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ゴースト&レディ観劇レポ※グレイの観察、考察だらけ(2024.9.13)

初投稿です。うまく纏められない駄文ですが、お目汚し失礼します。


はじめに

四季の会に入っているのでゴースト&レディがオリジナル演目として舞台化するという発表も見ていたし、候補キャストの一覧を見て「とんでもないキャストで固めてるなぁ」とは思ってましたが、最初は興味がなかったんです。原作も当時は知らなかったから…

あの頃の自分へ。1年後にとんでもない沼に落ちてるぞ。

今回は2回目の観劇となった9/13のレポとなります。
注:萩原さんグレイの事しか書いてません。


コラボ初日のポストカードと共に!


9日のキャスト発表の時も思ったけど、改めて劇場のキャスボを見て「本当に今からこの方々の演技を一気に見るんか…?」って混乱した。

これを四季オタじゃない人にどれだけ凄いことか説明しようと考えたときに
「アリエル、エルサ、ジーニー、エスメラルダ、アナ、フランダー、ベル、ルミエール、スカー、ルフウ、エリック、シンバ、ポット婦人を演じた人が集結している」
という文言が一番しっくりきたけど、こうやって書くだけでも本当とんでもないメンバー。
四季がどれだけこの演目を成功させたいか、その本気度がめちゃくちゃ伝わりますよね。

それをこの近さで…?塵となって消えるが?

第一幕

等身大の演技が見える贅沢さ

画像の通り最初の登場シーンがめちゃくちゃ近い事が確定したため、客電が落ちる音に怯えながら緊張して待っていました。
でも本当に真っ暗で何も見えず、気づいたら青い照明に照らされたグレイがそこに立ってて知らん間に口が開いてた。

だって、前回は2階でそれでもだいぶ近く感じたけど、距離感のレベルが違う。本当に等身大。

別界隈の話になりますが1週間前にポルノグラフィティのライブで横浜スタジアムに行ってたんですけど、座席がスタンド後方で。
彼らの姿は豆粒サイズでモニター越しにしか表情確認できなかったんですよね。それでも「思ったより近い!」なんて思いながら楽しんでたわけですが。

それを経験してるので余計に信じられないというか。
とにかく目に焼き付けなければと必死でした。

原作グレイを彷彿とさせる表情

そのグレイですが、照明が当たって歌い始めた時から観客に気づくまで、遠くを見つめた寂しげな切ない表情をしてるんです。長年ずっとこの世を彷徨っている正に「ゴースト」。

そのグレイが私たちに気づいた瞬間の信じられないといった顔、拍手を送った時の嬉しそうな顔。人間と話すのが200年ぶりと気づいた時の少し切ない顔…
直後、自分の書いた物語を観せられると気づいた喜びに満ちた顔。幕を上げるワクワクした笑顔。
これ、歌い出しから初日の幕を上げるまで、たった2分30秒なんですけど(サントラ調べ)、とんでもない濃さですよね。
まるで漫画を一コマずつ見ているかのような表情の移り変わりで、私達がグレイと言うキャラクターに一気に引き込まれるのはこのお陰なんだなと思います。

飄々さと軽口で覆う本音

萩原さんグレイは特に一幕の序盤において、飄々とした軽い口調でフローと話している印象です。

でもそれは「誰とも深く関わりたくない」気持ちを相手に悟られないようにわざとそう言う話し方をしてるんだろうなと思って。(相手が女性だと尚更)

『二度と誰も信じるものか 裏切られるよりも孤独の方がまだマシだ』
~奇跡の夜に(リプライズ)~

この歌詞が序盤のグレイそのままですね。

ちなみに婚約者が「そんなにひどい男なのか?」と聞く時も、「使命?」と聞き返す時も、小ばかにしたような、片眉と片方の口角だけ上げる悪い顔をするんですけどあの表情めちゃくちゃ好きです。

アレックスがサムシングフォーを渡した直後の「どちらか選べよ」という台詞も口調は軽いんですけど、どうせ女は金にくらむってシャーロットの影を思い出しながらの切ない笑顔で言うんですよね。

