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【LAD】念願のクローザー固定か? タナ―・スコット獲得 + カービィ・イエーツ獲得
タナ―・スコット
現地1月19日、ドジャースはパドレスからFAとなっていた30歳リリーフ投手タナ―・スコットと4年7200万ドルの契約で合意しました。
The Dodgers are signing Tanner Scott to a four-year deal, per multiple reports pic.twitter.com/9W6iaBNY4I
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) January 19, 2025
契約
現在までに明らかになっている契約の全容は以下の通りです。
基本契約 4年$72M
現在価値 $61.678M
契約金 $20M
後払い $21M
トレードボーナス $3M
-----年別支払額--------------------
1年目 $11M - $5.25M(後払い) = $5.75M
2年目 $11M - $5.25M(後払い) = $5.75M
3年目 $15M - $5.25M(後払い) = $9.75M
4年目 $15M - $5.25M(後払い) = $9.75M
5年目$5M球団オプション(契約期間中に長期離脱の場合)
契約終了後 $21M
スコットってどんな投手?
スコットは平均97マイル、最速100マイルに達するフォーシームと平均88マイル、頻繁に90マイル台に乗る高速ジャイロスライダーの2球種で勝負するリリーフ投手です。
2014年のドラフトで6巡目全体181位指名をオリオールズから受けてMLB入り。2017年にメジャーデビュー、本格稼働は2018年からで、すべてリリーフの53試合で防御率5.40の成績を残しました。この時から奪三振率/奪空振り率はメジャートップクラスでしたが、反対に与四球率はメジャーワーストクラスで、典型的な球威はあるがノーコンで使えない投手の例でした。その後2018~2021年のオリオールズ在籍5年間ではfWAR1.6しか価値を生みだせませんでした。
2022年4月にオリオールズからマーリンズにトレードされましたが67試合で防御率4.31を記録。20セーブこそ挙げましたが、微妙な成績です。
そしてスコットのキャリアを変えたのがトレーニング施設Tread Athleticへの参加でした。Tread Athleticのコーチであるタイラー・ゾンブロは球威・球種に関しては改良の余地がなく、退治すべきは制球力の問題だと分析。
スコットの狙う位置とボールが飛ぶ位置の違いの傾向をとらえ、その傾向を打ち消すように狙うようアドバイス。さらにスコットの独特な体を下げる投球モーションに改良を加えました。
Tanner Scott went from an average big-league reliever to a highly sought-after trade piece in his platform year. 📈
— Tread Athletics (@TreadHQ) December 9, 2024
2017-2022:
218.2 IP
4.61 ERA
95 ERA+
2023-2024:
150.0 IP
2.04 ERA
224 ERA+
#TreadFam pic.twitter.com/sg5SvJfm2d
2023年にスコットの才能は完全開花し、74試合で防御率2.31、リリーフ投手の目標とされる100奪三振を達成しました。23年シーズンは奪三振率を30%以上に保ちながら、与四球率を前年の半分にカットすることに成功しました。昨年はマーリンズ、パドレスの2チームでプレーし72試合で防御率1.75、プレーオフでは大谷翔平を4打席4奪三振と完璧に抑え、日本での知名度も上がりました。
フォーシーム
ススコットの特徴的な体を限界まで下げる投球メカニックからの低リリースポイントと平均以上の縦変化量から生み出されるフラットな軌道と平均を大きく上回る球速が特徴です。
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ヤンキースのマーカス・ストローマンの身長が170cm、スコットの身長が183cm (Baseball Reference)ですが、2人のリリース高はあまり変わりません。それだけスコットは身体を低くして投げているわけです。
またサイドスロー気味のアームアングルから平均以上の縦変化を持つフォーシームは珍しく、打者がボールの下をスイングしてしまう要因にもなっています。
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スライダー
平均88マイル、最速93マイルを叩く高速ジャイロスライダーはスコットが唯一投げる変化球です。88マイルのスライダーはそれだけ大きな武器になりますが、スコットの場合は変化量も優秀です。
通常、速球であれ変化球であれ球速が上がれば変化量は下がります。しかし、スコットの場合はメジャー27位の球速を保ちながら、平均以上の落ち、平均レベルの横変化をします。
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スコットの役割
スコットの入団会見において、ドジャースGMブランドン・ゴームスは25年シーズンのドジャースブルペンについて、次のように説明しました。
記者: Q. 過去数年(ケンリ―・ジャンセン退団以降)、クローザーを固定してこなかったわけだが、クロ―ザー経験のあるスコットのような選手を獲得したことで、今年はクローザーを固定する予定はあるか?
ゴームスGM: A. 獲得過程において内部で色々話をした。スコットは9回を投げる機会をたくさん得ると思うが、大事なのは勝つために試合終盤をどのように扱うかだ。
昨年のスコットは左右ともに苦にしなかったわけですが、特に左打者に対しては被打率.132、K%40.3、被OPS.415と圧倒しています。後でも触れますが、この2,3年間やって来たように7~9回に回ってきた打者に応じて投げる順番を組み替えていくものと見られます。
カービィ・イエーツ
ドジャースは1月22日、レンジャースからFAとなっていたリリーフ投手のカービィ・イエーツと仮契約で合意したとUSA TodayのBob Nightengale記者が報じました。契約の公式発表はメディカルチェックの完了とドジャースの40人枠が空くのを待ってからとなります。
The Los Angeles Dodgers, who already have folks screaming about their payroll, have reached a tentative agreement with free-agent closer Kirby Yates, pending a physical. The deal comes on the heels of signing Tanner Scott to a 4-year, $72 million contract.
