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クローン病とともに。後編

みなさん、こんにちは。すとろべりぃ。です。

今回は、私の持病である「クローン病」について、日常生活でどのような苦労があるのか、また周りの人に求めることは何なのかを、私の実体験をもとに説明していきます。

クローン病の概要と発症時の様子について述べた【前編】をまだご覧になっていない方は、ぜひそちらからお読み下さい!
(下のリンクからジャンプできます。)

それでは、後編スタートです。


食べることが好きなのに

2度も入院した病院を無事に退院し、安心したのもつかの間、私にとって「試練」とも思える食事制限が課されました。
(一般的にこの制限のことを「栄養療法」や「食事療法」と呼びますが、ここでは食事制限と呼ばせていただきます。)

それは、「脂質」を避けるということです。

脂質といえば、みなさんご存知の通り、五大栄養素の一つで、料理で頻繁に使われるサラダ油やごま油などはもちろん、牛肉や豚肉にも多く含まれています。

これを避けて食べることって、意外と難しいんですよ。
マクドナルドなどのファストフード系はもとより主治医からストップがかかっていましたが、コンビニ食や外食では脂質の多いものばかりになります。

私は一食当たりの脂質が約10gになるように、日頃から気をつけています。これは、クローン病患者が「寛解」(かんかい、病状が安定し日常生活を問題なく送ることのできる状態のこと。難病は「完治」と言い切ることが難しいため、このような表現が用いられます。)を保つためには、一日当たりの脂質摂取量を30g未満とすることが望ましいとされているからです。

ちなみに、油脂類には積極的な摂取が求められるものと、摂取しすぎないよう注意しなければならないものがあります。

私が食事制限をかけられたのは、動物性脂肪(牛肉や豚肉など)であり、反対に動物性脂肪の中でもツナ缶等に含まれる魚類の脂肪や、植物性脂肪は摂取不足が懸念されており、積極的に摂取することが大切だと言われています。

これらは私たちクローン病患者、というよりも健常なみなさんの方がより気をつけなければいけないことかもしれませんね。

みなさんも、普段食べている食事がどのくらい脂質を含んでいるのか、栄養成分表示を参考にしてみて下さい。
きっと私の個人的ノルマの厳しさが分かると思います笑

このように制限を続けていくと、まぐろの大トロ・中トロやサーモン、焼きサバなどでさえ脂っこく感じてしまい、徐々に食べるのがきつく感じてきます。

さて、当時の話に戻すと、そこからさらに食物繊維の量も制限するように言われていました。
食物繊維を含む食べ物は、主にいも類や海藻類、きのこ類など、普段の食生活でよく食べるものばかりです。

こうなると、どんな食事なら大丈夫なのかが全然分かりません。私も母も、当初は厳しすぎる食事制限に困惑しながらも、試行錯誤して食べられるものを模索しました。

おかゆ、うどん、寿司パック…
脂質を避けようとすると、家では徐々に同じメニューの繰り返しになってすぐに飽き、もう少し何かないのかと不満に思っていました。

今では制限されていたものも、たまに食べる程度であれば影響は少なく、食物繊維も積極的に摂取するようになりましたが、食べることが大好きな私にとっては当時は苦行としか思えない制限でした…。

それゆえ、退院してからというもの、大学の友人とご飯を食べに行く時は気を遣わせてばかりで、食べるものの選択肢が限られてしまうことに申し訳なさでいっぱいでした。

今でも覚えているのは、2回生になったばかりの時期、指導教員の教授の先生と、大学の友人とでお好み焼き屋へご飯に誘われたのですが、中に含まれるキャベツや豚肉に制限があると思い詰めてしまい、「自分は行かない、行けない」と涙が溢れてしまいました。

それ以来、どうやったら人に気を遣わせずに外食を楽しめるかとばかり考えて、結局今でも改善できてないままです…。
(この記事を読んでくれている友人のみんな、もっといろんなジャンルのお店に誘ってください😢
串カツ豚カツ以外ならなんでも食べます🥺)

しかし、この食事制限が良い方向に働いたなと思うこともあります。まず第一に、体重が安定したことです。
もちろん何kgかは言いませんが笑、高校の頃より約4~5kg落ち、そのままの状態をこの3年キープできています。