だからこそ、フローが結婚を断った瞬間の「え?」はめちゃくちゃ素直な声だし、そこから喜々として舞台の台詞を言ったり、「こんな女が絶望したらどんな悲劇になるんだろう」というワクワクが止まらない顔になって。

ここから少しずつグレイが本音をさらけ出していく変化が好きです。

特に、フローがどうしてゴーストになったのか聞くシーン。
「おいおい調子に乗るんじゃねぇよ」とめちゃくちゃキレ笑いして、
「もしお前がっ・・・!」まで大声で言ってからの「裏切ったら」が余りにも弱々しい声ですよね。
ここで初めて不本意ながらも本音をさらけ出してしまったんだろうな。

それに動じず「はい!もう勝手にします!」のニコニコ笑顔で立ち去るフローが強メンタル過ぎて笑ってしまう。
うまくいかなくて余計にイライラを募らせるグレイも可愛いね。

叶うはずのない夢

フローがエイミーに「背中を押してくれた人がいる。感謝している」と伝えてる場面を見て「馬鹿だよな」って呟くあの顔。きっとグレイが人に感謝される経験なんて無いに等しかったろうからめちゃくちゃ嬉しそうで。

ランプを持って奥からやって来る時の、まるで鼻歌が聞こえてきそうな足取りが好きです。

そこで話すグレイの芝居が書きたいという夢。
「笑うなよ?」から「芝居だ」までの間が絶妙で、笑われるかもしれない、でもフローになら話せるかもってグレイ自身の考えが変わってきているんですよね。最高。
それに対してフローが良いですね!と賛同してくれて口述筆記を提案してくれる姿を見たグレイが本当に嬉しそうに笑っていたのが印象的です。

「お前に取り憑いてんだよ!で笑って目線が合うところ。
恋が始まる瞬間を可視化してますよね?本当漫画みたい。

こんなやり取りをした直後。
銃声が聞こえて慌てて駆け付けた時の顔と、アレックスがいるって分かった時の表情の変わり方。「なんであいつが…」と呟きながら触れることの出来ない指を胸のあたりに持っていく動作がたまらなく辛くて。

ノートルダムの鐘でエスメラルダとフィーバスがお互いの気持ちに気づいたシーンをカジモドが見下ろしている構図に似ていて余計に辛くなりました。スコットさん絶対狙ってるやろ。

『唇をかみしめ がんばる その姿に あきらめてた 願いがよみがえる
叶うはずのない 夢をみているのか』
~不思議な絆~

アレックスとフローのやり取りを見た上でこれを歌うグレイの気持ちを思うだけで泣きそうです。

第二幕

彼女を守るには

呪いと栄光の歌詞を見ると
『もっと強くなれ 本気で彼女を守りたいなら』と言われた後の台詞が
『彼女を 守りたいなら……?』と文末に「?」がついてるんですよね。

これ、サントラだけだとデオンからの言葉を反芻して言い聞かせているような印象を受けたんですけど、
実際に観たときは「?」がしっかり見えて、「彼女を守る?」と最初は意味を理解してないように見えました。

その後すぐにグレイは走って捌けて、フローの元にも走って戻ってきます。
これは私の勝手な解釈ですが、また自分の知らない所でフローが危ない目あうのではと焦って戻ったんじゃないかなと。
原作のホールがいる場所から慌ててフローの元に戻るグレイの姿と重なりました。

結果、危害は加えられてなかったけどフローに「約束を果たすときが来た」と言われて「約束…」と返すシーン。

前回、真瀬さんフローで観たときは「約束?」と語尾に「?」がついていて、当初の約束を忘れているかのような返しでしたが、今回は約束を覚えているけど自分の口からは言いたくないような印象を受けました。

駆け付けた最初の「泣いているのか?」も、「絶望、したのか?」の台詞も本当に?あのお前が?とでも言いたげな優しい声だったんですよね。
絶望のどん底でを歌ってた頃からは想像もつかないほどの。

