谷桃子バレエ団「レ・ミゼラブル」応援上映会@UDX Theaterに行ってきました、の巻
昨日はアーティゾン美術館で「空間と作品」展を見てきたのですが、その前にどこに行っていたかといえば、秋葉原におりました。
ご縁をいただきまして、谷桃子バレエ団公演「レ・ミゼラブル」の「応援上映会」に行ってきたのです。
「応援上映」なんて、映画「ロード・オブ・ザ・リング」(20年前だよ!)以来のワタクシ・・・
しかも、めったに行くことのない秋葉原という土地で、もう色々なことでオロオロしてしまいました。
今回は時間の都合で13時15分の回を見ることになったのですが、これが私が8月に見た回の映像でして。
もっとちゃんと調べて、今井ヴァルジャン&三木ジャヴェール回にすれば良かった、と反省しきりだったのですが、どう考えても13時15分からの回にしか伺えなかったので、こればっかりは仕方がない。
とはいえ、同じ回をもう一度、今度は演者から至近な距離からの視点で見返すことができたのは、色々な発見があってとても面白かったです。
例えば、井澤ヴァルジャンが慟哭のあまり体を震わせているシーンでは、本当に、筋肉がブルブルと震えていたのだ、とか。
高谷ジャヴェールが終始能面のような表情をたたえていたのに、セーヌ河畔でのソロシーンで、苦悶の表情を浮かべていた(もちろん、劇場で見たときにも遠目にそれは伝わってきたのですが、より克明に、という意味で)のを発見したり。
映像を通しての再発見で一番良かったのは、馳ファンティーヌの繊細な演技とダンスを堪能できたことでしょうか。
神は細部に宿るといいますが、指先に至るまで神経の通った演技が大変素晴らしく、ああ、こういう細やかな仕草ひとつひとつが、ファンティーヌの、目を背けたくなるような悲劇を遠い客席にもきちんと伝えていたのだな、としみじみと感銘を受けました。
歯を抜かれたシーンとか、こっちまで口を押さえてしまいたくなるような臨場感がありましたし、豊かで美しい髪を切られた時の、まるで女性であることを否定されたかのような絶望に、身を切られるような思いがしました。
ただ踊っているところを見せるだけでなく、音声ガイドを流してくれたのは、鑑賞の助けになりました。
やっぱり音声ガイドはいいですね。
映画館で上映するには、映像と音声ガイドによるナレーションという組み合わせで正解だったと思います。
ただ、やはり映像になって残念だったのは、カメラが顔の表情に寄るせいか、足元の動きが画角に入らない場面が多かったことでしょうか。
井澤ヴァルジャン・高谷ジャヴェールチームは、足さばきやトゥのコントロールが巧みな方ばかりがメインキャストでいらっしゃるので、そこはきちんと見たかったなぁと思いました。
やはりバレエなので、表情演技も大切ですが、ダンス全体を見たかったです。そこがちょっと惜しい。
ちなみに、「応援上映」って一体どうなるんだろう?と思っていましたが、やはり声を出して応援するようなシーンがあまりない、悲劇的要素の強い演目でしたので、客席は皆さん静かに、食い入るように見入っていました。
ちょっとほっとしました。
私が入った回はトークショーはなくて、物販を買った方のみダンサーの方と一緒に写真を撮る撮影会がありました。
私は特にグッズは買わなかったので、そのまま映画館をあとにすることになりました。
この上映会を見て改めて思ったのですが。
演劇にしろミュージカルにしろ、バレエにしろ、やっぱり複数回みたいですよねぇ。
1度見ただけだと、やっぱり見落としがある・・・というか目が足りない!
2度3度と見て、スルメのように何度も長く味わいたいw
でも、最近チケット代が高いではないですか。
劇団☆新感線などはずいぶん前から「ゲキシネ」と称して舞台作品を映画館上映していましたが、バレエでもこういうのがあってもいいかもしれませんね。
もちろん、ネットでの配信もいいですが、大きな画面で、スケールと臨場感を体験しながら見るのも、やはりいいものです。
YouTubeチャンネルのリニューアル以降、谷桃子バレエ団は次々と革新的な試みを続けていますが、この姿勢、私は大変好ましく思っています。
バレエは美しいし、綺麗だし、楽しいものです。
それがもっともっと身近に、気軽に見に行ける存在に感じられるようになることは、10年先の未来の種を蒔いているのだと思います。
ところで、やっぱり谷の男性ダンサーはかっこいいですよ。
6月のガラ公演の時に、「男性ダンサーメインの演目が見たいなぁ」と思っていたら「レ・ミゼラブル」がありましたし、これから男性ダンサーにもっと注目した内容の映像が出てくるといいな、と思いました。