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【MLB】誰でもわかる!MLBの球種!

皆さんこんにちは。毎日ドジャースの勝敗に一喜一憂しているELiです。
先日、愛用しているMLB.TVが突如として数十分ダウンし、急遽テレビに切り替えNHKでの中継を見ることがありました。例によって副音声に切り替え、みんな大好きJoe Davisさんの実況を聞こうかと思いましたが、「良い機会だし、たまにはNHKの日本語実況でも聞くか!」と主音声で聞いていました。

https://nypost.com/2023/07/08/foxs-joe-davis-john-smoltz-talk-broadcasting-chemistry-all-star-game-storylines/

パドレス先発はマイケル・キング。持ち球はシンカー、フォーシーム、チェンジアップ、スライダー、スイーパーと豊富です。キングの投球に関してNHKの実況・解説を聞いているとこのように聞こえてきました。

これはシンカーなんですかね?
次はチェンジアップですね。
シンカーなのかツーシームなのかちょっとわからないですね。
キングはスイーパーの他に小さく曲がるスライダーを持っています

自分は「この人たち大丈夫か?」とある意味面白がって聞いていましたが、一般視聴者さんからすると、「なんでこんなグダグダ音声を聞かないといけないんだ」となるでしょう。

NHKへの悪口はここら辺にしておいて…

皆さんの間でも「最近球種が増えすぎてどれがどれだかわからない!」という方もいるのではないでしょうか。2022年にはスイーパー、最近ではデス・ボールなんて物騒な名前をした球種も登場しました。
そこで今回は球種1つ1つの特徴、働きなどについて紹介したいと思います。

球種の分類

なぜ球種を分類するのか

結構前にある元プロ野球選手が「球種の分類?あれは選手が勝手にやってるんだよ!」と言っているのを見ました。もちろん実践の場でどのように分類するかは実際に使う選手が勝手にすればよいと思います。
しかし第三者が選手の特徴を説明したい場合はどうでしょうか。極端な話、すべての球種を"投球"と総まとめにしてしまえば非常に楽ですが、これでは特徴を説明できません。100マイルで真っすぐ飛ぶボールと82マイルで大きく曲がるボールは全く違う特徴・役割を持つわけです。
これは「スライダー・スイーパー同じもの論」にも言えることで、実際にスライダーとスイーパーでは使用する際の役割が大きく異なります。

球種って何種類あるの?

MLBが公開しているスタットキャストのデータでは球種はUnknown(球種不明)、Pitch Out(外し球)を除いて16種類あります。以下の通りです。

・4-Seam Fastball  (フォーシーム)
・Fastball  (速球?ほとんど適用されない)
・Sinker  (シンカー)
・Cutter  (カッター)
・Changeup  (チェンジアップ)
・Splitter (スプリット)
・Screwball (スクリュー)
・Forkball (フォークボール)
・Slider (スライダー)
・Sweeper (スイーパー)
・Slurve (スラーブ)
・Knuckle Curve (ナックルカーブ)
・Curveball (カーブ)
・Slow Curve (スローカーブ)
・Eephus (イーファス)
・Knckleball (ナックルボール)

これはあくまでスタットキャストによる分類で、分析する人の考えによっては増えたり減ったりします。例えば大谷翔平も通ったことで有名なドライブラインのクリス・ランギンフォーシームだけで3,4種類あるとか言っています。
次にそれぞれの解説に移ります。


ファストボール系

ファストボール系の球速は大体が投手の最高球速まで出すことができます。
103マイルのフォーシームもあれば103マイルのシンカー、カッターを投げる投手もいます。

4-Seam Fastball (フォーシームファストボール)

軌道: 真っすぐ、球速: 投手の最高球速

NPBでいうストレート、真っすぐです。
ピッチャーは投球時に強烈なバックスピンをかけて投げるため、揚力が発生し、重力に逆らい落ちず、真っすぐの軌道を描きます。
投げ方の結果、ボールが飛行中に縫い目(Seam)が4本見えるので4-Seamと呼びます。

https://rfrey22.medium.com/what-spin-direction-tells-us-from-mlb-data-3632c772c22e

