見出し画像

【LAD】どこよりも詳しいドジャース選手名鑑(先発投手編)

去年作ったドジャース選手紹介noteの2025年版です。選手の基礎データから強み今年の展望に至るまで多岐にわたることを詰め込みました。
今年からドジャースファンになったよ!と言う人からディープなファンまで楽しめる内容になっています(なっているはず)!!
日本人選手と一部若手以外にはちょっとした小話も載せています。
大谷とミラーを別記事にしても7000字を超えてしまったので、手持ちの選手名鑑のような感じでアクセスしてみてもいいかもしれません。


プレイヤーカードの見方

最上段
・選手画像
・選手名前(英語&日本語)
・所属チーム

2段目
・Stuff+
: 球威
・Location+: 制球力
・Pitching+: 総合評価
以上3つは全て平均100、標準偏差10
・年齢
・IP: 直近の投球イニング数
・ERA: 直近の防御率。9回投げたときの失点数
・FIP: 直近の四球・三振・本塁打から計算した疑似防御率
GB%: ゴロ率。高⇒ゴロピッチャー、低⇒フライボールピッチャー
3段目
・球種の数
・平均球速
・主変化球:
割合が最も多い変化球
・耐久力: 
故障歴やイニング数から評価した耐久性(主観)
A: コンスタントに規定投球回を狙える
B: コンスタントに120~150回を狙える
C: 50%程度の確率で120~150回を狙える(or若手)
D: 120回投げるので限界
E: 故障ばかりしている
・Proj. IP: 予測システムがはじき出した予測イニング数 
・ppERA:
Pitching+から予測した防御率
・ppFIP:
Pitching+から予測したFIP
4段目
・各球種のデータ
・Whiff%:
空振り数 / スイング数(リーグ平均約25%)
⇒球種のバットに当たらず空振りになる力を計測
・SwgStr%:
空振り数 / 球数 (リーグ平均約10%)
⇒球種の空振りを誘発する力を計測

TOP 5

先ずは先発ローテでの位置がほぼ確約されている5人です。故障しない限りこの5人+後述のデプスから1人で運用していくでしょう。また大谷は5月頃復帰とされています。

2×サイヤング賞のエース左腕 ブレイク・スネル

今オフ5年$182Mの大型契約で加入したスネル。キャリア通算211先発で76勝58敗2×サイヤング賞と実績十分の32歳左腕です。
投球の半分をスピンの効いた平均96mphのフォーシームが占め、決め球として大きく落ちていくカーブ、その他に高速スライダーチェンジアップを投げます。毎年前半戦を調子づくり、後半戦が大活躍する傾向があり、その年の調子によって決め球を変えているようです。今年は何になるでしょうか

典型的な球威で三振を奪うタイプの投手で、2022-2024シーズンのK%32.4はブレーブスのスペンサー・ストライダーに次いで2位です(最低300IP)。スネルは自分の奪三振能力を信じて投球を組み立てるため、カウントを悪くしても四球を避けるためには投球割合を変えません。その結果として前述のスパンにおけるBB%11.4はリーグワースト2位となっています。
四球を回避するためにゾーンに速球を投げて大ダメージを食らうなら、四球を出してでもカウントをリセットし、次の打者を打ち取ればよいという戦略をとっています。なので見る側としては四球を出し始めて怪しくなってきてもあまり心配する必要はないかもしれません。
既に32歳のスネルですが、どれだけ稼働するかはとりあえず横に置いて、成績予測では防御率3.29となっています。ドジャースとしてはシーズン中盤で故障離脱しても9月くらいに復帰してプレーオフで投げてくれればよいと思っているでしょう。もちろん予測を上回ってサイヤング賞取ってくれてもいいんですよ?

期待する成績
25先発 150回 防御率3点台前半 + プレーオフ登板

ちなみにスネルの愛称であるスネル+ゴジラ = "スネルジラ(Snellzilla)"ですが、実は元々スネルの兄についていたもので、それをスネル自身が気に入って使い始めたというエピソードがついています。

https://www.tampabay.com/sports/rays/2020/11/02/what-was-rays-pitcher-blake-snells-halloween-costume/