— Bob Nightengale (@BNightengale) January 21, 2025
契約
現地1月28日、様々な記者がカービィ・イエーツとドジャースが本契約で合意したと発表しました。40人枠を空けるための動きとして、ドジャースはライアン・ブレイジャーをDFAとしました。
基本契約 1年$13M
出来高 50登板 $0.5M、55登板 $0.5M
最大額 1年$14M
カービィ・イエーツって誰さ?
イエーツは2005年ドラフトでレッドソックスから26巡目指名を受けましたが、大学への進学を理由に契約せず。その後再度のドラフトとなった2009年ドラフトでは2006,07年をTJ手術で欠場したなどの理由から指名を受けず。結局ドラフト外FA選手としてレイズと契約しました。
メジャーデビューは2014年ですが、成績が悪かったこともあり、レイズからインディアンズ→ヤンキース→エンゼルス→パドレスと渡り歩きました。
才能が開花したのが2018年で、パドレスで65試合を投げ、防御率2.14、12セーブ、次の年は60試合で防御率1.19、41セーブを挙げ、オールスター出場、リリーフながらサイヤング賞投票で9位に入りました。
2024年シーズンはレンジャースのクローザーとして61試合で防御率1.17、33セーブを挙げ、再度のオールスター出場とサイヤング賞投票8位となりました。
イエーツの投球スタイル
イエーツは投球の6割をフォーシーム、残りをスプリットが占める2球種ピッチャーで、フォーシームの平均球速は93.2マイル、スプリットは86.3マイルと前述のスコットのような圧倒的な球威やユニークな変化球があるわけではありません。ではなぜ相手を圧倒できるのでしょうか?
1つはイエーツのフォーシームとスプリットはいわゆる"ピッチトンネル効果"が良く働いています。リリース時の縦横角度を球種ごとにプロットするとフォーシーム(赤)とスプリット(青)の点は多くが被っていることが分かります。
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Kirby Yates, 94mph Fastball and 86mph Splitter, Overlay. pic.twitter.com/h5SmSWjruX
— Rob Friedman (@PitchingNinja) July 8, 2019
2つ目はゾーン真ん中を避ける投球スタイルです。ブレイク・スネルの時も同じような現象が見られましたが、イエーツの与四球率は11.8%でリーグワーストクラスでしたが、奪三振率は35.9%でリーグトップクラス、打球速度と角度を加味したxERAは1.86でリーグトップでした。またどれだけ理想的な場所にボールを投げられたかを示すLocation+は100でリーグ平均となっています。
イエーツのゾーン真ん中に投げた割合24.0%はメジャー230番目/270人、逆にゾーンのShadowに投げた割合24.3%はメジャー28番目/270人に多い値となっています。
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つまりイエーツはゾーンの真ん中に投げない代わりに空振りを奪うためにゾーン外に投げることで、ハードコンタクトを避け三振を奪っているというわけです。ゾーンを避けているわけですから四球は積み重なっていきますが、間違ってど真ん中に投げてしまい、長打やホームランを献上するということは少なくなります。
ドジャースブルペン
その1
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スコットとイエーツの加入によりドジャースブルペンはクローザー5人体制となりました。もちろん全員9回に投げさせるわけにはいかないので、現実的には相手打線の様子を見て順番を変えていくことになります。
フォーシームでガンガン押せるタイプのスコット、コペック、ベシア、イエーツは相手打線の左右問わずどこでも使えます。一方で曲がるスライダー/スイーパーに頼るトライネン、フィリップス、バンダは左右を考えた方が強みを生かせます。
また、左でどうしても抑えたい打者(e.g. フアン・ソト、ヨルダン・アルバレス、ブライス・ハーパー)がいたときはワンポイントでスコットやベシアを起用することもできます。
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その2
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ライアン・ブレイジャーのDFAにより8枠あるブルペンの1枠が空きました。ドジャースはこの枠を活用してブルペンの負担を軽減させるものと思われます。特に先発経験のあるグローブやカスパリウスは2,3イニングを投げるロングリリーフ要員として重宝されるでしょう。
昨年デビューを果たした104マイル右腕のヘンリケスはメジャーレベルで制球難に苦しみました。怪我人の続出からプレーオフロースターにも入りましたが、5回4失点と結果を残せませんでした。しかし投げる球は一線級なので、将来のクローザー候補としてのステップアップに期待です。
マイナー契約を結んだ元カージナルスのガエゴスは契約にオプトアウトが含まれています。2,3月中に故障者が出ない限り、これを行使し他の球団に行ってしまうかもしれません。
"バズーカ"ことブルスダー・グラテロルは肩の手術の影響で復帰は夏以降になる見込みです。
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