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日本人女子がフィンランドで献血に行ってきた話
きっかけは大学のベトナム出身の友人が教えてくれた時でした。
「え、留学生でも献血ってできるんだ〜」
日本にいた頃でも何度か献血は経験しているので、文化の違いを発見のためにも良い機会だ、と足を運んでみました。
初めましての方は初めまして。2024年8月からフィンランドのタンペレという都市で観光マネジメントを学んでいる大学生です。現在11月ということで、フィンランドに来てからおよそ3ヶ月経ちました。先日、授業で仲良くなったベトナムの友人が献血に行ってきたと話題に出してきました。イメージとして海を渡ってきた民は他国の献血には貢献できないと先入観を持っていたため、その時点でかなり驚きました。そこで帰って調べてみると、留学生でもフィンランドの個人IDを持っていること、フィンランドに滞在して3ヶ月以上経っているという条件を満たすことで、献血が可能でした。なら早速行ってみようじゃないかと、海を越えての献血体験レポートを書くきっかけとなりました。
①献血できるかの事前確認テスト
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まずフィンランドの献血センターのサイト(https://www.veripalvelu.fi/en/)から、自分が献血可能なのかテストします。ここで英語の単語がいくつかわからなかったので翻訳に頼りながら、示された選択肢から答えます。いくつかわからなかった単語メモ:
anaemia=貧血
menstrual bleeding=月経出血
infertility=不妊
predisposition=素因
②献血センター訪問日予約
自分が献血可能だと分かったら近くの献血センターと献血可能な日を調べます。
フィンランドにある献血センターの具体的な数はわかりませんが、地図を見る限りかなりの数があります。
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自分はタンペレのKoskikeskusというショッピングセンターの中にある献血センターを予約。センターは月曜〜金曜の朝11時から開いています。朝方人間なので朝イチの時間帯で予約。
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オンラインでの予約システムは日本とほとんど変わりありませんが、時間は変われど、日本は土日祝日でも受付しているのでそこに働き方の違いが出ているのかもしれません。
③当日の事前問診(オンライン)
こちらの問診は予約確定時点で送られてくるメールから、またはフィンランド赤十字の献血サイトから記入可能です。献血日の前日か当日の記入がマスト。これまた病気や体の状態に関する専門用語があって難しかったので、単語メモを置いておきます。血液を使う医療行為なのでわからないから適当はダメ絶対です。
platelet=血小板
apheresis=アフェレーシス(成分採血)
plasma apheresis=プラズマアフェリーシス(血漿交換療法)
meningeal=髄膜
a corneal transplant=角膜移植
narcotics=麻薬
hepatitis=肝炎
sleep apnoea=睡眠時無呼吸症
atopic dermatitis=アトピー性皮膚炎
convulsions=麻痺
aorta=大動脈
endoscopy=内視鏡検査
syphilis=梅毒
intoxicated=酔っ払った
④献血センター到着
わたしは献血当日は11/19でしたが、あいにくの雪模様。めちゃ寒でした。
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ショッピングセンターに到着して、献血センターは一階にあると思い込んで10分くらい彷徨った後に館内マップ確認したら地下に。正面玄関目の前のエスカレーターを降りたらすぐありました。センター内はとても清潔感があって、受付に声かけると担当の人がにこやかに対応してくれました。「Finnish?」と聞かれたので英語で、と答えたら即座に英語対応してくださりました。いやすごいなぁ…これが特別なスキルじゃなくて、母語がフィンランド語にも関わらず英語も当たり前に話せる社会システムには、今だに驚いてしまいます。
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⑥受付番号を発行、対面問診
受付を終えて、カフェテリアで飲み物を頂いて準備ができたら、問診のための番号を発行して呼ばれるまで待機します。この番号発行が機械で行われるのですが、画面をみた時フィンランド語しかなく、ワァ…となってスタッフの方にどうやって操作しますか…と聞いたところ、優しく説明してくださいました。そして発行後に画面確認したら左上に言語変更のボタンがちゃんとありました。恥。
自分の番号が呼ばれ、指定された問診室へ。センター内自体はそんなに広くないのですぐわかりました。
問診室では、事前にオンラインフォームで記入した自分の名前やID、電話番号、メールアドレスの確認をしました。担当のスタッフさんがメガネをオフィスに忘れたらしく、個人情報はスマホを見せながら確認していましたがあまりに見辛そうだったので、私が読み上げて確認が無事終わりました。その後はオンラインでの事前問診の内容確認をしましたが、過去半年以内にフィンランド外に出たかという質問に、私は日本に住んでいたことと、エストニアに旅行に出たことを申告していました。なのでスタッフさんはちゃんとマラリア警戒対象国でないかの確認リストを見てOKを出してくださいました。また、過去に献血経験があることを伝えたら、フィンランドでは若年女性は1年に一回の献血が推奨されていると教えてくれました。でも実際可能なのは女性の場合、前回の献血から3ヶ月、年に4回可能です。日本では女性400ml献血の場合、前回の献血から16週間後、およそ3ヶ月なのでほぼ同じですね。しかし、日本では回数の上限はないですが、女性は年800mlが上限と、献血量での制限があります。
