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余韻嫋嫋(よいんじょうじょう)音楽雑記。#5

余韻嫋嫋音楽雑記。
#5. 「デッサン#5」/ アキヤマヒロキ

※毎度の事ながら、言わずもがな、主観です。

ボーカルギター秋山紘希(R)さんと、ベースの島田匡祐(L)さんからなる島根県松江市で結成された2人組ロックバンド、「homme(オム)」。

ボーカルのアキヤマさんがバンドと平行して行っている「アキヤマヒロキ」名義のソロ活動にてリリースされた弾き語りCD「デッサン」シリーズの#5の感想です。


#3、#4とは最初に感じた感覚が違って、この曲順、なおかつこの4曲で一つの作品という印象が強く、1枚のCDとしての完成度・満足度にまず脱帽しました。

個々の楽曲が良いのはもちろんなんですが、それ以上に一つの映像作品を観たような満足感というか。
 
【設定】
付き合っているかと言われたらそうでもない、名前のない関係の男女。
※私の中で浮かんだ映像作品の設定です。(笑)

 

1.summer desert


私の中では女性目線の歌。
ギターのアルペジオの柔らかさとジャカジャカかき鳴らす感じが、窓から差し込む光に包まれた愛しい人を、やさしい眼差しで眺めてる映像がパッと浮かびました。

流れるように淡々と歌ってるのに自然に耳に入ってくるメロディーと、ギターの弾き方のバリエーションによる表情変化がにくいと言いますか・・・
さすがです!

切ないけど、とても優しい、素直な歌だなぁと思いました。

「らららりるれ」というひらがなと響きが柔らかくて好きなのと、キウイとパインのチョイスが絶妙です。
ラムネ味でもないし、スイカバーでもないし、オレンジシャーベットでもない。

甘ったるいソフトクリームでもない。

キウイとパインが良い。うむ。しっくりくる。
他の味じゃなくて、キウイとパインが良い。色味もとてもいい。

それと、「desert」という単語が私的には動詞の意味合いの方がしっくりくるなぁと思って聴いてました。

彼女の中では、不毛な想いや色んな感情を、甘くてキラキラした夏の想い出として、綺麗なまま置いていきたかった、去りたかったのかなぁと想いを馳せてみたり。

そうやって捉えると不思議と、「砂漠」「不毛」「自業自得」みたいなワードが次の「MABOROSHI」の歌詞ともリンクしてくるんですよね。

ほら、自業自得って、「自分が蒔いた種」みたいな言い方もするじゃないですか。それがMABOROSHIの歌詞に繋がるなぁなんて。
 

2.MABOROSHI


1曲目との対で男性目線の歌。
まずこのメロディ-が抜群に歌詞と合ってて素晴らしいです。

メロディーの軽さのあるリズムが、陽炎のゆらゆらした感じと、自分の心がふらふらしてるのを感じさせて、最高に耳心地良いです。

私の中では「枯れない愛」っていう花言葉も含め、この曲のイメージとしてサボテンの花がドンピシャでして。

そもそも名前のない関係だから、何も始まっていない訳で、そこには未来もなければ終わりもないんですよね。
だから「枯れない愛」なんです。

あ、設定含め、完全に妄想というか、私の中の映像です。笑

自分で気付かないふりをしていた気持ちがどんどん大きくなって、愛しい相手なら、不毛な想いも自分に対する不甲斐なさや苛立ちも何もかも全部、結局エネルギーになっちゃう感じ。

夏の「魔物」が「残像」に変わるのも切ないし、
後半にかけて音楽のテンションが上がっていくのがより一層、気持ちの膨らみと共に変わっていく関係性や、大きくなっていく喪失感、やるせなさみたいなのを増幅させてるし、
アキヤマさんの歌い方やファルセットの扱い方がより切ないです。

耳に残って離れないメロディーラインもさすがです。
コード進行もたまらんー。。。

曲の構成的には転調しなくても十分、表情付けられると思うんですが、後半に転調をもってきて仕掛けてくるあたりも策士。
ここでさらに上がるんだ!みたいな。

でもその転調が見事にハマってて。
登場人物の気持ちの高ぶりというか、想いが増幅してる感じがして非常に良いです。

うだるような暑さの中で、頭がおかしくなるくらいリピートしたい曲です。
 

3.かくれんぼ


今回の4曲の中で一番ほっとしたというか、心がじんわりした。

各々が、幸せだった時間や景色を思い出してる感じが、探り探りでも、自分・相手の想いに向き合おうとしてる心の変化に思えて、それが何だか嬉しいし、あたたかいです。
(※私が4曲を通して一つの映像作品として聴いているから故の感覚です。)

少し緊張感のあるマイナー調とリズムと、歌詞から受ける印象の対比が相まって、物凄い相乗効果を生んでいると言いますか、、、

メロディーと歌詞を作ってる人が違うのにこのマッチング度合い・・・素晴らしすぎます!
(曲はアキヤマさん、詞は今村モータースさん作。)

それに、1番と2番で音楽的にも変化が付いていることで、確実に場面や熱量が変わるんですよね。

それをさらっとさりげなくやってるのに、物凄く効果的なのがさすがだなぁと。いやはや、天晴れです!
 

4.サイノメ


全体を通して聴いた時に、4曲目にはこれ以外無い!っていうぐらい完璧です。
イントロのコード感からのAメロでまず泣けます。

私の妄想の中の2人の未来に希望の光を見た気がして、すごく救われました。
(※妄想です。ひたすらに妄想の中の映像の話です。)

人と人との関係って、相手との数だけ形があるし、本当はすごく儚くて脆いものなのに、みんな意外とそういう所に鈍感というか。

そばにあるのが当たり前になってて、それが本当は奇跡的な事っていうことに気付いてなくて、自分の気持ちを伝えることを面倒くさがったり、相手と向き合うことから逃げたり。

だけど、心の中ではみんなちゃんと「今」というものの大切さに気付いているし、「伝えたい」っていう想いを持っていると私は信じてて。

歌詞が疑問形になっているからこそ、気持ちはあるのに行動できない自分も受け入れた上で、自分への問いかけに置き換えられるし、そんな人の背中をふわっと押してくれる曲だなって思いました。

きっと、この曲を聴いたあとはみんな、誰かにちょっぴり優しくなれると思います。

人の背中を押せる曲って、そう簡単に、誰にでも創れないです。
素晴らしいなぁと、純粋に思う。

この曲はこの先もずっと、たくさんの人の心に触れて、たくさんの人の背中を、優しく、だけど力強く、押していくんだろうなぁと思います。


アキヤマヒロキ「デッサン#5」
気になった方はぜひチェックを!
→ デッサン#5トレーラー

この先も、大切に、大切に、聴き続けたいアルバムです。

おわり。

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