リリとルル。6
32.私はルル。
たまには、私の話もしなくちゃね。
私が一番好きなのはクリームソーダだけれど、例外があるの。
それは、ちゅーり。
ちゅーりはね、ネコの舌を虜にするのよ。
お嬢様がたまにくれるのだけれど、封を切らずに保管しておく時もあるの。
大切なもの箱にしまって気分を上げたい時に舐めるの。
33.私はリリ。
今日は、お嬢様がお出かけしようと言ってくれたの。
隣町のショッピングモールのニャオンに行くのかしら、、、。
隣町なら自転車の前カゴに入れてくれるわねー。
何着て行こうかしら。
リボンのついたやつ?スパンコールを散りばめたやつ?
その時、不意に白いものに覆われた気がした。
34.私はルル。
ニャーッ!
リリお姉ちゃまの絶叫が聞こえる。
お姉ちゃま、引っかかったわね。。。
この時期は健康診断よ。
リリお姉ちゃまは、洗濯ネットに入れられ、ゲージに放り込まれた。
私は心得てるから大丈夫。
ちゅーりを貰えれば、それで手を打つわ。
騙されやすい猫はダメね。
35.私はリリ。
ここから出してー!
お屋敷に帰るわー!
お医者様なんて嫌よ。
お注射が嫌なのよ!
リリお姉ちゃま、ジタバタしても無駄よ。
そうルルが言うけれど、私は嫌なの!!
そうするうちに、ゲージが空いて、洗濯ネットも開けられた。
リリちゃん、大人しくしててねー。
先生の声がきこえる。
36.私はルル。
先生からは緊迫感のない声。
リリお姉ちゃまは、必死に抵抗する。
ちょっと!何するのよ!レディーになんてことする
のよっ!
キック、キック!
後ろ足で何度もキックをかました。
何度も宙を蹴るお姉ちゃま。
そのかいも虚しく、、、。
ギャーッ!
37.私はリリ。
私のお尻にお注射が、、、。
今ので事切れたわ、、、。
儚く私の生命は奪われたの、、、。
ルル、、、後のことはよろしくね。
いいえ、ルル、あなたもこの苦しみを味わって、すぐに私の元に来るわね。
姉妹で天に召されましょう。
お嬢様は悲しんでくれるかしら、、、。
38.私はルル。
私はね、大丈夫なの。
慣れてるのよこーゆーのは、、、。
ルル、震えて固まらないの!
お嬢様が私に何か言ってる。
私、震えてなんか無いわ!
ガクブル、ガクブル。
そんなに固まったら何も出来ないよ。
ほら、ちゅーり。
ちゅーり!
ぺろぺ、、、
ギャーッ!
私もお尻にお注射が、、、。
39.私はリリ。
ここは何処?きっと天国に召されたのね。
天に昇っていく私には羽が生えていたでしょうね。
リリお姉ちゃま、起きて。
何?ルルも天国に来たの?
馬鹿言うもんじゃ無いわ、車の中よ。
天国っていうより疲労困憊よ。
あのお注射の瞬間がほんと、嫌だわ。
来年もあるかもしれないからね。