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外見が好きだからといって、中身も好きとは限らない
ペンの話である。執筆業でもないくせに、私は毎日かなりの量の文字を書く。単純に書くのが好きだからというのもあるが、ノートに書くことで考えを整理しているからである。それは仕事のことだったり、頭の中でわーわーとしゃべっていることだったりもする。
私が愛用しているのは、三菱鉛筆の「uni-ball one F」だ。2021年の発売以来時にひと目惚れして以来、ずっと使っている。
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とにかくデザインが良い。シンプルで美しい。これが出るまで、私は気に入るペンがなかった。どれもデザインがうるさい。ペンなんて常に目に入るものなのに、なんでダサいものしか売っていないのか。
私がペンに求めることは、下記の6点だ。
・安い(ガシガシ使うから)
・デザインが良い(使いたいと思えるか)
・書きやすい(かすれずスラスラ書ける)
・細い線が書ける(0.5mm以下)
・軽い(持ち歩くから)
・量産品で買いやすい(どこでも売ってる)
結構シンプルだと思うのだけれど、意外と売っていないのだ。ちなみにインクの色は黒。「ユニボールワンF」が出るまでは、ステッドラーの「pigment liner」を使っていた。だが、「これだ!」と思って使っていたのではなく、「まぁ買うならこれかなぁ」という感じだったし、売っているお店がどんどん少なくなっていくのもネックだった。
「ユニボールワンF」に出会った時のことは今でも覚えている。ステッドラーを買いに銀座の伊東屋に行ったついでに、ロフトに寄ったときだった。見つけたときの喜びと衝撃といったら!三菱鉛筆の株を買おうかと思ったほどだ。
ペン軸の色展開も素晴らしい。絶妙に転んだ中間色で、どれも品が良い。新色が出るたびに「キャ〜ッ!」となってガバッと買ってしまう。そのため、うちには何本もストックがある。そんなに持っててどうするのと思われるかもしれないが、これがまた良いのである。
このペン、ちゃんと壊れるのだ。
写真の赤丸の部分のパーツが壊れて、ペンが出せなくなる。そうなるには、持ち歩きまくってカチカチしまくって書きまくらないといけないが、私はとにかくガシガシ使うので、定期的に寿命が来る。次はどの色にしようかなぁと選ぶのも、また一興なのだ。「ユニボールワンF」は確実に、私の毎日に喜びをくれた。
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一部が欠ける。そして芯が降りなくなる
しかし、中身は気に入っていなかった。「ユニボールワンF」は良くも悪くもゲルインクだ。黒も濃いし、なめらかに書けて気持ちがいい反面、インクの減りが早く、上から蛍光ペンをかぶせると滲む。う〜〜〜〜ん、惜しい・・・!
いや、替芯を常備しておけば済む話じゃないの。ちょっと贅沢言い過ぎなんじゃないの。そう思いますよね。私もそう思って、3年ちょい、ずっとユニボールワンの0.38mmの替芯を使ってきた。
ところがここにきて、ノートに書く量が更に増えたのだ。さすがにゲルインクはもう辛い。もっと長くもつ替芯が欲しい・・・!長持ちなら、油性ボールペンだ。しかも油性なら、蛍光ペンで上から書いても滲まない。
「ジェットストリーム・・・」
突然、私はひらめいた。国民的ボールペン、「ジェットストリーム」の替芯を使えば良いのでは・・・?
どうしてもっと早く思いつかなかったのか。自分の脳みその稚拙さを嘆きながら、そもそも「ユニボールワンF」のペン軸に「ジェットストリーム」の替芯が使えるのかを調べた。
当然、公式(三菱鉛筆)は推奨していない。ユニボールにはユニボールの芯を、ジェットストリームにはジェットストリームの芯を。メーカーとして当たり前だ。
個人でやってみたというブログ記事をいくつか見てみると、いずれも「ユニボールワンFのペン軸でジェットストリームの替芯は使えない」と結論づけられていた。「SXR-7」という替芯は使えたという記事もあったが、別の記事では「SXR-7」も使えなかったとあった。こりゃ一体、どういうことだってばよ?とりあえず、「SXR-7」を買って入れてみるか。
早速お店に出向き、ボールペンコーナーへ。いつも「ユニボールワン」の替芯しか見ていなかったから気づかなかったけれど、ボールペンの替芯売り場はとんでもないことになっていた。「ジェットストリーム」だけでも、「SXR-7」どころか「SXR-80-07」だの「SXR-ML-07」だの。これもう薬剤師じゃないとわからないのではないか。しかも、お目当てだった「SXR-7」は売っていなかった。
こりゃまいったなぁ〜なんて思いながら立ち尽くしていたら、見本で並んでいる「ユニボールワンF」と定番の「ジェットストリーム」が目に入った。
「ちょっと替えてみるか・・」
見本とはいえ壊してしまってはいけない。もちろん、ちょっとでもつっかかったりして「あ、これ無理なやつだ」と感じたら即やめるつもりで、私はおもむろに、見本の「ジェットストリーム」の芯を、見本の「ユニボールワンF」のペン軸に入れてみた。
すんなり入ったし、すんなりカチカチできたし、普通に芯が出てきて普通に引っ込んだ。
使えるではないか。しかも、「ジェットストリーム」の最も定番の替芯である「SXR-38」が。
ササッと中身を戻して、見本置き場に両者を再び鎮座させた後、私は「SXR-38」を3袋つかみ、レジへと向かった。
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帰宅し、おろしたばかりの「ユニボールワンF」の芯を出して「SXR-38」の芯を入れてみる。
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下が「ユニボールワン」の芯
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できた。お店でやったのと同じく、すんなりできた。
「うおぉ、めっちゃ書ける!書けるよ〜!」
もちろん、ゲルインクの方が黒が濃いしスルスル書ける。しかし、さすがというか、「ジェットストリーム」もなめらかに書けるので気にならない。なにより、油性ボールペンならではの「ずっと書けそう」感が心強い。実際、替えてから、ゲルなら絶対になくなっているであろう分量を書いているが、かすれもせずに使えている。インクのもちがすごい。蛍光ペンを重ねてもびくともしない。
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最強のペンが完成してしまった。自分の運の良さが怖い。今年はきっと、いい年になる。次からは5本入りの替芯パックを買おう。
ペンについてはこんな感じだが、正直、ノートについてはこだわりすぎて一周回った感がある。
昔から手帳やノートが好きで、集めてもいたし色々と使ってきた。勉強よりもノートをきれいに書くことに命をかけていた子どもだったし、ありとあらゆる手帳術やノート術を試した。製本屋さんに頼んで自分でノートをつくっていた時期もある。(コストがかかりすぎてやめてしまったが)
しかし、散々こだわり散らかした結果、現在使っているのは・・・とまあ、ノートと手帳について語り出したら止まらなくなるので、それはまた、別の機会に。
三菱鉛筆「uni-ball one F」公式サイト