ダイエットを考えている皆さん、一緒に脂質制限始めてみませんか?(冗談です、でも結構本気で効果あると思っています。)

さらに、今まで以上に野菜を積極的に摂取できるようになったのもいい点です。私はもとから野菜の好き嫌いはほとんどなく、唯一トマトだけが苦手でした。

しかし、今となっては脂たっぷりのお肉に代わりサラダを食べる機会が増え、頻繁に出されるトマトを食べ慣れたことで、積極的に食べるようになりました。
(今でもトマトジュースだけは苦手ですが笑)

「常備薬」を持つということ

私は入院から退院して今に至るまで、ずっと薬を服用し続けています(これを薬物療法と言います。「薬物」と聞くと、個人的にはいいイメージがないので、ここではあえて呼びません)。クローン病の治療法が完全に確立されるまでは、一生付き合っていくことでしょう。

私が薬を「飲む」と言わず「服用」と言ったのには、意図があります。クローン病の治療のために、定期的な皮下注射が求められるためです。

私は現在、「ヒュミラ」という注射を2週間に1度自分で打っています。おそらく、皮下注射というと1型糖尿病の方のインスリン注射なら聞いたことある、という人もおられるかと思います。

それと似た感じで、お腹や太もも、二の腕など脂肪の多い部分を注射部位として、毎回部位を変えながら注射します(打った後しばらくの期間は皮膚が固まるため)。

私が処方されているヒュミラは、シリンダー型(注射と聞いて連想される💉←この形)ではなく、ペン型と言って、ボタン一つ押して数秒待つだけで薬剤が注入される形なので、最初は抵抗がありましたが、すぐに慣れてスムーズに打てるようになりました。(以下がその画像です。)

https://medical.eisai.jp/products/HUR_40PN04/ より引用

このヒュミラという注射は、免疫抑制剤のため、健全な方より風邪の諸症状が出やすくなってしまいます。
そのため、今となっては新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、みなさんがマスクを着用するようになりましたが、私はそれ以前から夏冬関係なくずっとマスクを着用していました。

これ以外にも飲み薬として、顆粒型の粉薬と整腸剤を服用しています。

私はもとより不安や緊張を感じる場面ですぐお腹が弱くなってしまう性質があり、「過敏性腸症候群」も併発していると診断されたため、下痢を起こしにくくする錠剤も処方されています。

最近では胃が弱くなってしまったのか、たまにけいれんすることがあるため、胃薬も服用しています。

さらには私の場合、直腸付近の病状が一番良くなく、軟便や血便といった症状が頻繁に現れるため、座薬を毎晩注入しています。

細々した薬をまとめると、普段から薬を飲んでいない人にとっては本当に多すぎると感じるほど、私は(言い方は悪いですが)薬漬けの生活です。

当然、薬代としてかかるお金はバカにできません。最初に紹介したヒュミラだけでも、薬局では到底払ったことの無い値段を目にすることでしょう(次の通院の日までかかる日数、大体1回に3、4本購入します)。

幸いなことに、難病の治療にかかるお金は、診療費、検査費、薬代含めてある上限を超えて払わなくてもいいという医療費助成制度があるため、実際の価格よりかはかなり安く抑えられています。それでもほぼ毎月1~2万は飛んでいきますが笑

定期的な通院が欠かせない

以上で紹介した薬を継続して処方してもらうためには、やはり定期的な通院が欠かせません。

病状の変化の把握のため内視鏡検査を年に1、2回受けることも考慮すると、やはり女性医師の方が安心できます。(中の人は女性です。)

そのため、入院時から主治医としてお世話になっている先生のクリニックに、車で往復2時間強かけて1、2か月に1回ほど通っています。

私自身、つい4か月ほど前に運転免許は取得したのですが、体にかかる負担や運転への不安、そして何より治療費が高いので、なかなか一人で通院…というわけにもいかず、親に送ってもらっています。

普段の受診の際には、体調の変化(痛みの有無、便通の状態、どんな状況で症状が現れやすいかなど)や生活環境の変化についてお話しします。
特に、私は3月に大学を卒業し今月から教員として働き始めたばかりですから、環境は大きく変化していますし、体調にも大きく影響を及ぼしています。

