【LAD】2024 ドジャース戦力分析【投手ブルペン編】
みなさんこんにちは。さぁ本日は3月20日。待ちに待った開幕日です(ドジャース&パドレスのみ)。ドジャースの開幕ロースターも固まりました。
今回は今シーズンドジャースの戦力分析と言うことで、ブルペン投手陣を見ていこうと思います。ブルペン全体と選手個人の成績展望をまとめました。
選手の基本的な紹介も含んでいるので、「今年からドジャースを見始めるよ!」という方は選手名鑑のような感じで読んでいただけると幸いです。
先発投手編はこちら
ドジャースブルペンの近況
超優秀!
過去3年間のドジャースブルペンは毎年のようにエリートレベルの数字を並べています。
ポストシーズンでも異様な強さを見せています。
掘り出し物ザックザク!
ドジャースブルペンの成績を保っている一つの要因は掘り出し物が多い事です。編成トップのアンドリュー・フリードマンはブルペン補強があまり好きではないとされていて、その代わりに他球団で戦力にならなかった投手を
復活候補をしてたくさん連れてきます。
近年では以下のような例があります。
このような選手のことをDodgers NationのDoug McKainの言葉を借りれば
"Reclamation Project"と言いますが、もちろん万能ではなくシンダガードやリンなど失敗例も多いです。しかしシーズンに1人でもブレークすれば儲けものです。
24シーズン
現在の各投手の立ち位置は以下のような感じになります。
クローザーにフィリップス(Phillips)。ケリー(Kelly)とブレイジャー(Brasier)で7、8回をつなぎます。怪我から復帰するトライネン(Treinen)、ハドソン(Hudson)、ファイアライゼン(Feyereisen)はミドルリリーフでスタートするでしょうが、成績の具合によってはセットアップ・クローザー転向はあり得ます。リリーバー本職では唯一の左腕がベシア(Vesia)。もう一人の左腕のヤ―ブロー(Yarbrough)はロングリリーフ、スポット先発を担います。
マイナーには先発・リリーフの中間に位置するグローブ(Grove)、ハート(Hurt)がおり、リリーフ一本のバナスコ(Vanasco)、バーランド(Varland)、ゲージ(Gage)がいます。
昨年68試合で防御率1.20を記録したグラテロル(Graterol)
外部からのマイナー契約ではパドレスなどで活躍したラメット(Lamet)、クリスマット(Crismatt)、カージナルスで活躍したマクファーランド(McFarland)がおり、一人くらいは上がってくるかもしれません。
次からは各選手の情報や今季の展望を見ていきます。
たくさんの指標が出てきますが、特に見るべきモノを書いておきます。
指標のカラーリングは赤→良い、青→悪い、となっています。
クローザー Evan Phillips エヴァン・フィリップス
21年シーズン後にケンリ―・ジャンセンが退団してから、ドジャースはクローザーを固定していませんが、一番近い存在がエヴァン・フィリップスです。21年シーズン中にウェイバーでタダで拾ってきたドジャースで開花した選手の一人です。
2022~2023年の期間における防御率1.59はメジャー1位で、ジョシュ・ヘイダーやアロルディス・チャップマンのような派手さはありませんが、名門ドジャースでトップの活躍をするリリーバーであるだけの実力の持ち主です。
フィリップスの武器はなんといっても投球の半分近くを占めるスイーパーで、打者の左右を気にせずゾーン内・ゾーン外にどんどん投げ込んでいきます。
完全な主観ですが、スイーパーの操りに関しては達人の域に達している感じで、外角に逃がして空振り、ゾーン外→ゾーン内に曲げて見逃しなど相手を抑える引き出しをたくさん持っています。
強メンタルの持ち主でもあり、通算ポストシーズン防御率は0.00。特に22年の対パドレスNLDS最終戦においては敵地ペトコパークでBeat LAが響く敗北確定の空気で、雨も土砂降りの中、三者連続三振に切りベッツ、フリーマン、トレイ・ターナーと続く打線に最後の望みを繋げました。(結局ヘイダー打てずに負けたけど)
昨年同様クローザー固定はされない見通しで、火消し、試合の締め、上位打線の制圧など様々な役割を任せられるでしょう。
今年も例年通りの活躍を見せてくれると思うので、ワールドシリーズの最後の三振を取ってフィリップスの苦労が報われてほしいです。
セットアッパー Joe Kelly ジョー・ケリー
ジョー・ケリーは背番号を譲ったり、奥さんが大谷さんのリクルートに積極的だったことで知っている方も多いのではないでしょうか。
昨年の途中までホワイトソックスに所属していましたが、デッドラインを前にトレード加入、今季は単年契約で再契約となりました。本人はドジャースが好きなようで、再契約を疑わなかったといいます。
ケリーは最速100mphを超えるフォーシーム/ツーシームと球威のあるスライダー/ナックルカーブを中心にバンバン相手を制圧していきます。特にナックルカーブは異質な球種で、カーブなのに球速が時には150kmに達するというものです。メジャーは恐ろしい世界ですね。
制球については良いほうではなく、先日の韓国での試合では早速初球からぶつけていました。2020年のアストロズ戦での死球騒動は有名ですね。この事件があったことでLAファンの中ではヒーローとなり、人気者です。
今年で36歳となるケリーですが、昨年の奪三振率は13.73と支配力は健在です。球速で押すタイプなので怪我は心配ですが、ワールドシリーズリング2つの経験を活かして、頼れるセットアッパーとしての役割が期待されます。
セットアッパー Ryan Brasier ライアン・ブレイジャー
ライアン・ブレイジャーは昨年レッドソックスをクビになったのちドジャースで大復活を遂げた選手です。ニッチな広島ファンの方なら助っ人外国人としてのブレイジャーを知っている方もいるのではないでしょうか。
