
エキマトペという可能性〜音が見える風景〜
2022年12月9日。18時過ぎ。
今まで取り組んでいた大きな仕事の一区切りが見え始めた日。私は上野駅の1・2番線のホームに
立っていた。山手線と京浜東北線が乗り切れるこのホームはひっきりなしに電車がきては人を吐き出して、また人を吸い込んで去っていく。
普段私は都心部で仕事していないからわざわざ行ったことになる。
なぜか。
エキマトペを見に行ったのだ。
エキマトペとは。
ろう学校の生徒の話をきっかけに駅のホームで聞こえてくる音を可視化したものだ。
2022年12月14日まで認証実験中。稼働時間は現在は7時〜19時。
開発者さんの話も聞けるこちらが詳しい。
いずれ駅に装備されるかもしれない。
装備されないかもしれない。
実験の終わりを前にして私は焦っていた。
なんとしてでも見たい。
そうして対面したエキマトペは
自動販売機の上にあってなかなか大きかった。

台東区の手話サークルの紹介がされていて、まだ表示はない。
そのうち電車がホームに入ってくる気配がすると音の表示が始まった。
ホームに来てなくても隣のホームの音も表示される。


「ヒューン」
「ビュウウウウウン」
「キューーーーーン」
「ポロンポロンポロン♪」
「ルルルルルルル」
「ピポンピポンピポン♪」(ドアの閉まるアニメ)
「キンコンカンコ----ン(なぜかどんぐり)」
「ガタンゴトンガタンゴトン」
フォントがマンガちっくで日本だなって思う。
ガタンゴトンに至っては文字が重なってる!
去っていく電車も可愛い。



ドアのところにいるタヌキが可愛い(笑)
(付記、あとでパンダと知りました(苦笑)上 上野ですもんね)

噂には聞いていたけどなんて面白いんだろう。
耳の聞こえない私は目に見える音に圧倒されて、しばらく見入ってしまった。
世界はなんて音にあふれているのだろうか。
こんな音がしてるんだ。
発車ベルも段階があるのね。
音って重なるのね。
音も去っていくのね。
ふと気がつくと、私の横に
これだよねと立ち止まるカップル。
私と同じように写真を撮る男性。
見上げるひと。
ーーー面白いですよね、これ。
話しかけたかったけどぐっと堪えた。
あやしすぎる。
ろう者だったらはじめての人でもすぐ打ち解けるけどなんとなく聞こえる人かなと思ったから。
優しい世界だな、と思った。
どの駅にも、電車の中にもあったら面白いのに。
アイハブアドリーム。
いつか映画のトータルリコールだったかな
主人公のメガネというかスマートグラスみたいなのに、
臨機応変にCMが映し出されてたみたいに
メガネ越しに人の喋る声やいろんな音が映し出されたら。
世の中の音を可視化できたら。
いいのにな。
せめて実験と言わずに固定で
始発から終電まで動いててほしいな。
無機質なフォントじゃなくて手書きかな?のフォントなの本当に楽しい。
その発想がいい。
なんで上野なのかわからないけど、
あちこちで東京駅や新宿駅や東京以外でも
常設されますように!!!
そう願って名残惜しいけどエキマトペのあるホームをあとにした。
そして、途中の駅で乗り換えたり、最寄り駅で降りる時、音が「見えない」のが変な感じがした。
慣れって不思議だね。
以下いくつか写真。※noteには動画は貼れないのかな。







