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ブランドたちの記録・記憶 1 :DOLLY GIRL BY ANNA SUI

はじめてDOLLY GIRL BY ANNA SUI(以下、DOLLY GIRL)の服を見たのは、新宿伊勢丹の地下2階だった。今はビューティアポセカリーになっている場所に、イセタンガールがあった。どのような服だったかはっきりと思い出すことはできないが、白いヨーク襟がついた黒いワンピースだった。とにかく可愛かった。現実の世界にこんなに可愛くて、かつ着易い服があるのだと驚いた。


中高時代はロリィタファッションを身にまとっていたが、大学に入る時に、服の系統を変えた。RayやCanCamに載っている服を買ってはみたが、どうもしっくりこない。ルミネで買ったアンサンブルにスカートをあわせたが、自分が思う自分像と乖離している。

ありたい自分、なりたい自分とかけ離れた服を身に纏っても、服を着る楽しさをあまり感じられなかった。とはいえ、家庭教師や塾講師のアルバイトをしていたので、ロリィタファッションで通学するわけにはいかない。

「ありたい・なりたい」と、「あらねばらならない」の間に現れたブランドが、DOLLY GIRLだった。


DOLLY GIRLは、ANNA SUIの姉妹ブランドだった。冬物は紫や黒、大きな花柄を多用し、ANNA SUIらしいロマンチックさを持つ服を展開していた。ベレー帽が合う服ばかりだった。コートの形もクラシカルで可愛く、他のブランドには売っていないようなデザインの服ばかりだった。夏物は冬物に比べてカジュアルだが、丸襟のワンピースだったり、レースを使っているものが多く、シンプルながらも趣味に合うデザインが多かった。

どうやら、ロリィタファッションが好きな人たちからも人気があったようで、DOLLY GIRLに寄ってから、マルイに行くお客さんもいたようだ。

DOLLY GIRLの良かったところを列挙すると、

・非日常感がありつつも、特別な時以外にも着られる服が多かった。

・ノベルティが充実していた。

・年々スカート丈が長くなり、服と一緒に年を重ねていく買い手への配慮を感じられた。

・質が良い服が多く、数年飽きが来なかった。

・ロマンチックなデザインが中心だが、トロンプ・ルイユのワンピースなど、モードなデザインも出していた。

・毎年似たようなテイストの服を出すので、「ここのブランドが出す服は100%買って大丈夫」という安心感があった。

・「お人形さん感」があった。


そんなDOLLY GIRLは、今はもうない。

2017年3月末で、ブランド終了となってしまったのだ。知らせを受けた時は非常にショックだった。もう新作が出ないということは、服好きにとってショッキングな出来事である。 デザインと店員さんが大好きだったのは勿論、DOLLY GIRLの服を着ていれば、どんな場所でも行くことができるという安心感があり重宝していたので、閉店後どこで服を買えば良いのかわからなくなってしまった。


ブランド終了からもうすぐ1年経つ。DOLLY GIRLに代わるブランドを、未だに見つけられていない。

DOLLY GIRLで最後に買ったワンピース。

可愛いでしょう。天使の柄のワンピースだったのですよ。


ここ数年、ロリィタブランド含め、好きだったブランドが次々と閉店している。記録を残し、私の人生に花を添えてくれたブランドへの敬意と感謝を表現したい。ありがとう、DOLLY GIRL BY ANNA SUI。

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