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"UltraSonik"ライナーノーツ

LilyCloneの新機軸として目指した海外インディや普遍的なロックへのアプローチ、そのマインドやサウンドを一つの答えとするべく今回バンドとしての初のフルアルバムを6月12日にリリースした。

LilyCloneは、Vo.YamatanekoとGt.pon.の二人がどちらも作曲を担っているバンド。
LilyCloneの初期作品ではVo.Yamatanekoのアンビエントなサウンド作りが主軸になっていたところから、Gt.pon.のUKロックに影響を受けたギターリフや歪みのサウンドを多く採用し「現場向き」な音へとシフトチェンジしていった。

元々自身のルーツの中に陰鬱なUKロックに傾倒していた背景が制作にも影響や反映をもたらしてきたことは、作曲者二人ともに共通するバックボーンであった。
コロナ禍明けを待って今「バンドらしいサウンドを鳴らそう」と共通の意識を持って音を鳴らし始めた。

今回のアルバムはロックというジャンルだけではなく、ファンクのエッセンスやシンセサイザーをこれまで以上に使い、サウンドにエッジを効かせると共に横ノリのグルーヴ感を出すことに全員が注力した。

LilyCloneの個性は、ブラックミュージックを感じるボトムグルーヴに対してウワモノがUKロックっぽいということ。
これらの要素はジャンルを決定しづらく、私たちにはリファレンスが存在していない。
日本という国でその存在を明らかにするのは不憫にも思えるが、それこそが逆接的にLilyCloneのバンドとしての立ち位置として唯一無二と成り得るのではないだろうか。

作曲者の二人が持ってきたネタや、DTMでプログラミングしたものをスタジオで合わせ、Drm.kosukeの力強いドラムサウンドと合わさることによっていよいよ実体を持って一曲一曲が大切に命を吹き込まれていった。

-ライナーノーツ


このアルバムに向けて制作、構想を始めたのは2023年の年明け頃。

それまで配信でシングルリリースを繰り返してきたLilyCloneは、その過程で自分達の表現を自分達自身でその都度確認しながら歩みを進めてきた。
本当に自分達が表現したいこと、聴いてほしい音、感じてほしいものとは一体。

現実の中で描く夢、降りかかる日々、愛おしいもの、理想、希望。

今回のアルバムで楽曲制作の主軸として選んだのはギターサウンド。
そして目指した音は"懐古的なロック"。

近年のシーンでギターを含まない「ロック」が増える一方、今自分達がギターに託す思いやエネルギーを改めて信じるところからスタート。

サウンド面では今まで以上にシンセサイザーを多用しサイケデリックさが増す一方、主体となるギターの音色は鋭利で凶暴とも言えるサウンドを提示している。

対して声の表現はアンニュイ、楽曲はダンサブルでポップな印象も与える。
サウンドに対してどこかひょうきんに感じさせる曲が多いのも、このアルバムの大きな特徴と言える。

一つの作品の中に自分達の精神的な一面をそれぞれ具現化した、シングル再録を含めた全11曲。


-曲解説 by Yamataneko

/M1 Down Somebody
ベースサポートで北條弘大くん(現SOLH INSTRUMENTAL)が2023年後半から手伝ってくれるようになって、彼のベースがタイトでグルーヴィなので、ファンクを意識した曲をやってみたくなって作った曲。元々別の歌が乗っていてライブで演奏しており、音源化を機にユニゾンのアプローチの歌に替えて歌い直した物を収録した。

/M2 Trip
自分が無能に思えることがあって、やり遂げるっていうことが登りきれない高い壁みたいに感じる日がある。そんな時に歌詞を書いておいて、そこに後から曲を乗せたりするんだけどそういうことをした曲。一瞬現実逃避することによってまた頑張りたいな、に戻れるから、人生にはたくさんの旅が必要です。中間のインターバルでDavid Bowieの「Girl Loves Me」からアイディアを引用した。

