【RAW現像実況】メタルプリント発注
今回、パイオテック社のアルミ製フォトパネルのメタルプリントを2枚、発注しました。
このパネルは、2023年には阪神タイガース優勝オフィシャルグッズにも採用されていまして、私が利用するのも今回で2回目。
お値段も決して安くない(1枚8,000円ほどの)プリントで、丁重に仕上げて発注したので、完成に至るまでの過程(主にLightroomでのRAW現像)を書き残しておきたいと思います。
今回の1枚目
SNSに投稿したところ反響も(自分比で)大きかった、マツダスタジアムで撮影した横浜DeNAベイスターズ・中川颯投手の写真。移籍1年目の思い出に制作することにしました。
<選定理由>
・立体的なアンダースローを表現するため、ローアングルで撮影できたマツダスタジアムの正面砂かぶり
・テイクバックで右手が一番高くあがる瞬間
・一塁側から撮れれば目線もキャップのつばに隠れず写せるので理想だったが、残念ながら三塁側からしか撮影できていなかったため妥協
→実際に一塁側から撮影された方の写真を見ると良かったので来年以降チャレンジしたい
→目線が写ってないのもそれはそれで格好良くてお気に入り
・本人がシーズン終了時にSNS投稿したうちの1枚に使っていただけたため
今回の2枚目
続いては今年2024年に(特に私から)惜しまれて現役引退した東芝・松本幸一郎選手の都市対抗での写真。引退記念に制作することにしました。
<選定理由>
・長年貫いた特徴的な一本足打法で足のあげ方が綺麗な瞬間
・伝統の赤いビジターユニフォームを三塁側から撮影
※東芝の公式HP掲載写真などにも、白のホーム用ではなく、襟付きの赤のビジターが使われている
・横浜スタジアムでの都市対抗予選、東京ドームでの都市対抗本戦、京セラドーム大阪での日本選手権本戦から選ぶ
・上記球場のうち、打席正面のスタンドが最も低い位置にあるのが東京ドームのため選出
・彼が東芝のユニフォームを着て出場した最後の都市対抗(2023年)の写真
今回の仕様
以前は「ホワイトグロス」というベーシックなパネルカラーを選んだのですが、今回は2枚とも「クリアグロス」を選びました。
・「クリアグロス」はメタリックな写真に似合うらしい
・今回の写真はナイター、ドーム球場と、自然光がない状況での撮影
・どちらも色がはっきりとしたビジターユニフォーム
・背景の彩度を落とし、ユニフォームと顔の色を残す作風だと似合いそう
ということで、これがもしデーゲームの写真、ホームユニフォームの写真であれば、最初からホワイトグロスを選んでいたと思います。
なお、サイズは家でも飾りやすいA4より一回り小さい大きさをチョイスしました。
撮影時のポイント
2枚の写真に共通して心掛けた点を振り返ります。まずは元写真をご紹介。
どちらも露出条件がそこまで良くないので、1枚モノの写真に仕上げることを前提に、露出アンダーでRAWで撮影しています。自分の中で「これくらい暗くても、完成系では不自然ない明るさで、ノイズも程よく調整して現像できる」というラインがこれくらいの暗さです。
シャッタースピードは被写体がブレない程度に速く設定し、露出を稼ぐ&被写界深度を浅くするために絞り開放にしつつ、後からノイズ補正するとは言え、ISO感度は最も優先度を落として設定。完成系の構図を意識して、少し余白を持った画角で、水準器で水平を見ながらシャッターを切ってます。
完成系のイメージ
今回はパネルにして飾る(あわよくばサインを書いていただきたい)ことを想定して、被写体を目立たせ、背景を目立たなくさせるような完成系をイメージしました。サインペンはゴールドかシルバーが良さそうです。
また、2枚並べて飾ることを想定しているので、画面の大きさに対して、同じくらいの被写体の大きさや余白の広さになることを意識しました。トリミングでは2枚を並べて、納得いくまで調整しています。
三分割構図をベースに整える
それでは実際の作業に入って、まず縦長にトリミング、今回の画像データ推奨サイズの210mm×260mmの比率で切って、水平を調整してから、構図を整えます。
※本項目のスクリーンショットは現像後の写真を使ってます
印刷してから「うーん、なんか配置がイマイチ」を起こさないためにも、キャンバスの中にどう被写体を配置するのかは妥協しないこと大事。
たまに黄金比でも見てますが、一旦はこれでOK。
基本的な露出調整
