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#6 リアルな英語はどう学ぶ?オーセンティック教材の良さ

英語を勉強しても実際の会話になるとリスニングが追いつけない。

教科書でリスニングを練習したり、英検やTOEICでリスニングはできているのに、なぜか海外の人との会話になると、相手のことが聞き取れない、相手に合わせて話せないという人もいるのではないでしょうか。

以前の記事で、日本の英語教育のモヤモヤの中でも挙げていた、リアルな英語や会話はいつ学ぶの?という疑問 ↓

そのモヤモヤを解決する一つの手として、オーセンティック(Authentic)教材というものがあり、これはよりリアルな場面でのリスニング力やスピーキング力を強化できると言われています。TESOLを受講した際にもこの教材を使用する大切さについて学ぶ機会がありました。

そのため、今回はそのオーセンティック教材とは何か、どうして役に立って、どのように教室や自宅学習で取り入れることができるのかを私なりにまとめていきたいと思います。


オーセンティック (Authentic) 教材とは


《 1 》Spoken language vs Written language

まず、前提として英語に限らず言語には、「話し言葉」と「書き言葉」があると思います。話し言葉は普段私たちが使う「少しくだけた言葉」の一方で、書き言葉は今私がこのnotesなどを書く際に使用する「丁寧な言葉」です。これは私が実際話す時とは使用する言葉が違います。

この「話し言葉」というのは、英語を学ぶ段階で触れると人と会話をするときに役に立ちます。なぜなら、相手の言っていることが聞き取れて初めて自分でもそれに対して返すことができるようになるからです。様々な場面に応じてよりナチュラルな英語を自分でも話せるようになれるはずです。

ただ、教科書に出てくるリスニング教材の多くは、「書き言葉」をただ音声が読み上げているようなものが多いです。発音などもアメリカ人やイギリス人の発音が多く、実際のスピードより遅くして読み上げ、感情のふり幅もそこまでなく、わかりやすいよう作られています。言語の正確性はあるため、検定試験やテストのための勉強などには役に立つと思いますが、実際の会話になると、聞いてきた英語とは違うぞ?となってしまうわけです。

一方、オーセンティック (Authentic) なものは、もっと砕けた表現や文法を用いて、早さも実際の会話と同じくらいなものが多いです。オーセンティック=リアルなものと思えばいいと思います。映画やYouTuberなどが挙げている動画、ニュース番組や記事などがオーセンティックなものと言えます。

よく日本語が上手な海外の人にどうやって日本語を学んだのか聞くと、大体の人が「アニメ」と答えます。それは、アニメを通して、よりリアルな会話や表現を感情付きで覚えているため、実際に人がどう会話するのかがわかるのです。

《 2 》オーセンティック教材の必要性

実際のネイティブが話す人の英語の中には、以下の要素が含まれていると言われています。

1.文ではなく単語を集めて話す場合がある
2.同じ文章やフレーズをリピートする場合がある
3.略語を使う場合がある
4.話しの間などがある
5.スラングや慣用句を用いる場合がる
6.話すスピードの幅がある。重要な内容はゆっくり言ったりする
7. 音の上り下がりなどで話しの内容を強調させる

これらを学ぶためには、実際に話している人の英語を何回も聞いたり触れたりすることが必要です。そのため、オーセンティックな教材を使用することで、実際に近い英語を聞いたり、表現を学んだりすることができるのです。

例えば、教科書では
"How are you?"の答え方に対して、I'm fine thank you, and you? と書いてある場合が多いですが、実際には "good, not bad" と答える人が多いです。逆に "I'm fine"というフレーズは"私は大丈夫だから(気にしないで)"みたいなニュアンスも含まれて少し冷たい感じに聞こえてしまいます。また、友達同士の場合は ”how are you?"よりも" what's up?" やそれも略して "sup?"なんて聞くこともあるでしょう。友達同士の会話などは特に、映画や動画などから学ぶか、実際に海外の人と話すほうがよりリアルです。


教材の種類


オーセンティックな教材は、今やネットがあるのでアクセスが簡単です。

その中でも私がよく教室で使用していたり、普段見ているものにこんなものがあります。

《 1 》初級者ー中級者向け

初級者のうちはひたすら英語の音に慣れることが大切だと思います。なので、好きな洋楽を聞いてみるだけでも様々な音や表現を学べます。また、少し慣れてきたら、ティーン向けの短編ドラマがたくさんあるディスニーチャンネルを私はよく見ていました。実際の会話や表現、ジョークなども出てきてより実践的です。特にこの2つのお話が私は好きでした。

① Hannah Montana

② The Suite Life of Zack and Cody

《 2 》上級者向け

英語がある程度分かってきたら、英語でニュースやスピーチを聞いてみるのも良いと思います。①のTEDは有名な人から一般人までがあるテーマについてスピーチをする日本でも有名なサイトです。スクリプトや翻訳もついているので、意味理解にも役立ちます。②も世界のさまざまなニュースを音声とともに取り上げくれるので、毎日1つ記事を聞いて読むだけでも効果があると思います。

① TED
↓ 私のお気に入りスピーチ

② Words and Their stories


教材を用いてさらにできること



このようなリスニング教材と組み合わせてスピーキング、リーディング、ライティングの練習も実際に教室でやることができるし、自宅学習でも組み合わせることができます。

例えば、TEDを聞いたとにスクリプトを読み、わからない単語を調べる、意味を理解する、そしてまた聞き直す。一緒に音読してみる。スピーチの内容についてどう思ったか、取り扱っているテーマについての議論、自分なりのスピーチ作成などできることは無限にあります。

なにより大切なのは、実際の英語に触れるということです。
お気に入りの教材を見つけて、それを毎日聞いたり、読んだりしているだけでもいいと思います。教室でも教科書だけを頼りにするのではなく、このような教材も随時取り扱うことは、教室外の世界と生徒をつなげるためにも大切なのではと思います。

☆簡単プロフィール☆
千葉県出身。幼少期、小4〜高校卒業まで海外で過ごす。国はラオス、ニュージーランド、ネパール、アメリカの計10年。日本に帰国後、教師という仕事に興味はあったが、教員免許は取らずに大学を卒業。その後、発達障害児サポートのベンチャー企業に就職。やっぱり教師という夢を捨てきれず、1年で退職。その後、塾で働きながら通信大学で教員免許を習得(中高英語)国際バカロレアに興味を持ち私立中高一貫校の英語教員兼MYPコースの担任&教科担当に。現在は夫の転勤でシンガポールに在住。TESOL修士課程を取りながら英語×探究のメソッドを深めるべく海外でできることを模索中。

参考文献:

Helgesen, M., & Brown, S. (2007). Listening for beginning level learners. In Practical English language teaching: Listening (pp. 25–58). McGraw-Hill ESL/ELT.

Newton, J. M., & Nation, I. S. P. (2020). Teaching ESL/EFL Listening and Speaking. Taylor & Francis Group.

Sabet, & Mahsefat, H. (2012). The impact of authentic listening materials on elementary EFL learners’ listening skills. International Journal of Applied Linguistics & English Literature, 1(4), 216–229. https://doi.org/10.7575/ijalel.v.1n.4p.216

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