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【LAD】ボビー・ミラー 復活の年へ

ミラーとの遭遇

デビューイヤーの2023年。故障者続出により緊急昇格したミラーはデビュー戦となったブレーブス戦でアクーニャJr.、オルソン、ライリーを擁する強力打線と対峙しました。この年のブレーブス打線はMLB史上でもトップクラスの成績を残しました。

この日のブレーブス打線 1~4番
1. RF ロナルド・アクーニャ Jr. OPS1.102 73盗塁 MVP-1, AS
2. 1B マット・オルソン OPS .993 54HR MVP-4, AS
3. C ショーン・マーフィー  OPS.844, AS
4. 3B オースティン・ライリー OPS.861 37HR MVP-7, AS

前日の試合では同じくデビューイヤーのギャビン・ストーンが4回5失点とボコボコにされた直後の試合でした。

ミラーも同じようにボコボコにされるのかと画面の前で見守っていましたが、結果はなんと5回1失点の好投でした。

ミラーは初戦の勢いをそのままに、この年を一度もマイナー降格することなく完走。新人ながら第2戦を任されたプレーオフでは躓きましたが、レギュラーシーズンでは
124.1回 防御率 3.76 , FIP 3.51,  fWAR2.8 の成績を残しました。

2023年 プチブレーク

ボビー・ミラーの強み

ミラーの強みはなんといっても球速です。しかも変化球にもその効果が波及しています。
フォーシームの球速は平均99mph!最速101.5mph。これは2023年シーズンでは先発投手トップの数値です。また、スピンをかけるのが上手いため、球速だけに頼らず縦変化も多いボールとなっています。
メイン変化球のスライダーは平均89.9mph、最速96.3mph。2×サイヤング賞投手ジェイコブ・デグロムの高速スライダーと比べても遜色ない数値です。

2024年シーズンに割合の増えたチェンジアップも同様に球速がトップクラスで、その上で面白いように打者から逃げていく変化をします。

更にクレイトン・カーショウを彷彿とさせる球速が低く、良く落ちるカーブも持っています。

制球に問題はなかった

このような球威型の若手投手でよく言われるのは制球力です。例えばリリーフ投手のタナ―・スコットは球界トップクラスの球威を持ちながら、制球力が絶望的に欠如しており、改善がみられた2023年までは平均以下の投手でした。

タナ―・スコット成績

一方で2023年のミラーは球威型の投手だったものの、制球力に問題はありませんでした。四球率は6.3%でこれは平均以上の水準です。
また、球種別にみても平均=100のLocation+Zone%を見ても平均レベルで、何か異常な値があるというわけではありません。
むしろ328球投げたスライダーでLocation+=110を記録していることは非常に今後の活躍を予感させるものでした。

スライダーヒートマップ
2023ミラー(左) 2021デグロム(右)

期待値は高い

そんな2023年ボビー・ミラーでしたが、2024年を迎えるにあたって期待値は非常に高いものでした。
The Athleticの Eno SarrisはMLB全体19位の評価を与えました。サイヤング賞を受賞したタリク・スクバルは16位、クリス・セールは38位となっており、ミラーがサイヤング賞争いに入ってもおかしい話ではない状況でした。
Pitcher Listのランキングでも16位にランクインし、スクバル15位のすぐ下に位置しました。
何を隠そう私自身も合同note企画でイチ押し選手を聞かれた際にミラーと答え、サイヤング賞争いに入るかもしれないとコメントしていました。

2024年 ミラーの挫折

ミラーは2024年シーズンを山本、ミラーに次ぐSP3として迎えました。結局140イニングを投げることになるストーンやベテランのパクストンがいる中で3番手に指名されたことは首脳陣のミラーに対する期待を示すものでした。
シーズン初戦となった3月29日のカージナルス戦では6回無失点1四球11奪三振と相手打線を完璧に抑え、このシーズンのミラーはヤバいとの期待を持つには十分な登板でした。

ところが4月13日に肩の炎症で故障者リスト入り。復帰は6月19日となりましたが、ここからミラーの迷走が始まります。
復帰初戦となった6/19ロッキーズ戦では超打者有利なクアーズでの試合だったこともあり、6.1回5失点、6/25の最低勝率ホワイトソックス戦では2回しか持たず3失点。8/17の登板ではでは4月にボコボコにしたカージナルス打線に対して4.2回4失点と約2か月の間不安定な投球を続けました。この間マイナー降格も経験しました。
一方で8/23レイズ戦では6回9奪三振9/4エンゼルス戦では5回8奪三振と投げているものは良い事のサインを時々出していました。
しかし完全体ミラーに戻ることはできず、9月17日の試合を最後にマイナー降格。先発投手が不足していたメジャーレベルのロースターに戻ることはありませんでした。
結局シーズンを防御率8点台、fWARはマイナス0.9としました。

https://baseballsavant.mlb.com/savant-player/bobby-miller-676272?stats=gamelogs-r-pitching-mlb&season=2024


それでもミラーを信じる

Baseball Savantのデータを見ても運とかそんなレベルでは救うことのできないほどの凋落を見せたミラーですが、2023年にMLB全体24位プロスペクトだったミラーがまだ活躍できると信じる理由がいくつかあります。

不調の原因は故障?

2024年のミラーが肩の炎症で故障者リスト入りしたことは前述したとおりですが、8月には追加で左膝を痛めたことをミラー自身が明かしています。

右投手のミラーにとって投球の際の軸となる左足に問題を抱えていたのは少なからずミラーのコマンドに影響を与えていたと見られます。

球威は健在、コマンドは落ちたが

平均球速が99マイルから97.6マイルまで下がったミラーですが、それでも90マイル台後半を投げています。2024年シーズンにミラーより速い球を投げているのはレッズのハンター・グリーンくらいです。

球種別のデータを見ると球速、スピンが下がり、それに従ってStuff+も下がっています。しかし、それでも全体のStuff+は23年の111(エリート級)から下がったと言っても24年には103で平均以上を保っています。

急降下したのはコマンドでLocation+は103⇒92BB%は6.3⇒11.6と平均程度からリーグ最低レベルまで落ちました。しかしミラーのBB%はマイナー~メジャー時代を通して7,8%程度で推移しており、昨年のように2桁に乗ってしまったことはありません。昨年のコマンド問題は珍しい方だったと言っても良いかもしれません。

ミラーのポテンシャル

最後にミラーの事をポジって終わろうと思います。
球威/コマンドを総合的に評価するPitching+においてミラーは2023年に113でメジャー7位を記録。周りにはサイヤング賞得票やオールスター出場を果たした投手がゴロゴロいます。

自分は2024年シーズンをミラー飛躍のシーズンと考え、サイヤング賞争いをするのではないか、と予想していましたが、怪我をしっかり治し、2023年の姿を取り戻すことができれば、2025年こそ飛躍のシーズンになるのではないでしょうか。
オフにドジャースは先発投手陣整備に動き、ブレイク・スネル、佐々木朗希を獲得しましたが、ミラーが彼らに続くローテ5,6番手に入ってサイヤング賞争いをすれば、最強ローテを形成することができます。
日本人3人衆に続く推しとして、皆さんもミラーを検討してみてはいかがですか?


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