
湿度を安定させるために土を使いましたが給仕後はペットシーツで管理して居ます。
しかし4匹中3匹の餌付けは完了しましたが一匹まだ食べてくれない子がいます。。。。
まだ試してないことはいくつかあるので絶対に4匹全員健康に育つようにできることは全てしようと思って居ます。
【産卵後の母体のケア】
時系列に記載を漏らしましたが産卵後の母体のは非常に衰弱して居ます。
その辺のケアも必ず行わなければいけないのでそれについて書いていきます。
まず前提としてカーペットパイソンの産卵は母体にとってとてもリスキーな行為です。
卵を産んだ後母親が死んでしまうケースはとても多く聞きます。興味本位でカーペットパイソンに産卵をさせるのはお勧めしませんし、僕のクソ記事だけでなくインターネットにあるすべての記事を読み、各種雑誌や、できれば大学の研究論文にも目を通し、ショップ店員と仲良くなって情報を集めた上で行ってください。
さて、ではまず環境ですが温度と湿度は高め、
32度の60〜70%をキープしました。
ほとんど風邪をひいた時と同じ対応をしました。
それから母親は卵を取り上げると高確率で拒食に入ります。
というか「ご飯も食べずに卵を守るモード」が抜けないんですね。
自然界では卵を狙う様々な生き物から卵を守らなくてはならないので、その時期はめちゃくちゃ荒くなります。
噛まれることも覚悟してください。
その上で卵を守るモードを解く作業をしてあげないといけません。
色々とできることはありますが絶対やらないとダメだと個人的に思っているのは以下です。
まず温浴で体を洗ってあげてください。
身体中に卵の匂いがついている状態になりますので当然卵を守るモードが抜けません。
できれば嫌がらない範囲で体を擦って自分の体液を洗い落とすこと、
あらったらタオルで拭くなどしてさらに体についた体液や付着物をとるようにしてください。
次に卵が産んだケージは使わないでください。
そのケージには卵の匂いが付着しているので別のケージを用意して引っ越しをさせ、元のケージは次亜塩素酸水などできれいに掃除してから別の整体を入れてあげてください。
餌やりですが、長期間何も食べない、かつ腹の中に巨大な卵が大量に入って居た状態なので、軽めの食事から始めましょう。
うちの蛇は全員ラットとマウスを両方食べられるようにしてありましたのでいつもはアダルトラットLLなどを与えて居たところをアダルトマウスのLくらいにしてみました。
そこから1週間ほど期間を空けてホッパーラット→
ラットアダルトとサイズアップしていきました。
産卵直後の母蛇は骨が透けるほどやせ細りますが焦って大きい餌を与えると、弱った胃に急に餌が入ることになり吐き戻しの原因になるかと思いそのような対応にしました。
もちろん全く拒食が抜けない、やせ細りすぎて限界が近いという場合であればアシストや強制での給餌を視野に入れてください。
うちの子は運良く上にこの方法で平常運転に戻ってくれたので助かりました。
こんな時のためにあらかじめマウスとラット両方食べられるようにしておいてよかったです。
卵を管理する間母親には餌を与え続けますが、卵の匂いを嗅いでしまうようなことはないようにするのも気を使いました。
卵をレプタイルボックスをケージの中に入れる2重構造にしたのはその辺の意図もあります。
このやり方でいまでは体格も全盛期と同じくらいに戻りました。
それでもカーペットの産卵は2年連続は絶対に避けてください。
母体への負荷を毎年かけると仮にその時復活したとしても生涯寿命は大幅に減ってしまいます。
大切に長く飼育するために、最低でも2年ごとかそれ以上にスパンを開けて産卵は行ってください。
【さいごに】
うん、かわいいですね。
カーペットパイソンの繁殖のために何年も調べて繁殖期間中も様々な試行錯誤をしましたが生まれた子たちと元気に生きる母親の姿を見れば苦労なんて無かったように思えます。
これからカーペットパイソンの繁殖をしようと思ってこの記事を見た人は、
180%の知識を持ったと思えるまで調べてください。
その上でその全てを疑って目の前の蛇と向き合ってください。
結局は個体差で前提知識はどうせ覆ります。
しかし知識がなくどうしたらいいかわからないという事にならないように。
こうなるならこうすると自分で判断できる知識と自信と、失敗する覚悟と生き物の命を扱う覚悟を持って行ってください。
以上です!
正直客観的にみたらこの繁殖は失敗だと思います。
4匹しか孵りませんでしたから、
同じ失敗をみんなにはしてほしくないのでこうやって記事にして居ます。
なんか質問とかあったらTwitterの、@Limbor55_rptrにDMいただければ可能な範囲で対応します!
それではまた、