剣劇 三國志孫呉 感想


明るい戦隊モノだと思ってたら激重ブロマンスだった!!
途中までは強くてかっこいい孫策と美しくて聡明な周瑜のバディ快進撃だったんだけど、急に井戸が出てきて……そこからはシェイクスピアでした。
でもストーリーとしても演劇としても荒牧くんのオタクとしても最高に楽しかったです!!

三国志を全く知らない状態で観劇したけど、分かりにくいなーって所が全くなかった。
登場人物みんな好きになれて、(敵役の黄祖もすごく良かったです)ストーリーも緩急と展開に意外性があって、私の初めての三国志がこの剣劇三国志で良かった。
円盤化してほしい……。


セットについて


雪原のシーンは本当に美しかった。
白い敷布と紙吹雪が本物の雪に見えた。
孫策が倒れ込んだ時に赤いものが散って、血だ、と気付いた時にはああ、彼は死ぬんだなと分かった。
明治座の舞台の大きさあってこそとのツイートを見てすごく納得。
そもそもあの階段と通路があるでっかいセットがすごいし、あれが回るのも超かっこいいよね!!斬られ役の方のアクロバットと階段落ちもすごい。
特に幕が上がってすぐに孫堅と3おじたちのシルエットが出てくるところはツダケンのナレーションも相まって物語の中に入り込んでいく感覚でわくわくした。

宴の月と星はすごく綺麗だったし、開演前の虫の鳴き声が流れてるのも好き。TDLのカリブの海賊みたい。

あと舟!!!!思ってたよりも高さがなくて花道横の席だった時も俳優さんのことがよく見えた。
最初は明治座の花道に舟出すって何????と思ってたけど、始まったら馴染みすぎて舟出るよね〜って感じになってしまった。

登場人物別の好きなとこと感想

孫策


孫策の狂気を演じる梅ちゃん、凄すぎ……狂気を全力で演じていて、説得力があり、表情や動きが本当に「それ」を信じている人間そのものだった。
剣劇三国志のシェイクスピア要素は梅ちゃんの演技が占める割合が大きいと思う。
でも軍を率いている時の勇ましさや周瑜と一緒にいる時の快活で強いまなざしがすごくすごくかっこよくて、着いて行きたくなる周瑜の気持ちが痛いほどわかる。
2回目からはふとした時に表情が抜け落ちるところとか、宴のシーンでも笑ってたのに急に手を気にする素振りを見せてからいなくなるところに「ああ……」と思わせられた。

周瑜


孫策の部屋で話してるとき、孫策を肯定する時の表情と「狂ってる…」が本当に苦しそうで、顔を顰めて泣くのでしんどかった。
宴のシーンは本当に楽しそうで誇らしそうで、井戸で孫策の闇を見てしまってからの落差がすごい。
個人的には周瑜は、自分の前でいつも強くあろうとした孫策の意地と誇りを守りたかったんだと思ってる。
「頑張らせてあげてくださいよ」と程普に言われて本当の孫策を知っても尚、2人でいれば何も怖くない孫策と周瑜でいたかったんじゃないかな…。

遺言についても、「権を頼む」と言われて周瑜なりに考えたのがあの結果なんだろう。
でも孫権が盟約の儀式のときに「周瑜から兄上の最後を聞いて嬉しかった」と言ったとき、腰の布ぎゅってするのいい。孫策の最後を知ってるの、周瑜だけだもんね…。
周瑜、耐える時とかによく太もものところで手を握ってるのすごく好き。
周瑜は「伯符は納得しているでしょうか」と言っていたけど、程普が「あなたが一番彼を理解している」と答えたように、ラストシーンで孫策が周瑜を見て微笑んでいるのが答えだと思うよ…。

周瑜のかわいかったところ
・2部ではよく噛んでてかわいい
・楽しそうに殺陣してるのもかわいい
・どうするどうする!?のところはもうかわいすぎる
・転ぶシーンで(受け身の関係でそうなるんだろうけど)手を前に伸ばしてべしゃって転ぶの何回見てもめちゃくちゃかわいい

程普


眼鏡最高!度々クイってしてくれるのでその度湧いた。
「嘘つきなんて言わないでください!!」「あの子はあなたがいると頑張っちゃうんです!!頑張らせてあげてくださいよ!!」の台詞がめちゃくちゃ好き。確かに頑張りすぎて壊れちゃうこともあるんだけど、本人の望み通りに頑張らせてあげることも愛なんだよね…。

黄蓋


ラストの「大殿との何かを成し遂げるって遊びがまだずっと続いてる、大殿が大切にしてたものを大切にするのが俺は楽しいんだ!」って台詞良すぎて泣いた。
亡くなった方との繋がりってまさにこういうことだと思う。
韓当を引き留めたり孫権を気にして声をかけたり、ぱっと見は戦馬鹿みたいなキャラだけど人のことをよく見ていて人情深いんだよな……。いいやつすぎる……。

