ずっと好きじゃなかったはずの人が、亡くなった

書き殴った当時の日記です。私は今年中にこの感情に蹴りをつけたい。オチは無い。

2020.7.18

好きなつもりじゃなかった人が、亡くなった。
彼の死に場所や死に方は、知らない誰かが淡々と伝えていた。
長いまつげが静かにおりて、丸くてきらきらした瞳が閉ざされて、そう言うきれいな顔を何度も思い出す。何でかはわからないけど、珍しく色々な表情を、細かな顔のパーツをしっかりと覚えている相手だった。
あのひきしまった唇はだらんとしてしまったのだろうか。白く並び良い歯は、唾液でいっぱいになってしまったのだろうか。

好きじゃなかったはずなのに、死んだと聞いて理解できなかった。自殺と聞いて息が詰まった。悔しかった。

好きだと自覚して発信するまでに間に合わなかった。ただそれだけで、悲しむ権利がない気がしてしまった。
知ったのはずっと前で、爽やかそうだけどプライドも高そうな彼は、いけすかないやつだった。本当に、ほぼ今月だけのこと。
2週間くらい前に、久々に見た彼の笑顔の甘さにやられて、色気にどきりとして、ずっと彼から目が離せなくなった。1週間くらい前、プライドとは無縁そうなころころした笑い声、子犬みたいなはしゃぎっぷりに「良いじゃん…」と声が出た。釣られて笑顔がこぼれた。3日くらい前。彼がきっかけで映画を観た。
昨日。ふと、彼のことで頭がいっぱいになった。もっともっと見たいな、と思った。今日、彼は完結した。

理由がどうとか、責任がどうとか、もうどうでもよかった。ただただ悲しかった。辛くて泣いた。なんでこんなにショックなのか、分からず泣いた。曲を聴いては全て彼に重ねて泣いた。親友が涙を堪えているのを見てもらい泣きをした。散々泣いた。

彼が私のことを知らない、ということがとてつもなく悔しい。私がこんなに悲しんでいることは、何にもならない。私にできるとしたら、彼をモデルにした小説を、10年前に筆を折ったあの小説を、早く書き上げることくらい、もし、才能があるなら。

ずっとずっと好きだった。ほんとはずっと好きだった。きらきらした彼が好きな自分がダサいと思ってた。ほんとはずっとずっと好きで好きで、なのに。

もう動かない彼を、私は小説の中で生かしたい。自分の好きな人の、好きなところを、私は文章の中で、大切にとっておきたい。

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Hoshiduru
無職なのでガチの収入源と生きがいになります🎠