私の病状の様子を定期的に見るために、採血をして帰ったり、内視鏡検査を受けたりもしています。

入院時からもう何回打ったか分からない針ですから、採血はお手のものです。自分から、「どちらの方が(血を)取りやすいですか?」と看護師さんに尋ね、採血の一連の動作をスムーズにできるほどです笑

内視鏡検査はいつも鎮静剤(いわゆる全身麻酔です)を使用しているので、切れかけた時は違和感がありしんどいですが、ほとんど何も感じないまま終わります。

最近胃もたれがあってからは、初めて胃カメラを鎮静剤ありで経験したのですが、胃カメラの方がかなりきつい印象でした。
口から入れるタイプで、鎮静剤が切れかけると口を広げて管を飲み込んでいる感覚とお腹の違和感とで、何度も吐きそうになってました。

一方、内視鏡検査はどちらかというと検査前の処置がしんどいです。なにせ、2Lの下剤をちょびちょび飲みながら、故意に下痢を何度も起こし、トイレに通わなければいけないですからね。
私はいつも脱水症状でめまいと立ちくらみ、吐き気がして倒れそうになります…。

…とまあこんな感じで、私はのびのびと過ごしております。


おわりに 
〜クローン病患者とうまく付き合うために〜

ここまで長々と私の体験談をお読みいただき、誠にありがとうございます。
クローン病患者の生活の実態の一例として、個人差はありますが参考にしていただけると幸いです。

さて、この記事を読んでくださった方はほとんどが重い疾患のない、健常な方だと思います。
そんな方々に私から、クローン病患者が周りにいる場合の、付き合い方のコツをお教えします。

⒈ 食生活は人それぞれ
世の中にはいろんな食生活の人がいますよね。ベジタリアン、ヴィーガンなど、一部の食材しか食べない人もたくさんいると思います。
クローン病における食事制限も、似たようなものなのです。「脂質を避ける」と聞くと、もしかすると肉・脂ダメ!って思うかもしれませんが、完全にそうなってしまった訳ではありません。

私は焼肉大好きですし、バターを使ったような料理も好んで食べます。ただ、体調の都合上、食べられる頻度が人より少ない、そんな感じです。

なので、打ち上げなど気分を盛り上げたい時には焼肉屋でもいいのです。クローン病の人は無意識のうちに、脂身の少ないハラミやタンを好んで食べると思いますし、キムチやご飯があれば十分食事を楽しめます。

ただ、串カツ屋など、脂質を避けられそうにないお店は行くのを躊躇します。食べられるものがほとんどないですし、ただ手持ち無沙汰で退屈なだけですからね。

私が友人や彼氏とよく行く外食は、

  • 回転寿司(圧倒的に多いです)

  • しゃぶしゃぶ

  • そば・うどん

  • 洋食屋さん(ハンバーグやパスタ、オムライスなど)

  • お好み焼き

  • ビュッフェ(情勢を考えると今は難しいですが、行けたら楽しいです)

こんな感じです。ぜひ参考にしてみてください。

もちろん、パーティの際にはピザやたこ焼き、ケーキなんかもOKです。判断基準は人それぞれなので、一度聞いてみてください。

⒉ トイレに行きたい

クローン病患者は、いつお腹が痛くなるか分かりません。突如としてトイレに行きたくなることもしばしば。

なので、一緒に過ごす人はトイレに行くタイミングなどに気配りしていただけると、とても安心します。

どうしても、学校の授業中だったり勤務中などは、トイレに行きづらかったりするので、無理に我慢するようなことのない雰囲気作りや、理解を広げていってもらえると嬉しいです。

⒊ 体調はコントロールが難しい

いくら食事制限や服薬に気を遣っていても、ストレスなどの社会的環境により体調が変化することもしばしばあります。

クローン病の方が腹痛を訴えている時は、もしかしたら症状が悪化しているサインかもしれません。

その際は無理をせず、ゆっくり休息を取る事が一番回復が早くなると思うので、患者さんの友人や同僚、上司の方は、理解していただけると幸いです。

以上3点が、私からクローン病患者として伝えたい支援の方法です。
少しでも多くの人にクローン病への理解が進みますように。

ご拝読いただき本当にありがとうございました。

もしよろしければ、これから不定期的にクローン病患者の社会人生活の実態等を投稿していく予定ですので、フォローやハートで応援してください!お待ちしています🙇🏻‍♀️

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