アレクサとの会話
「お届け物です」
ある日、ユキオのもとに、宅配便が届いた。
取り出すと白い円柱のようなもの。
「アレクサー!」
ユキオは呼びかけてみる。おそらくこれは、アレクサだ。
しばらくすると、白い円柱の物体が、「youtube!」とインド訛りの英語で言った。
「え?アレクサじゃないの?アレクサー!」
「…」
「アレクサー!」
「youtube!」
とまたインド訛りの英語で返してくる。
え、なんだこのインド訛りでyoutubeと叫ぶだけ物体は、、
「アレクサー!」
「うるさい!」
「え?!」
ユキオは驚き、言葉を失った。
アレクサに怒られた、、
ユキオは、機械に詳しい後輩のハルオくんを呼んで、アレクサを見てもらった。
「これアレクサじゃないですねー」
「じゃあなんですか?」
「これはmp3プレーヤーで、声に反応して再生するようになっていて、在日のインド人の声がなぜか録音されてますね」
「youtube!」とまたインド訛りの声がした。
「アレクサじゃないのか、、」
「うるさい!」とインド人の声がする。
「お前がうるせぇよ!」ユキオが怒鳴り返すと、そのmp3プレーヤーは、また「youtube!」と言う。
すると、いきなり、インターフォンの音がした。
モニターを覗くと、女の子が、腕を組んでいる。
「ハルオくんここにいるんでしょ?!」
ユキオはハルオを見る。
「どうしたのこれ?」
「いや、この子と付きあっていたんですけど、ぼく地下アイドルyoutuberの子と最近浮気しちゃって、、めちゃくちゃ怒ってるんす」
「そりゃ怒るだろうけどさ、どうすんの?」
「ちょっと待ってください」
ハルオはアレクサもどきを、持ち上げ、インターフォンに近づける。
「ハルオくん?居るんでしょ?あたしとyoutuberどっちが大事なの?」
「youtube!」とアレクサもどきがインド訛りで絶叫する。
「は?本気で言ってんの?」
「うるさい!」とアレクサもどきが絶叫する。
女の子はドアの外で泣き出した。ハルオくんは、困ったように、アレクサもどきを床に起き、扉を開けた。
「ごめんごめん、もう浮気しないから許して?」
ハルオくんと女の子は結局仲直りして、手をつないで帰って行った。
「まあ、結局オーライか」
「youtube!」インド訛りの絶叫は続いていた。
で、結局これなんなの、とユキオは思った。