今季は2年契約で再契約となりました。
ブレイジャーはフォーシーム/スライダーを中心に投球を組み立てます。今季37歳を迎えますが、球速も95.7mphと平均~平均以上の水準です。また、ドジャース加入時に左打者対策としてカッターを導入しました。
これだ!と言う特徴はありませんが、投球術と総合力で打ち取っていくタイプの投手です。
ポストシーズンでの経験も豊富で、2018年にドジャースを打倒してゲットしたワールドシリーズリングを持っています。22年に68試合、23年には59試合とまだまだ投げられることを示しているので、今年も継続を期待しています。
ミドルリリーフ Blake Treinen ブレイク・トライネン
ブレイク・トライネンは2021年に72試合防御率1.99と活躍しましたが、22-23年は肩の怪我・手術で5試合の登板に終わり、今季復活を期す投手です。
今季はドジャースが23年の登板数に応じて変化するチームオプションを行使して残留させました。23年の登板数が0であることから契約額は最低の$1.0Mであるとされています(安い!)。復活すれば儲けものです。
トライネンは元々ナショナルズ/アスレチックス時代に超高速シンカーを投げる投手として知られていましたが、ドジャースに来てからはスイーパー型のスライダーを導入し、さらに飛躍しました。
映像を見ればわかるのですが、これが面白いように曲がり、ドジャース実況のジョー・デイビスも"Jeez!"と驚いていました。被打率は驚異の.074で打者を次々と制圧していきました。
春の試合を見ている限りではスライダーに衰えは見えないため、球速が戻っていればある程度の成績は残すと思われます。
ミドルリリーフ Daniel Hudson ダニエル・ハドソン
ダニエル・ハドソンは2022年にドジャースの一員として25試合に登板しましたが、6月24日のブレーブス戦で打球に反応した際に前十字靭帯を断裂し、2023年の7月に復帰しましたが次は膝内側側副靭帯を故障したことで再離脱し、今季はマイナー契約からの再出発となっていました。
現在37歳であることからシーズン前には引退も考えたハドソンですが、故障でキャリアを終えたくないとの強い意志からドジャースとマイナー契約を結びました。スプリングトレーニングでアピールに成功したハドソンは見事開幕ロースター入りを果たしました。
ハドソンはキャリアを通して故障に悩まされています。キャリア初期のストーリーがBackStage Dodgersでまとめられているので、良かったら見てみてください。(サムネがトレイ・ターナーですがハドソン出てきます)
ハドソンは平均球速97mphのフォーシームでガンガン押していくタイプのピッチャーです。怪我明けで球速低下が心配されましたが、対韓国チームの試合では平均95.3mphとそれ程の衰えはないようです。
2019年のポストシーズンではチャンピオンに輝いたナショナルズブルペンの一角として9試合に登板して4セーブを挙げています。
ミドルリリーフ J.P Feyereisen J.P ファイアライゼン
J.P ファイアライゼンは23年シーズン前にタンパベイ・レイズからトレードで加入しました。この時は肩の手術の直後で、ドジャースはリハビリで23年シーズンを全休することが分かったうえで獲得したことになります。
1年のブランクはありますが、手術前には22試合連続無失点を記録するなど実力のある投手です。
PodCastのFoul Territoryでは22年シーズンは故障を抱えながら登板していたことを明らかにしており、故障を取り除いたファイアライゼンがどのようなピッチングを見せてくれるのか注目です。
ファイアライゼンはフォーシームを主体にスライダー/チェンジアップの変化球を混ぜる投球をします。平均球速はそれほど高くはないものの、フォーシームのホップ量はブレーブスのスペンサー・ストライダー並みで、高めに投げ込み空振りを奪っていきます。22年のフォーシーム被打率は.051と全く打たれません。
ミドルリリーフ左腕 Alex Vesia アレックス・ベシア
アレックス・ベシアは本職リリーフの中ではブルペン唯一の左腕です。
21年にドジャースに加入し、3年間で160試合とブルペンの柱となっています。非常に闘争心の強い選手で、毎回相手を抑えた後や三振を奪ったときには雄たけびを上げています。
昨年は前半戦ピッチクロックの適応に苦しみマイナー降格となりましたが、マイナーで練習をして再昇格。後半戦防御率2.54と大きく立て直しました。
ベシアの特徴はなんといってもスピンの効いたフォーシームで、高めのゾーンに投げ込み空振りを量産します。22年シーズンの奪三振率はメジャー11位と、平均球速が遅いにもかかわらず高いパフォーマンスを見せます。
課題としては非常に荒れ球気味で、高い三振率の代償として四球で自滅することが度々起こります。
今季は昨年の続きができるなら22年のようなエリートリリーバーに戻れるでしょう。
ロングリリーフ Ryan Yarbrough ライアン・ヤ―ブロー
ライアン・ヤ―ブローはオープナー/先発/ロングリリーフ/ミドルリリーフと様々な役をこなせる"なんでも屋"です。昨年のトレードデッドラインで加入しそのまま残留しています。
何でも屋と言うことで、先発が崩れたときや故障者が出たときなどに試合の3~4イニングを食う役割を任される他、貴重な左腕としての役割も期待されます。
ヤ―ブローの速球平均球速は84.2マイルと非常に遅く、打者を制圧することはできません。しかし、抜群のコントロールでゾーンの角を攻め、打者に弱い打球を打たせることが得意です。昨年の四球率はメジャー6位、平均打球速度は10位と優秀です。
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