/M3 Edgar
曲のタイトルは最初愛称で適当に呼び始めるけど、なんとなく歌詞にも出てこない「Edger」とつけた。途中からこの人物の歌に思えたのでこのタイトルに正式決定。人生はうまくいかなくてそれがゆえドラマチック。絶望も感動も自分次第かもしれない。じゃあこんな地獄の中で踊り続けましょうというメッセージを込めたダンスチューン。のつもり。

/M4 Again
北野武監督が、なぜ暴力的な映画を描くのか聞かれた時に「平和な物を描いたところで世界が平和にならないじゃないか」というニュアンスの言葉を言ったか言わなかったかというところから、ネガティブに対してなんの落ち目も感じなくなった。だからこんなに明るくパリララ絶望を歌います。生きている限り明日は続いていくし朝はやってくる。編曲のタイミングでちょうどKula Shakerの新曲に出会ってダイアモンドホールにライブを観に行った。ジェイのオルガンがあまりにもカッコ良すぎてこの曲のキーボードをオルガンの音にしちゃった。

/M5 Fed Up (Ultra Version)
ロック基軸になってから初めてシングルカットした曲の新録バージョン。
ギターをアンプ録りから見直して再レコーディング。より強靭なサウンドに聞こえるようにミックスをし直しました。
シングルとサウンドが違うんだけどわかってもらえるといいなあ

/M6 BAXX
2年前くらいにX AMBASSADORSの音楽に出逢って、熱さと冷たさが共存した世界観に衝撃を受けて作った曲。サウンド的には唯一エレクトリック要素が大きい。ちょうどDrmのkosukeがメンバーに加わった辺りだったので、ドラムのレコーディングも確か2年前にしてあったもの。今回のアルバムに収録されることになったのは、Gt.pon.のアイディア。Drm.kosuke曰く「わたしの好きな曲」だそう。

/M7 Silver (Ultra Version)
こちらもシングルカットの新録、新ミックスバージョン。当初キーボードから始まっていた曲だったが、Gt.pon.によってものすごくヘヴィな編曲をなされた曲。ここまで尖っているのは自分達にとって新しいな、面白いなと思って半分悪ノリでギターのサウンドゴリ押しのミックスにしました。シングルにするにあたってアレンジを加え、グルーヴがより明確になるように再ミックス、強いと思います。

/M8 Same Pose
四つ打ちの曲、あんまり好きじゃないけどやってみたいかもというGt.pon.の声から生まれた曲。愛称は「4dot」。この詞はものすごく世の中に対して悲観していて、でもそうじゃん、違いますか?むしろこの考えや感覚を否定的してほしい、人じゃなくなりそう。という精神で書きました。もっと暗い曲になる予定だったのになぜか底抜けに明るい楽曲になってしまった。サビがいわゆる「サビ」っぽくないセクションの割り振りで、そういう曖昧なところも気に入ってます。ラララ

/M9 Prophet-1
短いダークアンビエントをアルバムのセパレートとして収録しました。1st singleの「光」のフレーズをサンプリングしてトラックメイクして作りました。「Junk Love」のイントロに繋がるようなってます。

/M10 Junk Love
あらゆるものを歪みで構成してインディロック感を全面に出した楽曲。それに対して歌は艶やかなものを、というバランスでカオスの表現をしたかったのでミックスが最後まで困難を極めました。歌詞は最悪な片思いっていう感じ

/M11 Keepin Quiet (Ultra Version)
シングルカットの新録アルバムバージョン。Gt.pon.が適当に弾いたギターをVo.Yamatanekoが気に入りすぎてシングルカットまで持ち込んでいて、ギターのフレーズやアプローチとしては非常にシンプルな曲。これもギターをアルバムバージョンとして録り直して、シングルとはまた別の角度からラウドサウンドにミックスし直しました。ギターは何テイクか重ねて奥行きを出していて、これも歴史的なロックやシューゲイズの手法に基づいてアプローチし直した。

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「UltraSonik」の"K"がなぜ"C"ではないのかというとこれはKがアルファベット11番目であること。
このアルバムが全11曲だということ。

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