"ガラスの身体” 今年こそフル稼働なるか タイラー・グラスナウ

2024年ドジャースのエースだったグラスナウ。スネルが加入した今季もその立ち位置はほぼ変わらないでしょう。成績予測でも予測防御率ではスネルより良い3.02となっています
球種構成はスネルとほぼ同じように半分くらいを占める平均96.3mphのフォーシームに変化球として高速スライダー縦に大きく割れるカーブ、そして昨年より対右対策としてシンカーを導入しました。
スライダー、カーブ共に空振りを高いレベルで奪うことができ、2024年のSwgStr%はどちらも20%を超えています。(=5回投げたら1回は空振りになる)

投げたらサイヤング級の投球を見せるグラスナウですが、課題はなんといっても耐久性です。2023年はそれまでのキャリアハイとなる120.0回、2024年も同様に134.0回を投げましたが、どのシーズンにおいても、もはや面白いくらいに故障していきます。特に昨季の8,9月に故障した際は肘腱炎と診断されており、トミージョン手術が頭をよぎりました。シーズン終了後のインタビューで肘は回復したと回答しているので大丈夫だとは思いますが…

期待する成績
20先発 120回 防御率2点台後半 + プレーオフ登板

https://www.instagram.com/dodgers/p/C7sxXIqNyrK/?hl=en&img_index=1

グラスナウにはMeghan Murphyさんという恋人がいるのですが、出会いのエピソードが秀逸なものです。
グラスナウがレイズ時代のある試合で観客席にいる美人のお姉さんを見つけました。これがMeghanさんだったわけですが、グラスナウは彼女に近くで見るために先ずチームカメラマンにカメラでズームしてもらうように頼みました。そして確信したグラスナウは自分の電話番号を書いたボールをMeghanさんめがけて投げることで2人の関係は始まったということです。
よくよく考えれば間違った人にボールがわたってしまったらどうしたんでしょうね。

2年目の躍進へ 山本由伸

我らが日本のエースである山本由伸。昨年は肩の故障により90.0回の投球に限られてしまいましたが、レギュラーシーズンでは防御率は3.00(MLB18位)、FIP2.61(MLB5位)、ポストシーズンではNLDS第1戦を除けば15.2回3失点、防御率1.72と実に投手史上最高規模契約に見合ったパフォーマンスでした。

2024年の山本を一言で表すとすれば"適応"です。開幕を対パドレス1回5失点の大炎上で迎えた山本はフォーシーム、スプリット、カーブの3球種で勝負し、4、5月は防御率3.54、3.48とまずまずの状態で推移していましたが、何かハマっていない様子でした。三振がすべてとは言いませんが、K%もリーグ平均ちょっと上くらいをうろうろしている状況でした。
しかし6月7日のヤンキース戦に置いて投球メカニックに微調整を加えると球速が1.5mphほど上昇し強力ヤンキース打線相手に7回7奪三振と覚醒を予感させるパフォーマンスを見せました。他にもシーズンを通してスライダー、カッター、シンカーを導入し、この中でも特にスライダーは球速と落ちを両立することで48球とサンプルは小さいながらWhiff%35.7、SwgStr%20.8とスプリットと同じような成績を残しています。
そして山本の適応の象徴的なものとして、NLDS初戦でボコボコにされたパドレスに対して後がないNLDS最終戦で5回無失点に抑えたことが挙げられます。

今季の山本由伸に期待することはです。もうMLBで十分やっていけることはよくわかりましたから、NPB時代のように160-170イニングを投げてほしいです。6人ローテですから25~27登板くらいをこなせば十分届く数字です。

期待する成績
27先発 165回 防御率3点台前半 + プレーオフ登板

2年ぶりのリアル二刀流復活 大谷翔平

トミージョン手術と肩の手術を乗り越えて今季より復活する投手大谷。現在はブルペンで10球程度を投げる段階で、完全な復帰は5月頃になるとされています。
2025年の投手大谷には順調な復帰に加えて、今後の二刀流キャリアのためにもスイーパー依存からの脱却をある程度やってほしいです。詳しくは以下の記事に書きましたのでどうぞ。

期待する成績20先発
120回 防御率3点台中盤~後半 + プレーオフ登板

メジャーの舞台 ひとまず適応せよ 佐々木朗希

MLB.com、Fangraphs、Baseball America、ESPNと名立たるプロスペクトランキングでMLB全体1位評価を得た佐々木朗希(若干チートな気もするが)。
NPB通算394.2回、防御率2.10耐久性の課題は度々指摘されますが、投げるボールだけを見ればNPBからのMLB挑戦者の中ではNo.1と言えるでしょう。
"平均で"100マイルを出せる投手はMLBでも全盛期ジェイコブ・デグロムくらいなものです。また佐々木の投げるスプリットはMLBでもエリート級の球速とユニークな変化量を持っており、球速とスプリットの2点はMLBでも直ぐに通用すると思います。

