ジャン神(同人女の感情)が面白い
ジャン神の話をする前に、少し自分語りをしたい。
未だにビギナー気分が抜けきらないけど、私は同人活動を始めて丸3年になる。
私が活動しているジャンルは複数シリーズ展開をしており、総計をとるとpixiv投稿数10位以内に入るほどの巨大規模だ。しかし、3年前の時点では、自分が活動するシリーズは、公式からの供給が非常に少なかったため、同人サークルもオンリーイベントで3-4サークルあればいい程度だった。
とはいえ、そのころからコンテンツに感じる魂には強く惹かれていたので、供給が少ないなりの楽しみ方を見つけて、充実したオタ活や、同人活動をしていたと思う。思い出補正を差し引いても、今と同じように全力でコンテンツを楽しんでいた。
しかし、ジャンルの過疎期間も長くは続かず、2年ほど前に公式が大きく動き出した。その影響で、オンリーイベントにおいても新規サークルが大量に流入したのである。
その時感じたのは、流入したベテランサークルとの圧倒的な力の差だ。薄い本の売れ行きの差も一目瞭然。私は勝手に敗北感に打ちひしがれることになった。
独占欲や嫉妬心から「自分の方がジャンルを愛しているのに」という思考が生まれ、そういった醜い感情を起こした自分の愚かしさと、無力感に数日間は凹んでいたと思う。今ではとっくに整理をつけている感情だけどね。
前置きが長くなったけど、「ジャン神(同人女の感情) シーズン2 第1話」のにはその時感じた感情が、驚くほどに克明に描かれていたのだ。「あ、主人公の感情、あの時の自分じゃん」という懐かしい気持ちと強い共感が湧き上がってきたのである。
実際のところ私の居るジャンルは女性向けじゃないし、作っているのは小説でもないしカプの解釈も絡まない悩みだったので、色々私と状況は異なるけど、それでも主人公の「むぎ」に対して非常に強く感情移入してしまった。
ジャン神が広く愛されるのって、私と同じように、主人公とは色々状況違うけど、この感情は凄く共感できる!って思わされるところなのかも、と思う。
ジャン神は、同人オタクの面倒くさい感情を描くのが巧い。「アンチがファンより詳しい」などの、あるあるネタも秀逸だ。そして、登場人物が自分なりの答えを見つける過程も面白い。おけパ…もとい名もなきネイリストが、むぎに己の過去の悩みを打ち明けた後、「自分の作品こそ、自分が一番愛さなければいけない」と語りかけるシーンは胸を打たれた。
また、ジャン神のキャラクターは、オタ活やSNSの交流だけじゃなく、会社で遅くまで働いたり、子育てをしていたりと、リアルな生活の中で生きている。主要キャラクターの周りの、いわゆる非オタの家族や、同僚も活き活きとしていて、時には主人公をへこませたり、はたまた大事な場面で助けてくれたりする。「ジャン神」は、同人オタクの人生そのものを描いていると言ってもいい。
そういった部分が大きく説得力を持たせるからこそ、多くの人に強く共感されるのかもしれない。
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