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RED WING の今、そしてこれから

どうやらレッドウィングジャパンは分岐点に立たされているようだ。

2019年に鈴木社長が退任。現在は米本社のサラ・エリクソン氏が代表に就任しているので、日本国内には代表が不在ということになる。
鈴木氏の退任後は、レディースモデルへの注力、大幅なWEBサイトの改修等これまでとは違った動きが見られるようになってきた(現場レベルの仕事に鈴木氏の影響があったのかは分からないが、従業員数を考えれば殿上人といった風ではなかったように思う)。

だが、私が今回取り上げたいのは鈴木氏の退任による影響ではない。
コロナウイルスの影響だ。

実は日本国内で在庫が枯渇しているレッドウィングがあるのだが、ご存じだろうか。
そう、国内限定品のベックマンである。

ベックマンの枯渇にはコロナウイルスが大きな影響を及ぼしている。

2020年、コロナウイルスの影響で工場を一時閉鎖し、商品の輸入が正常に行われず、レッドウィングのケア用品などは一時期全く手に入らなかった(2021年9月現在、一部を除き、正常に手に入るよう、改善されてきている)。
人気モデルも同様で、ベックマンも店頭、EC共にほとんどの在庫が姿を消してしまった。
そして、ベックマンについては現在も同様の内容が続いているのである。

2021年になり、ワクチン接種も進み、工員の方々も復職している。
それであれば、正常に輸入が行われるのではないか。私もこのように考えていた。
しかし、実は景気回復こそが一番の問題点だったのである。

景気が回復すると製造業の成り手がいなくなるというのがアメリカの常であるらしい。
景気が回復しているということは雇用もあるということで、賃金のより高い雇用を求めて工員が辞めているのであろう。
また、レッドウィングは一足一足手作業による生産となっている。成り手が少ない上に、工員の教育に長期間を要するので、生産が正常に行われないのだ。

ここまでくるとなんとなくお察しだとは思うが、日本国内限定販売のベックマンは生産が後回しになってしまうのである。
世界で共通して人気があり、共通して取扱いのあるモデルが優先的に生産されるので、これからも安定して手に入りそうなのはクラシックワークとポストマンくらいではなかろうか。

もともと人気がそれほどでもなかったペコスですら売切れている始末だ(数年前から生産停止しているので、やっと掃けたという考え方もあるが)。
ベックマン以外のモデルもどうなるか分からないので、気になるモデルがある方は今のうちに購入してしまった方が良いかもしれない。

さて、これからレッドウィングはどういう道を歩むべきなのであろうか。
私はここ数年、ジワジワとブームが再燃しているな、と思っていた。
藤原ヒロシ氏が久しぶりに着用したと思ったら、彼が率いるフラグメントデザインとのコラボレーションもあり、若い世代に支持されるFREAKS STOREとの別注もあった。
90年代の裏原ブーム原体験世代には懐かしく、若い世代には逆に新しく映るブランドであるはずだ。
スニーカーブームに飽きた層の受け口には十分の存在だ。

しかし、肝心の買う商品がないのであれば話は別である。
顧客の求める商品を安定して供給することが出来るかは、重要な問題になってくるであろう。
特に日本はマーケットサイズが小さいので、レッドウィングジャパンが立たされているのは棘の道だ。
ABCマートのように日本国内規格ではない、海外規格の商品を輸入するか、それとも再び在庫が安定する時を待ち、国内規格商品の在庫が有る限り販売し、ブランドイメージを守るのか。

アメリカの工場が正常に稼働出来るようになるのが、もちろん一番良い結果になるのではあるが、逆に一番難しいかもしれない。
むしろ、かつてのリーバイスのようにアメリカ国内から工場が撤退し、アジアでの生産に切り替わってしまう可能性も十分にあるだろう。
大手小売販売業に身売りして、5,000円くらいのREDWINGのロゴが付いているコンバースの偽物みたいなスニーカーが販売されるようなことにはなって欲しくはないが、現状無いとも言い切れないのが苦しいところ。
MADFOOTやAIR WALK、Dannerなどのことを思い出せば無茶苦茶を言っているわけではないのもお分かりいただけると思う。

靴業界自体が、窮地に立たされているのは容易に想像できるだろう。
旅行需要が極端に減少したこと、そもそも出かける頻度が少なくなったので新しい靴が必要ないこと、テレワークにシフトしたことによるビジネスシューズ需要の減少…etc
そのような中でレッドウィングがどのような道を歩いていくのか。
レッドウィングを販売するものの責任として、一人のレッドウィングファンとして、しっかりと見届けて行きたいと思う。

ちなみに私は今年は8179クラシックワークを新しく下駄箱に加えようかなと、ひそかに企んでいたりする。

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