リリとルル。2
7.私はリリ。
今日はちょっとパトロールしに、近所を妹のルルとウロウロしたの。
ルルは最初家でやる事があるからって嫌がったけど、急に美容の為に散歩するって、方向転換?思考転換?して、2人でウロチョ口、、、そうしたら、草むらから声が聞こえてきたの!
8.私はルル。
草むらから聞こえてきた声は、一匹の子猫だった。
ミーミー鳴いてて、私もリリお姉ちゃまも驚いたわ。
お姉ちゃまはその子猫の様子を見に近寄って行って、私も後から付いていった。
すると雨がポツリと降り出してきて、、、。
9.私はリリ。
大変、捨て猫よ!捨て猫よ!どうしましょ!どうしましょ!
ここにいたら死んでしまうわ!雨も降ってきたし、、、。
ここでわめいても仕方ないわ、、、。
これは、お嬢様にお願いするしかない!ルル!
その子猫を連れてきて頂戴!お屋敷に戻るわよっ!
10.私はルル。
え、私?
この話の流れだと、お姉ちゃまが子猫を運ぶ流れじゃなかった?
お姉ちゃまーっ!
叫んでみたものの、お姉ちゃまは既に走り出して行ってしまった、、、。
うーん。いつもの事よね。うん。
子猫、ちょっとの辛抱よ。
私は子猫の襟首をはむっと咥えると雨の中走り出した。
11.私はリリ。
息を切らしてお屋敷に着くと、お嬢様の姿が見えたので、
私はよよよと倒れこんだ。
おじょうさまっ、助けて欲しいのっ!この可哀想な子猫を、、、
お嬢様が怪訝な顔をする。
振り向くと、あれ?来てないっ!
部屋に戻ろうとするお嬢様の足に慌ててしがみつくと、とりあえずルル達を待った。
12.私はルル。
あー重かった。
お屋敷に着いて子猫を降ろすと、お姉ちゃまがお嬢様にしがみついて遊んでいる。。。
お姉ちゃまっ!
これが遊んでるように見えて?
見えるわよっ!
お姉ちゃまは、への字口でジロリとこちらを見た後、子猫が捨てられていたんですぅー。と大袈裟に床によよよと泣き崩れた。
13.私はリリ。
私のなかなかの芝居もあって、お嬢様はやっと事情を飲み込んだようだった。
子猫をタオルで包み抱き上げると、私たちにもタオルを差し出した。
お嬢様、どうか悪くしないで!
お嬢様は、額に手を当てて考え込んでいる。
私達は息を飲んだ。
どうなのかしら、うちの子になるのかしら、、、。
14.私はルル。
結局、子猫はお嬢様のご学友のお屋敷に引き取られることになった。
ひと安心だったけれど、少し淋しい気持ちもあった。
お姉ちゃまは、私の咄嗟の判断が良かったのよ。と得意気だったけど、
実際運んだのは私。
労働は私。
何はともあれ、私たちのちょっとした事件の幕は降りたのだった。
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