韓当


あの話し方だけど武器が棍棒みたいなのめっちゃかっこいい。
程普もそうだけど長物すきだから殺陣見てて楽しかった!
「死にたくねえの!平和な世の中にするために戦してるんじゃねえのかよ!」のところ、本当に大切なことだし今この世界情勢的にもあって嬉しい台詞だった。

3おじのバランス良さと2部の前説でのはっちゃけっぷり最高すぎた。
だんだん3おじのファンサがレベルアップしてて、14日マチネでは自分の名前ののぼりタオル受け取って肩にかけたりしていた。
こういうのありがたいです!!はたから見てても楽しそうで大好き。

劉表


必要以上に敵軍を痛めつけようとしていた黄祖に「敵は戦意を喪失している」と止め、行軍しようとする黄祖を「これから実りの時期だ。土地のために、農民から兵を集めて命を散らせるのか」と諭す聡明で優しい方。
私は十二国記で育ったので、民の命と生活を大切にする君主が好きなんだよね。
復讐心に苦しむ黄祖を分かっていながら、「祭りに踊りに行かないか」と誘ったり諭したりしながら信頼して、乗り越えるのを待っているみたいだった。
「とどめを刺さなかったそうだな」のところ、黄祖が変わったのが分かって微笑んでて良かった。
2部では孫親子と黄祖からさんざんいじられてて、お茶こぼしちゃって「お茶こぼしたー!!」って言ってたりおちゃめで可愛い。

黄祖


「攻めてきたのは孫権だ!私にはあいつを殺す権利があった!だが孫策も私と同じように親を殺されて苦しんだというのか?いや、考えたくない」のところ、そこで開き直るんじゃなくて苦しみ続けるキャラ造形すごく良かった。
開き直ったら嫌なやつになっちゃうけど、苦しみ考え続けて、あのシーンがあることで彼にも感情移入できた。
ラスト、劉表さまに「攻めるべきか」と聞かれて「土がとけるまえに耕作と種まきの準備をするべきです」と答えていて、彼が憎しみから解放されていたら良いなと思った。

2部では孫堅たちと戦うシーンで「よろしくお願いしまーす」「軍事訓練である!かかれぇい!」って言ってヤンキー座りしてたり、劉表さまと手合わせした時めっちゃ蹴ってから「あざした」ってはけてったりするのがすごいツボ。

太史慈


とにかくかっこよすぎる!!!!!!
殺陣はもちろんのこと、最初は距離をつめかねてた孫権に「俺が稽古をつけてやる」からの「俺のそばを離れるなよ」はかっこよすぎる!!!!!
早乙女友貴さん、殺陣速すぎるし上手すぎる……目で追えない。
花道駆け抜けてく時も1人だけめちゃくちゃ足速くないですか?そう見えるだけ?
心が小学生だから足速い男子めちゃかっこよく見える。

2部最初での扇で舞うやつ、扇捌きが綺麗だし扇投げてキャッチするところ最高。
2部で色々ボケに乗っかったり剣を落としていじられたり「俺くらいになるとこういうところから厳かに現れて戦うのが相応しい!そして俺を讃える戦ハリセンの音!」って煽ったり、クール系の役の方のそういうシーン全員好き!!!!ってやつやってくれてマジ感謝でした。

孫権


彼がモノローグを担当してくれたことで観客があの世界に入りやすくなってたと思う。
最初は父が亡くなったことに悲しめない少年だったのに、兄が戦に出ていく恐怖や仲間たちの小競り合いからの逃避を経て、太史慈と師弟関係になって「強くなりたい」と成長するの少年漫画みたいでめちゃくちゃかっこいい。
将軍を引き継いだ時、「父上のためでも兄上のためで俺のためでもなく、みんなのために俺は戦う!俺は1人では何もできない。だから力を貸してくれ!」って語るのがすごくかっこよかった。
孫権の言葉って自分の言葉で話してるんだろうな、という血の通った説得力があった。
そしてこの役を廣野くんが演じることがすごくすごくよかった。
メタ的だけど、(荒牧くん多分キャスティングにも関わってるよね?多分!!間違ってたらすみません)荒牧くんが若手俳優である廣野くんにこの役をやってもらったことに意味を感じてしまった。
2.5次元舞台に恩返ししたいと語る荒牧くんらしく、後進に託すってことなのかなと。

孫堅


パパ、カリスマ性すごかった!
これは松本さんだから出せた貫禄と色気だったと思う。
登場シーンはそんなに多くないはずなのに、存在感がすごかった。韓当が孫堅くらい色気のある男になれと孫策に言うのも頷ける。
亡霊の孫堅は声が本当に恐ろしくて、
2部では本編で見られなかった父親としての顔を見せてくれて、親子共闘シーンが胸に沁みたね…。

最後に

割と単推しになりがちでこんなに登場人物全員それぞれを大好き!語りたい!ってことあんまりないのですごく良い体験をさせてもらった。
あまり登場人物が多くないのも三国志初見としてはわかりやすかったし。
これをやりとげた荒牧慶彦すごすぎるし、本当にこんな素晴らしい舞台を作ってくれて、私達に見せてくれてありがとう!!!大好き!!!

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