口頭問診が終わったらヘモグロビン量の検査。ここは日本と同じですね。日本でもフィンランドでも必要ヘモグロビン量は同じで、125g/L (12.5g/dL)が必要になります。指先をぱちっとして採血する方法も日本と同じですが、日本では寄付する血液を採取する腕とは反対の腕の手指から採血して検査するため、だいたいいつも採血する腕がどちらか聞かれるのですが、ここではありませんでした。でも特に問題はなく、ヘモグロビン量もラインを越えていたので無事通過。
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採血場所に移る前に、スタッフさんから渡されたのは鉄分のサプリメント2パッケージ。若年女性のドナーには採血する分、鉄分をとって貧血防止するように、ということで配られているようです。日本ではお菓子!!飲み物!!贈呈品!!なイメージなのでこうしてサプリメントをもらうのにはびっくりしました。
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⑦採血
いよいよ採血。案内されたのは日本のものと似た採血用の可動椅子。歯医者さんみたいな足を伸ばして座れるやつです。私は座る時、いつも日本では靴を脱いでいましたが、こちらでは脱がなくてもいいように足場のところに透明カバーがついてました。
採血する前に腕の消毒をして、乾くのを待っていよいよ採血。ここで初めて知ったのですが、採血量は460ml。そういえば予約の時に採血量の選択肢が無かったことを思い出しました。日本では基本200mlか400mlですが、フィンランドはデフォルトで460mlのようです。いつもは400mlなのでちょっと心配にはなりましたが、まあヤワな体じゃないので大丈夫でしょう、と踏んでいざ採血針とご対面。…おや?なんか太いぞ?勘違いかと思いましたが、どう見ても明らかに日本のものより太いです。気になって調べてみると、日本赤十字で使われる針の太さは18ゲージ(1.2mm)、海外で使われる献血針は16ゲージ(1.6mm)。これは爪楊枝同等の太さらしいです。日本では採血者の恐怖心軽減のために細いものを使いますが、代わりに時間がかかってしまうようです。逆に海外では太さにびっくりはするものの早く終わるメリットがあるようです。
針の太さはG(ゲージ)という単位で表されます。海外で使用される全血献血用の針は、ほぼ爪楊枝と同じ太さの16G。日赤では一段階細い17G(外径1.4mm)を使っていましたが、数年前からはさらに細くなり18G(1.2mm)を採用しています。
世界的に見ても細い針で、針先が挿入される際の切開部を小さくするだけでなく、献血者の恐怖心の軽減にも配慮しています。針の先端部分は、“刺す”というよりも刃物のような鋭さで小さく切り開き、するりと皮下に入り込む形状。皮膚への引っかかりを感じさせない設計として2段階になっている角度にもコダワリがあります。安全面の配慮では、先端の刃面が長いと挿入時に血管を傷つけてしまう恐れがあるため、刃面の短いタイプを採用しています。
まあ刺さってしまえば痛みもほぼ感じなくなります。さくっと刺さって、だいたい全血採取には10分〜15分ほど待ちます。ここでも日本との違いが。だいたい日本では針を刺した後、タオル等で刺した部分を隠し、採血が終わるまでドナーの近くにはいますが、割とそっとしておいてくれます。しかし今回のフィンランドでは針を刺した部分は隠さず、スタッフの方は採血が終わるまでおしゃべりに付き合ってくださいました。他のドナーさんも数名いましたが、みんなスタッフさんがついていたので、これがデフォルトなのかなぁと思いました。おしゃべりは好きなので、留学のことやフィンランドの旅行先について話しながらのんびり過ごします。
採血が終わったら針を抜いて、ガーゼで傷口を抑えて包帯を巻いてもらいます。巻き終わりに貼ってもらったシールが可愛かったです。採血後5分は座っててねーといわれ、ノベルティを用意してもらいながら休憩。飲み物も用意してくださり、ジュースかお水、何がいい?と聞いてくれました。お水をいただきました。ノベルティはバッグとバッジをもらいました。私の今までのイベントたちのバッジが縫い付けられたカバンを見て、担当してくれたスタッフさんに「あなたはバッジが必ずいるわね!!」と有無を言わずノベルティバッグに突っ込まれました。ええそうですとも。よくお分かりで。
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⑧献血完了
献血後は日本でも言われるように、激しい運動や飲酒などの禁止事項を言われました。フィンランドを感じたのがサウナや湖での寒中水泳の禁止事項が入っていたことです。いやまあ日本でもしないと思いますが、口頭で注意喚起されるとちょっと面白いです。
そのままセンターを出るつもりでしたが、ランチ前ですが、小腹が減ってしまったのでクッキーと穀物のクラッカー?みたいなのをいただいて帰りました。
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最後に:フィンランドで献血してみて
今日フィンランドで献血してみて、より「生活してる感」を得た1日でした。最低3ヶ月の滞在条件がある献血に参加できたのは、旅行や短期留学では経験できないことなので挑戦してみて良かったなぁと思うと同時に、日本で献血に通っていた経験が活きて良かったなぁと思います。高校の頃は学校の帰りなどに寄って行けるほど身近に献血の存在があったので、「使えるものがあるなら使ってもらえたらいいなー」くらいの感覚で行っていたのですが、まさかこんなところで応用が効くとは思ってませんでした。日本の献血を知っているからこそ、フィンランドでの献血と比べてみることができたのでまた自分の知識の一つの糧になっていればいいなと思います。
とはいえ、日本とフィンランドでの献血の違いを比較してみると、特に針の太さの違いに顕現しますが、針を刺した時の隠す用タオルなど、日本ではドナーがいかに負担を感じずに献血できるかを考えられているように思います。ちなみに採血時間の問題も針の形や、スタッフの技量の進化によって格段に短くなっているそうです。将来的にも献血は続けていくつもりなので、献血の技術進化経過を見ることができるのが楽しみです。
そしてもしフィンランドに来て献血をしたくなった日本人がいた時に、少しでもこの記事が助けになりますように。