作業を始める前に、まずはノイズ処理。AIノイズ除去の適用量は、ディテールが滑らかになりすぎず、シャープさも保たれるくらいが好みなので、30~40にしています。
露出調整に関して、自分はそこまでトーンカーブは使わないので、まずライトの項目で色々と調整していきます。ではスタート。
今回は背景の露出を暗く・彩度を低くすることを前提にしているので、コントラスト強めにしようと思っていました。黒レベルを少し落とすと、全体的に引き締まった色合いになるので好きです。(家族写真などふんわりした写真の現像ではあまりやらないですが)
一方で、コントラストを強めると白飛びしやすくなってしまうので、ハイライトを抑えて、ユニフォームのパンツの白が飛ばないように抑えています。
シャドウをあげているのは、背景が潰れすぎると違和感あるかなと思ってのことですが、今考えたらそこまで上げなくても良かったかもしれません。
トーンカーブで明るさを微調整して、全体的な露出調整は終わりです。
基本的な色調調整
ユニフォームの色を鮮やかに出しつつ、肌や道具の色が不自然にならないように、かつ背景のトーンは落としていきます。
・マウンドの土の色を抑えるために、カラーミキサーでオレンジの色を拾って輝度を上げてます。
・ユニフォーム以外に赤の要素がなかったので、人物マスクする前に全体的に赤の彩度を上げています。このユニフォームは少し光沢感があるので、輝度も若干上げて質感を出しています。
・背景の人工芝やフェンスの緑の色を抑えるために、一旦ここで緑の彩度も落としています。
今回は背景もスッキリさせて、色あるところの色もハッキリさせているので、カラーグレーディングは特に使いませんでした。
人物・背景のマスクを作成
特定の部分だけ露出や色調を調整するため、マスクを使って作業を進めます。
人物マスクではシャドウを上げて顔の影を明るく飛ばします。また、ハイライトをここでも低く調整して、ユニフォームのパンツの白色が飛ばないよう抑えています。肌の色もポイントカラーで最終的な調整をかけていきます。
通常なら背景の彩度は調整しませんが、今回は記念パネルに仕上げるということで、背景マスクで彩度を大きくマイナスに。合わせてマウンドやバッターボックスの土の色を調整するために、こちらもポイントカラーで色を拾って微調整。
被写体を目立たせるために背景を完全にモノクロにするやり方もあると思いますが、少しくらい背景色を残しておいた方が見た目の違和感が薄まる(完全にモノクロだと被写体が浮いてしまう)ので、今回はこんな仕上げに。参考までに下記にサンプルを載せておきます。
もっと細かい調整が必要な場合は、手動でブラシツールでマスクして細かく露出や色調を調整します。今回は颯の写真の下記の赤くマスクした部分が、自動の人物・背景の切り抜きで重複してたので、細かく修正。
せっかくなので、これをやる/やらない場合の比較も置いておきます。
周辺光量補正で仕上げ
最後に周辺光量補正で四隅を減光させて写真の雰囲気を締めていきます。
どんな感じに変わるか比較用にスクショしたので掲載してみます。
シャープ強めで書き出し
ノイズ処理をかけると、どうしてもディテールがツルツルになりがち。テクスチャ(とついでに明瞭度)を上げてハッキリさせつつ、シャープと粒子を足して、質感を出していきます。その上で、手動ノイズ軽減を利用して、微調整。
プリントする際はシャープが甘いと輪郭がぼやけてしまうので、シャープは強めに。カラースペース(色空間)は先方の入稿基準でAdobeRGBが指定されない以外は基本的にsRGB。
実際には今回記載した順番でストレートに進むわけもなく、何度も前後の工程を行ったりきたり、あーでもない、こーでもないと考えながら手を動かすわけですが、これにて入稿用のJPEGデータは完成です!お疲れ様でした!
完成品がこちら!
自然光のもとで見るのが一番綺麗に見えました!
実は今度は同じ写真を微調整して「ホワイトグロス」の仕上げでも作りたいと思ってます。1枚8,000円くらいするので、タイミング見計らってますが、発注したら比較して、また投稿したいなと思いつつ、今回のnoteを締めたいと思います。
長い記事になってしまいましたが、お読みいただいた方のご参考になれば何よりです。Lightroomの操作方法が分からない人は、とにかく自分で色んな項目を触ってみて、実感してみるのが一番身につくと思うので、とりあえず手を動かしてみよう!