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🌳三題噺 #9


八重咲き 焼き鳥 シャボン玉




 桜が咲いている。久々に実家に帰ってきて、故郷の公園を訪ねた。

 地元の桜スポットらしく、広く石でしつらえた並木道のある公園の敷地内には、屋台が数軒あった。近くを歩くと、焼き鳥やお好み焼きを作っている最中や、いろんな種類のクレープがメニューにあるのを見たりした。昼前で少しお腹がすくのを感じ、お財布を持ってくれば良かったと後悔する。家族連れの人やカップルが普段より多く歩いていて、シートを引いてお弁当を出す準備をしている人もいる。桜はその間もやわらかな風のなかをひそやかに散る。

 樹木には、樹木の名前を書いたプレートを針金で幹に巻き付けて留めてある。立ち止まって一つひとつの名前を読んでみる。開花しているものにはソメイヨシノ、ヤマザクラなどとあって、開花の時期が過ぎてしまったものもいくつかあるよう。
 そういえば、しばらく随分と忙しかったので数年ぶりに友達とも会っていないなあ。

 歩をすすめる。ブランコや滑り台があって、何人かの子どもが自分の特権だとばかりに想い想いに駆けまわる。小さい頃は私も友達と一緒にここで鬼ごっこやかくれんぼをして遊んでいた。花見の時にはお弁当と遊ぶことだけでわくわくしていたなあ。今シャボン玉を吹いて遊ぶ子どもは、桜雪と小さな虹を並べ、ぴょんぴょん飛び笑っている。

 小さなシャボン玉のゆく先には、大きなおおきな八重桜があった。江戸彼岸桜といって、見ごたえのある大きな桜である。大きく枝を枝垂れさせて圧巻。あるところによっては樹齢1000年以上になるものもあるらしい。

 古く長く自らの変化とれきしの変遷に向き合う大さくらに励まされる、今日この頃に。



追記:努力した先に、いいことがあるように。





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