フローが泣いて殺してほしいと懇願している姿を信じたくない。
殺したくない、助けてあげたい。
その為にはどうしたら良いか考えて、自分の人生を話すことにしたのかな。

「教えてやる 絶望が どんなものか」
文字に起こすと暗いのに、グレイの口調はどこまでも優しいのもずるいですよね。

12分間に詰められた演技とダンスの魅力

裏切りの人生、萩原さんの魅力がめちゃくちゃ光るナンバーで、歌い始めたら「キタキタキタ!」とつい胸が高鳴ってしまう。

孤児院時代と若様を刺すシーンは影絵すら見ずに伏目がちな悲しい表情なのに、「酒と女の味を覚えた頃(イケボ)」から数秒後に、シャーロットと出会って髪の毛をいじりながら「俺!あんたの大ファンで!(早口)」って必死なオタクになる寒暖差の激しい演技がめちゃくちゃ好きです。
我々の事、そう見えてるんですか?

そして酒場シーンと言えばダンスですが、下手側に萩原さんがいてめちゃくちゃ至近距離で拝見しました。中央で何が起きていたか全く覚えていません。
みんなの事を楽しそうに見つつ、足がキレッキレのダンスをしてたんです。
見るからに難しそうなステップなのにとても軽やかで。
ダンサーとしての萩原さんをあの瞬間に堪能できたのも幸せな思い出です。

話がそれました。
酒場シーンを経て、ずっと私のそばにいてねって言われたら誰だって信じるし、シャーロットを待つ表情がものすごく嬉しそうで、、

だからデオンから「伝言を預かりました」と言われたときは「伝言?」って聞き返すというより「伝言…(はて、何のことやら?)」みたいなニュアンスでした。しかも笑顔を絶やさず。
ここも前回と変わってて、同じセリフでこんなに印象が違うのかと。

手紙を聞いた後の「シャーロット…」の掠れた声、状況が理解できなくて「あんたは?」って聞く声も震えてるし、最後にシャーロットがいた所に視線をやって諦めた顔で笑う姿が余りに悲しくも美しくて…

この流れを12分間一切捌けずに演じ切る萩原さん。改めて凄すぎ。

愛になっていく過程が素敵

ようやく全てを話したグレイの表情は、冒頭の切なさを含んだ笑顔なんですよね。
でもフローが「ジャックのそばについていてあげたかった」て言った瞬間、切なさが消えた本当に嬉しい笑顔に変わる。

これも私の勝手な解釈ですが、原作でグレイの過去を聞いたフローが「目にとまった病人は誰であろうと 絶対に一人では死なせない」とグレイに誓ったシーンを意識している気がしてます。

『それは今までの二人の関係が変わってゆく おそらくは「兆し」であったんだろう』
~ゴーストアンドレディ 第14話~

だからデオンの攻撃を受けたフローを見て「フロー!!」と叫ぶ声が、守りたかったのに守られた。彼女を失いたくない。どうしようと狼狽える気持ちが溢れ出ていてあまりに悲痛。萩原さんの喉が毎回心配。

霊気をあげて苦しくなっても最後までフローの頭を支える優しい手も、フローがもう二度と離れないでと泣きながら訴えてきた時に返すナンバーも素晴らしすぎる。
もう泣くなよと優しく宥めるような歌い方は反則です。

公四季のインタビュー動画。この中で萩原さんがグレイの事を
「好きって言わないけど好きという気持ちが分かっていく。愛になっていく過程が素敵」と仰ってるんですね。

そのメッセージがこの辺りに特に込められているのかなと推測しています。

信じたいものを信じた

雪の降るクリミアに渡って不安そうなフローに対して「ロンドンに帰ったら芝居が見てぇなぁ」と当初の飄々とした口調で話しかけるのは少しでも不安を取り除いてあげたいからかなと勝手に勘ぐってしまう。

フローは相変わらず「最後まで残ります!」って信念を貫くけど、もうグレイは怒らないし「芝居は当分お預けか」って返してあげるのが完全に愛。
それを聞いたフローが幸せそうに微笑んでるのがたまらない。

(書いてて思ったんですけど二人が幸せな空気を出した直後に絶望的な展開を見せるの多いですね?)

