鳥になりたい

2階の寝室の窓の、ほんの細いサッシ部分に鳥が巣を作っている。もう、何年も。だから、何年もその窓は開けないし、カーテンもそのままにしておく。

雛が飛び立つと、しばらくその巣は空っぽになるらしく静かになる。そしてまた、いつの間にか小さな囀る声が聞こえるようになる。

ははぁ、また生まれたのね。

この鳥の声を、私は一度もうるさいと感じたことはない。むしろ、森の中深く漕ぎ出だす舟に揺られているような気分になる。

今朝も「ポロロロッ、ホロロロロッ」と鳴いて、私の朝が来た。そっと覗くと、また小さく白い卵が見えた。

西日の射す窓のカーテンは、すっかり褪せてしまったけどね。