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恥ずかしい気持ち

恥ずかしい体験は、概ね笑い話になるってオトナになって知った。

たいていの恥ずかしかったことは、ジワジワ面白くなってくる。

一方、ジワジワ恥ずかしくなっていく体験もある。今日は、そんな話。

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娘の学習発表会。演目は『ブレーメンの音楽隊』。

歌や楽器や配役は、オーディションで決まる。彼女が残念ながらコロナ(無症状)罹患で学校に行けない期間にオーディションは、開催された。

だから、残り物の役でションボリしていたけど、ある日気を取り直した。

役割は、犬で歌の係。

休日に友人と歌の練習をするほど熱中した。本番当日に向けて、どんどん気持ちが盛り上がって行く様子がわかった。

家ではずっと歌い、衣装の準備、お面など手作りする物の話題を饒舌にとても楽しそうに話す。

「詳しくは言えないけど、観てもらえるのが楽しみー!」と言い、前日は興奮して寝られないほどだった。

残りものの役だから人気の役ではないだろうし、だけどこんなに高揚するのは、ソロパートでももらったか?と、私は思った。

当日、私もそれなりにドキドキして観劇。

終わって、夫と顔を合わせた。

「ん?あんなにドキドキする要素はどこにあった?」と不思議になるほど、大勢で短い歌を歌うだけの役だった。

・・・

この感想を抱いてしまった私は、どれだけ荒んでいるのかと、みるみる恥ずかしくなった。

彼女は、歌を練習して覚えていく過程や、友だちと共通の目標『劇の成功』に向かって、考えて作っていく行為に高揚していたのだ。

ソロじゃないとか、セリフがないとか、自分の成功がドキドキのポイントではないわけだ。

あたしより、よっぽど視野が広い。あー、ジワジワ恥ずかしい


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