デオンに「彼女は絶望しないぞ!」と言われて、あんなに嬉しそうに「ああ!」って言うのも危機的状況に陥ってると思えないくらい晴れ晴れとした笑顔で。
もう自分は一人じゃない、そばにフローがいるって信じるだけであんなに生き生きとした表情になるんですよね。


『何としても守る』『そばを離れない』
『独りにはしない』『最後まで信じる』
偽善者と呼ばれてもで上記フレーズが随所に出てきて涙が止まらない。

だって誰の事も信じずに長い間ずっと彷徨っていたグレイが、自分がボロボロになってもフローの事を信じて守ろうとしているなんて。

一番最後にホールの魂を麻痺させてデオンに貫かれても笑っているのは
最後にフローをこの手で守れたからかな。

「俺は!」でフローの事を笑顔で見て「信じたいものを信じた!」と高らかにデオンに宣言して共に散っていくグレイの姿は凄まじくかっこよくて美しくて大好きです。

この後のフローの姿は見てられないほど辛いけど。

フローとジャックのハッピーエンド

フローを迎えに来た時、憑き物が取れた幸せそうな笑顔で、ここにいるのはグレイではなくジャックなんだなと想像してしまう。
「よぉ。50年ぶりか?」って最初の頃みたいな軽い口調で話しかけるのも堪らないですよね。
絶対54年ぶりって覚えてるやん。

サムシングフォーを渡すときもワンフレーズごとに声色を変えて歌ってるのも最後まで芸が細かい。
古いものは「俺さぁ…」ってカッコつけて、新しいものは看護法!って誇らしげ。
借りたものはてへって感じでランプを見せるし、青いものは本当に晴れやかで。

そこから一緒に行けないと知ったフローが震え泣きしながら「また会えるわよね?」って聞いた後、
霊気をあげた後と同じ優しい笑顔でリプライズ歌うの、本当ずるい男。

最後にフローが「グレイ…ジャック!」て言ったとき、前は「グレイ」って言われたときから歯を見せてニコってしてたけど、今回は「ジャック!」って言われた瞬間に凄く幸せそうなはにかみ笑顔してて、どちらも大変堪らない気持ちになりました。

フローを見送る顔も寂しさを含みつつ、幸せそうで。本当に綺麗なハッピーエンドの物語。

最後まで諦めなかったグレイ

グレイが観客に向けて最後の挨拶をした後、2階席上手あたりを見ながら「フロー、見てたか?」って言い始めるけど、
本当に最後の台詞や歌はフローだけに投げかけてるというのが余りにも愛すぎる。

100年以上かかっちまったけどな!っていつもの軽口で言った後に涙が溢れてきて寂しそうで、そこから「もう 二度と 会えないと しても」を歌う間の使い方が破壊的に絶妙。

それでも舞台を降りて歩き出す瞬間に「やり切った!」って笑顔で舞台を去るグレイと、ランプでその道を照らすかのように見守るフローと無数のランプ。。
大団円ハッピーエンドじゃないのに幸せな気持ちになる終わり方で、凄く凄く好きです。

この作品を完成させた後、長い年月を経るにつれ「フローどころか誰にも見せることが出来ない」って諦めかけた時もあるだろうけど、わずかな奇跡を信じてずっと劇場を彷徨っていたのかな。

その表情が一番最初の青い光から現れたグレイだったとしたら…?
最初のタイトルが「奇跡の夜に」なのがストーリーとぴったり過ぎて鳥肌。

一番最初の歌い出しも2階席上手あたりを見てたけど、あそこにフローがいたらなぁって思ってたのかな。

グレイ。フローはあなたの物語を嬉しそうに見ていたよ。
私達に素敵な物語を見せてくれてありがとう。

おわりに

いったい誰がここまで読んでくれてるんでしょうか。
もし読んでくれている方がいたら本当に有難うございます。
萩原さんの事は前からずっと知っていたけどなかなか機会に恵まれず、2021年のカシーム以来でした。
世界初演のメンバーとして躍動する姿をこの至近距離で拝見出来て本当に良かった。
またいつか萩原さんの演技を拝見できる日が来ますように。

余談

こんなに書きましたが正直一番覚えてる景色はこれです。

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