不安点が無いわけではありません。
先ず佐々木がMLB球団に対して"宿題"として出したとされる球速低下2023年に98.9マイルだったフォーシーム平均球速は2024年には96.9マイルに低下しています。また、83マイル程度に下がったとされるスライダーの球速低下も気になります。そもそも球速が強みの佐々木がこれを戻さないと大失敗につながる可能性もあります。
加えてボールにスピンをかけるのが下手であるとの指摘もあります。これによりフォーシーム、スライダーなどのスピンにより変化を生み出す球種は効力が下がります。この点はデータが少なくMLBでのStatcastに計測させないと何とも言えませんが、事実だとしたらNPBで使用したFF/SL/FS以外にもカーブ、シンカーなどの球種を習得する必要に迫られるかもしれません。

いずれにせよメジャー1年目から大活躍は期待しません。そもそもドジャースを筆頭に多くの球団が佐々木獲得に参戦したのは1年目から確実に戦力になるからではなく、マイナー契約というほぼゼロリスクでメジャートップのプロスペクトを手に入れられるからです。今後はメジャー最低年俸+αで3年、その後3年も年俸調停により年俸は抑えられます
今後6年ありますし、先ずはシーズンを完走、メジャーで大活躍する道筋を立て、ドジャース所属の6年間で1,2回圧倒的な成績を残してくれればOKです。

期待する成績(稼働できるならば)
20先発 120回 防御率3点台中盤~4点台前半 + プレーオフ登板

先発デプス

上記5人は現状ローテ枠確保が確定しています。次からはローテ6枠目故障離脱の際に埋める選手たちを紹介していきます。

復活のマウンドへ トニー・ゴンソリン

2023年夏に受けたトミージョン手術からの復帰を目指すゴンソリン。実は2023年当時靭帯に損傷があったにも関わらず、ドジャースの台所事情を踏まえて損傷発覚後2カ月間登板を続けたガッツがある投手でもあります。
最も成績が良かった2022年はベッツ、ターナー、フリーマン擁する強力打線の強いバックアップと強運により16勝1敗130.1回を投げて防御率2.14とし、オールスターに選ばれました。
強みは大きく落ちるスプリットで、22年には空振り率32.6%を記録しました。またスライダーも隠れた強みで、曲がりや落ちは鈍いですが球速は86.8マイルと優秀で空振り系の指標はスプリットと同じような数値を示しています。

TJ復帰としては昨年最終盤にマイナーでのリハビリ登板を既にこなしていることからプロセスは大谷より進んでいると見られ、シーズン序盤から稼働できると思われます。オールスターイヤーの2022年まで球威/コマンドを戻せるかはやってみないとわからないですが、ローテ6番手として毎試合5,6回、防御率4,5点台で回してくれれば十分でしょう。

期待する成績
20先発 120回 防御率4点台中盤

ちなみに大のネコ愛好家で、SNSで自分で飼うネコのポストをしたり、猫デコレーションを施したスパイクを使うなどいろいろやっています。Dodgers NationのDoug McKainには毎回"キャットマン"と呼ばれています。

赤髪の剛腕 再起の年 ダスティン・メイ

度重なる故障からの再起を図るメイ。
実は手術のタイミングはゴンソリンより早く、昨年末にも復帰できる予定でしたが、7月に夜ご飯を食べた際に食道断裂という聞くだけで恐ろしい事態に襲われ復帰が25年序盤まで遅れることになってしまいました。
(ただでさえ野球関連の故障が多いメイが野球と関係ない怪我に襲われたと聞いた際には、もはや呪いだと思いました。)
今季が6年目でシーズン終了後にはFAとなるくらいにはドジャース歴が長いメイですが、短縮2020年シーズンを除いてフル稼働した年は無し2021年5月にはトミージョン手術、復帰後1年も経たないうちに次は2023年5月に肘の屈筋回内筋の修復手術を受けるなど長期離脱が非常に多い選手です。これにより先発投手にも関わらず、1シーズン平均38イニングしか投げられていません。
ただ投げるボールはメジャートップクラスのモノです。シンカーは最速100マイルを叩きながら面白いように曲がり、主変化球のカーブは3000回転以上シンカーと逆方向にゲームのように曲がります。この球速と変化量は度重なる故障にも関わらずドジャースがメイを放出しなかった一因でしょう。