ピッチャーはその投球メカニックにより完全な縦回転(上から下)をかけることができないため、回転軸がずれます。

ほとんどのフォーシームがピッチャーの投球腕側(右投手なら右、左投手なら左)に少し曲がっていきます。

これは多くの人が知っている通り、投球の基礎となる球種です。コーナーに投げてカウントを稼ぐも良し、ゾーンに思い切り投げて打ち取るも良し、高めに投げて空振りを奪うこともできます。一方で最も多く使われる球種のため、投げミスや質の低下によりボコボコに打たれることが多い球種でもあります。

Sinker/ Two Seamer (シンカー/ツーシーム)

軌道: 投手利き手側に曲がったり落ちたりする、 球速: 投手の最高球速

MLBではNPBと異なり、シンカーとはファストボールの事を指します。高津臣吾や潮崎哲也で有名な遅い沈むボールの事ではありません。
シンカーとツーシームはほとんど同じモノとして扱ってOKです。
シンカーの回転軸はフォーシームとほとんど同じですが、投げ方を変え回転量を落とすことでボールの揚力を減らし、その"落ち"を実現しています。
回転軸はほとんど同じですが、握りの関係で縫い目が2本しか飛行中に見えないためにツーシームと呼ばれたりします。

シンカーは空振りを奪うには全くと言っていいほど向いていませんが、バットの芯からボールを外すことで、多くの弱い打球を生み出すことができます。ゴロピッチャーはシンカーを多投します。
上のトライネンのように面白いように動くシンカーは空振りを奪えますが。

Cutter (カッター)

軌道: 投手グラブ腕側に少し曲がる、 球速: 投手の最高球速

フォーシームは100%縦回転で真っすぐ飛行するボールでしたが、カッターはこれにすこしジャイロ回転(弾丸が回る回転、ドリルのような回転)を加えることで、若干落ち、若干曲がる動きをします。

働きとしてはシンカーと同様にバットの芯を外しゴロを打たせる、反対利き手の打者(右投手→左打者、左投手→右打者)の内角へ投げる、後述の大きく曲がるスイーパーとフォーシームの中間球になる、などいろいろな使い方があります。

オフスピード系

Changeup/Screwball (チェンジアップ/スクリューボール)

軌道: 利き手方向に曲がり落ちる, 球速: 投手の速球から8~15mph程度遅い

チェンジアップは基本的に回転量を少なくすることで揚力を低下させ、ボールを重力に任せて落下させます。また横変化を出したい場合は腕を体の内側に向かってひねることでボールに横回転をかけます。

ファストボールと比べて球速差があるため、打者のタイミングをずらして打ち取る。大きく落として空振りを奪う、などなど特に決め球として使われることが多いです。

スクリューボールはチェンジアップの中でも特異的な回転をかけることで、より曲がり落ちるようにしたボールです。リリースの際に強烈な腕ひねりをする必要があるため技術が必要で、現在ではドジャースのブレント・ハニーウェルしか投げていません。

Splitter/Forkball (スプリット/フォークボール)

軌道: 利き手方向に曲がり落ちる。落下量多め
球速: 速球から0~8mph程度遅い、スプリットの方が速い

※スプリット/フォークはほとんど違いがないため同じモノとして扱います。

この2つの球種はチェンジアップの中でもボールを指2本で挟んで投げる球を指します。

フォークのようにボールを挟んで投げることでスピン量を極限まで減少させ落下量を多くします。チェンジアップよりファストボールと似た感じで投げるため、球速は速くなる傾向にあります。100マイルのスプリットを投げる変な投手もいました。
落下量を活かして空振りを奪うことが主な役割です。最近ではスプリットのポテンシャルが判明しており、取り入れる投手が急増しています。

