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わたしの暮らしを愛でる#5|摂食障害体験記|わたしの生理

母に言えなかったこと

「お母さん、生理になったよ」

初めて生理らしきものがきたとき、
誰にも言えなかった。

しばらくして、
近所に住む幼馴染のお母さんに話した。

「お母さんに話してないの?」と聞かれて
普通は先にお母さんに言うんだと知って
一瞬ある種のショックを感じたと思うけど
それを滲ませたくなくて、平然と「うん」と返した気がする。

後日。
経緯は忘れたけど、保健の先生に呼ばれた。

たしか、クラスメイトが授業か部活をしている時間で、
サボっているかのような罪悪感と
公けに休めるうれしさが混じったような感覚だった。

先生とは生理について、最初は軽めに会話をしていたと思うけど
話が進むにつれ、先生がとても心配そうにわたしの顔をのぞきこんで
「先生ね、生理になってお母さんに言ってないっていう子、はじめてなの」と言った。

その言葉が耳に入ってきたとき、
不意に嗚咽のようなものがこみ上げてきたので、必死にこらえた。
こらえていたので、何も言葉を発することができなかった。

そもそも、どうしてそんなものが込み上げてくるのか、わからなかった。

摂食障害になって

所謂、あれがわたしの初潮だったのだろう。

けれども、始まったかに見えた生理は来なくなった。
あれはなんだったんだろう?というぐらい、その後は何もなかった。

わたしのダイエットは、だんだんと上手くいき始めていた。

一緒に始めたクラスメイトのあの子に負けたくない一心で
自分が決めたタスクに取り組んだ。

生理が来ないことが心配に値するかどうかすら
考える発想がなかった。

わたしがいよいよ、周りから見るとガリガリに痩せてきて、
学校でも部活中に倒れたりするようになり、
親がわたしを病院に連れていくようになった。

このころ、家で親と顔を合わせることはほぼなかったので、
おそらく、学校から親へ連絡がいったのだと思う。

あるとき病院で、生理を誘発させましょうとなり、
エストロゲンの注射を打った。
すると、すぐに再開。

ちなみに、生理用品の使い方を教わってない気がするけど、
あの時どう対処したのかは覚えていない。

病院には数回で通わなくなったので、
その後、何年か生理が来ることはなかった。

数ヶ月に一度、来るようになる

正確には覚えていないけど、
たぶん17歳ぐらいからだったかな、
ときどき生理が来るようになった。

3~6ヶ月に一度ペース。

最初は生理痛が痛くて、痛くて。
あのギューーーーっという痛みに、
薬を飲んでも眠れず、床に這いつくばった日もあった。

生理用品の使い方もいつの間にか覚え、
わたしも一丁前に一人暮らしの部屋のトイレに
生理用品を置くようになった。
(とはいえ、年に数回の使用なので、
置くようになったのは20歳を超えてからだった気がするけど)

なんとなく、うれしかった。
普通の人間に近づいた気がして。

20代~30代半ばになってくると、
1~4ヶ月に一度程のペースになってきた。

中学生のころ、クラスメイトから聞いていた
「シュッ、どろ~って感じ」という経血が出てくるときの感覚。
それがわかるようになってきた。

「あぁ、これかぁ」
20年越しに、わたしにもわかるようになった。

わたしの体、ありがとう

わたしは今、閉経も遠くない年齢だ。

ここほんの数年になってようやく
毎月にように生理が来るようになった。

ときどき、数ヶ月空いたりはするけど。

基礎体温の波も、
生理が来る前は高くて、来るときに下がって。

「わたし、普通の体みたい」って、ちょっと嬉しくなる。
やっと、わたしの体が正常に戻ってきたように思えて。

子供のころから、優しいお母さんになることに憧れていたけど、
たぶん、それはもう難しいだろうなと思っている。
(体のことだけじゃなくて、他の理由もいくつかある)



だけどね。



よく、ここまで生きてきてくれたね。
よく、ここまで回復してくれたね。

ありがとう。


そう自分に言ってあげたい。











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