ドジャース首脳陣はメイ、ゴンソリンのうちローテ入りしなかった方をブルペン入りさせる意向を示しています。スプリングトレーニングの調子はさておき、球速/球威の面から見てブルペン適性があるのはメイです。またメイの身体が1シーズン40~50イニングで限界を迎えてしまうのだとしたら、ブルペンの方が故障防止の観点でも良い気がします。

期待する成績
(先発)?先発 ?回 防御率3点台中盤
(ブルペン) ?試合?回 防御率2点台
 

メイが昨年7月に負った食道損傷ですが、命に関わるほど深刻なものだったようで、原因はのどに詰まったレタス1切れでしたが、その夜のうちに緊急手術を要するものでした。ちなみにこの時メイは異変を気にせず一度家に帰っており、ERに駆け込まなかったら今のメイは無かったかもしれません。
LA Timesの取材に対してメイはこの事故を"人生を変える出来事だった"と振り返っています。

眠れる豪腕 覚醒の時 ボビー・ミラー

ミラーのことは全てこちらの記事に書きましたので、そちらへどうぞ。

縁の下の力持ち ランドン・ナック

昨年は先発陣の故障者続出からスポットスターターとして縁の下の力持ちとなったナック。今季は長期離脱者の復帰や新たな選手の補強によりデプスでも4番目、全体9番目に落ちてしまいました。元々先発4,5番手が天井だろうとの声もありましたので今後よっぽどのブレイクスルーを起こさない限り、この位置が変わることは無いでしょう。
一方で故障者を多少抱える構造となっているドジャース先発陣ではマイナーオプションがあり、先発をこなせるナックの役割は非常に大事になります。上記8人に緊急事態があった際には真っ先にマイナーで真っ先に白羽の矢が立つのはナックです。またブルペンにロング要員が必要になった場合もナックが呼ばれる可能性はあります。
一つ気になるのは昨年9月18日のマーリンズ戦です。この日は通常の先発登板でしたが、球速、スピン量が軒並みアップ、マーリンズ打線に対して5回87球無失点7奪三振と良い投球を見せました。しかし、この後24年シーズンはポストシーズン含めて5試合登板しましたが、同様のパフォーマンスを見せることはありませんでした。マーリンズ戦の投球を繰り返すことができれば強者揃いの先発陣に食い込むことができるかも?

強みはボールをスピンする力で、フォーシーム、スライダー、カーブのスピン量はメジャートップクラスです。これによりポテンシャルはあるのですが、球速は平均程度でこれがフォーシーム、カーブの威力を下げています。唯一スライダーだけが平均以上の球速を出しており、Stuff+も108といい値です。ただスライダーだけでは先発として生きてはいけませんから、フォーシームのコマンドを良くするか球速を上げるかして、パフォーマンス向上を図りたいところです。


着実に次のステップへ ジャスティン・ロブレスキー

ナックと同様に故障者による緊急昇格と言う形で昨年デビューしたロブレスキー。3Aで30イニングを放る前にメジャーで超えてしまいました。
そんな事情もあり昨年は防御率5点台と散々な成績となり、「よく炎上していた奴だ」という印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
しかしプロスペクトとしての評価は高く、MLB.comでは2024ドジャース傘下6位、最新ではThe AthleticのKeith Lawがドジャース傘下8位にランク付けています。
実は左から平均95マイルと言うのはメジャーでもレアで、ロブレスキーは左腕球速ランキングではメジャー10位につけます。速球だけではなく平均84マイルを出しながら横に大きく曲がるスライダー、通常より多く落ちるカッターなど変化球も良く、Stuff+はそれぞれ120(上位2%!)、117の値を出しています。BB%10.4と散々だった制球力を何とかすればブレイクの芽は十分にあると言えるでしょう。


よろしければnoteの"スキ"、フォロー、またX(twitter)のフォローよろしくお願いします。質問はXプロフィールの質問箱までどうぞ

https://twitter.com/sweePhillips59


選手顔画像
https://img.mlbstatic.com/mlb-photos/image/

球団ロゴ
https://www.mlb.com/team


ヘッダー画像

佐々木
山本由伸
大谷翔平
タイラー・グラスナウ
ブレイク・スネル
トニー・ゴンソリン


いいなと思ったら応援しよう!