スライダー系

スライダー系は投手によるバリエーションが非常に多い球種です。スライダー一つとっても球速・変化量・変化方向に様々です。
使い方も多様で、カウント球、決め球どちらにも使用できます。

Slider/Gyro Slider (スライダー/ジャイロスライダー)

軌道: グラブ側腕方向へ落ち曲がる、球速:速球から8~10mph遅い

※ 2022年にスタットキャストへ正式にスイーパー表示が導入されたことで、スライダーとスイーパーを区別するためにジャイロスライダーと呼称する場合があります。

スライダーはカッターで紹介したジャイロスピンと横回転を用いてボールの軌道を曲げます。


投手毎によるバリエーションが多く、完全ジャイロスピンでの真っすぐ落ちるスライダーや中間の曲がり落ちるスライダーがあります。

Sweeper (スイーパー)

軌道: グラブ側腕方向へ大きく曲がる, 球速: 速球より 10mph~20mph遅い

スイーパーはスライダーの1種として存在していましたが、2022年頃から区別がされ始めました。スライダーの横回転割合をより多くし、加えてシーム・シフト・ウェイクと呼ばれる理論を用いてボールを大きく曲げます。
変化量を優先している関係でスライダーよりは球速が遅いです。

一般的に打者は自分側に入ってくるボールに強く、逃げるボールに弱いです。このため横変化の大きいスイーパーは投手と利き手が逆の打者に対して有効にはなりません。
例えばスイーパー使いのフィリップスは右打者と左打者で大きく投球戦略を変更します。

vs 右打者
・スイーパー 52.3%
・フォーシーム 34.3%
・シンカー 13.4%
vs 左打者
・カッター 34.7%
・フォーシーム 35.7%
・スイーパー 22.8%
・シンカー 6.9%

カーブ系

 Curveball (カーブ)

軌道: グラブ側腕方向へ大きく曲がり落ちる (落ちが多め)
球速: 速球より10~25mph遅い

カーブはフォーシームと逆の回転(バックスピン)をかけることでボールを重力による力以上に落とします。スプリット/チェンジアップは重力に任せますが、カーブは追加の下方向の力が働いています。

速球との球速差を活かして打者のタイミングを外す変化量を活かして空振りを奪うなどに用いられます。
変化量と球速差を最大限生かしているのが生けるレジェンド、カーショーのカーブです。

Knuckle Curve (ナックルカーブ)

軌道: グラブ側腕方向へ大きく曲がり落ちる (落ちが多め)
球速: 速球より10~15mph遅い(カーブより速め)

ナックルカーブはカーブと同様な投げ方をしますが、握り方を変えることでボールの回転を不規則にすることでボールの変化を不規則にします。

一般にカーブより球速が若干速く、空振りを奪うために使われることが多いです。

スライダーとカーブをどうやって見て区別するんだ!と言う話ですが、カーブはリリースの関係で一旦フワッと浮かんでから曲がるのが特徴です。

変化球の中の変化球

Knuckle Ball (ナックルボール)

軌道: 不規則。キャッチャーすら予想不可
球速: 速球から10~20mph遅い
ナックルは爪を立ててボールを投げることでスピン量をほぼ0にします。
ボールは何も力がかからないため重力と風に従って変化します。
このためその瞬間の風速により変化が決まり、その変化は誰にもわかりません。


Eephus (イーファス)

軌道: 上がって落ちる
球速: 非常に遅い

イーファスは主に野手登板の際に投げられます。俗にいう超スローボールと言うやつです。


合成単語

スラーブ = スライダー + カーブ

横に滑るように曲がるカーブ
主にホセ・べリオスが投げる

スローカーブ = 遅い + カーブ

60~70マイルで投げられるカーブ
技巧派投手が100球に1回くらい投げる

スプリンカー = スプリット + シンカー(SC外)

シンカーレベルの球速で投げられるスプリット
ポール・スキーンズやジョアン・ドゥランが投げる

チャーブ = チェンジアップ (SC外)

カーブのようなチェンジアップ
ジョーイ・ルケーシーのオリジナル球

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