「贅沢って悪いな」と感じるのを探ったら、思わぬ理由で号泣した話①【ヒプノセラピー体験談】
今日はふと
「そういえば、私ってもともと贅沢が好きな気がする……けど、贅沢するのってなんか悪いな、って気持ちがあるかも」
と感じたので、なんとなく(←このなんとなくって意外と大事)探ってみることにした時のお話です。
★「町へ行ってみたい」オランダの農場の少女
過去への道はいつしか洞窟に変わっていました。
洞窟を抜けて現れたのは、良く晴れた空と緑色の丘、草原、そしてたくさんの牛たち。遠くには海が見えます。
「寒い地方」と感じました。たぶん、オランダあたり。
気づけば、農場の柔らかい草地を踏む足は、木靴をはいていました。
スカートのような服の下に、白いズボン?っぽいものをはいています。
金と茶色の間みたいな髪色の、赤いほっぺの、ふっくらと健康そうで愛嬌のある顔立ちの少女。いつもニコニコ元気。それが私でした。
「牛って可愛い!」そう思いながら丘を駆け下りていくと、母の呼び声が聞こえます。
「メアルゥ」みたいな名前。たぶん、メアリールゥみたいな感じです。
大きな牧場を営む家庭に生まれたメアリールゥは、元気に健やかに素直に育ちました。家族は父母に、兄、弟、妹、おじさん。そのほかに使用人さんもいるらしく、大所帯。
メアリールゥ(私)は町に行きたがっていました。特に理由があるわけではなく「新しい世界を見てみたい」感じ。
友達には「玉の輿狙ってるんでしょう!?」なんて揶揄されるけど、そんなんじゃありません。
近所の少年(大きな農家の跡取り)に結婚を申し込まれるも、彼には興味はありませんでした。
★父の徹底的な反対
町へ行きたいということ。
それは、父にはめちゃくちゃに反対されていました。
「ここで家族で過ごすのが一番いいんだ!近くへ嫁に行け!」みたいに。
困った私は学校の先生に相談しました。
「あなたはもともと、やればできる子。しっかり勉強して、大学を目指しなさい。大学は町にあるんだから、受かれば行けるわ」
それから私は猛烈に勉強しはじめました。
すると父は「女の子に学問なんていらない!」と激怒します。
「家にいる時は家の仕事をしろ!」と言うので、昼間は農作業でなかなか勉強ができません。
そこで夜にこっそり起きていて勉強すると、今度は
「いつまで起きているんだ!?さっさと寝ろ!灯りの無駄だ!」と怒鳴られます。
仕方ないので、私は学校にいる時間をとにかく勉強に当てることにしました。
休み時間は友達と遊ばず、帰りもなるべく残って勉強。帰宅時間をギリギリまで遅くしました。
★家族との訣別
私は、努力の甲斐あって、大学に合格しました。
先生や友達は一緒になって喜んでくれましたが、父はカンカンで……。
「相談もなしに勝手に」という思いもあったと思います。
「女に学問はいらない」「近くで結婚しろ」「絶対に許さん」「金も出さん」「出て行くならもうお前はウチの子じゃない」……。
私は、これ以上ないほど傷つき、泣きました。
泣いて泣いて、でもどうしようもなくて途方にくれました。
しかし、絶望していると母(現世の叔母)がこっそりやってきました。
「メアルゥ。このお金使って。少しずつ、あんたのために貯めてきたんだから、遠慮しなくていいんだよ」
「そんな……でも、お母さんが怒られるんじゃ」
「お母さんは大丈夫。お父さんのこと、気にしないで。さあ、行きな」
お母さん、大好き。大好き。ありがとう。
残していって、置いていって本当にゴメンね。愛してるよ、心から。
私は、後ろ髪引かれる思いながらも、汽車に乗りました。
「もう帰れない」と覚悟して。
★ようやく町へ!人生を変える出会い
大学は、田舎育ちの私からすると、ものすごい都会にありました。
通う学生も垢ぬけていて、いかにも町の子、といった感じ。
勉強もハードだし、自分の言葉の訛りも気になって、私はなかなか打ち解けられません。
学生寮に入っていましたが、寮母さんはキツイ性格の人でした。
そんなある日、ふと商店街に飾られている絵が目に留まりました。
とても素敵な絵です。
吸い込まれるように、絵が飾られていた古い小さな画廊に入りました。
中には、静かで優しそうなおじいさんが一人。
絵を買うのはお金持ちと相場が決まっています。しかも、私は若い学生。場違いだったと気づき、慌てて言いました。
「あ、あの、あんまり絵が素敵だったもので。すみません、場違いですね」
すると、出ようとした私をおじいさんが引き止めました。
「なんの、なんの。この通り、わしはヒマしとるんでね。お嬢さんさえ良かったら、いくらでも絵を見て、話し相手になっておくれ」
おじいさんは、あたたかいコーヒーを入れてくれました。初めての味でした。
★心温まる友情
それから私は、毎日のようにその店へ通うようになりました。
まるで昔から友達だったように、私たちは色々な話をして、たくさん笑いました。
おじいさんはあまり自分の話はせず、私の話を聞きたがりました。
学校のこと、勉強のこと、寮のこと、そして実家のことや、丘や牛、農場のこと。
ある日、おじいさんはおずおずと尋ねました。
「メアリールゥ。お前さん、ここへばかり来ていていいのかね?学校に友達だっているだろう?」
心配するおじいさんに、私は笑って答えます。
「私、あんまり友達がいないの。ふるさとにももう帰れないし、寂しい人間なの」
冗談めかして笑うと、「わしと同じだな」とおじいさんは寂しそうに笑いました。私たちは寂しいもの同士なのでした。
★衝撃
ある日のことです。
いつものように店へ向かうと、そこには人だかりが。
「まさか、おじいさんの身になにか……!?」
焦って走り寄り、人ごみを抜けていくと、なんとそこには、警察に取り押さえられ、店から引きずり出されるおじいさんが。
「なんで!?」
声をかけたくとも、かけられる雰囲気ではありません。
周りから、ひそひそと声が聞こえてきました。
「泥棒だったらしいわよ」
「盗んだ絵を売ってたんですって」
「道理で、みすぼらしいおじいさんだと思ったわ」
「やだ、盗品じゃない!」
それを聞き、呆然とする私。
「あの優しいおじいさんが?」
「私、騙されていたの?」
「信じられない……まさか」
それから、二度とおじいさんに会うことはありませんでした。
店はいつの間にか閉まっており、おじいさんの行方も知れず。
私は学校の友人と過ごすようになりましたが、心にぽっかり穴があいたようでした。
★一通の手紙
それから数年後。
もうすぐ卒業、という年のことです。
先生から、一通の手紙を渡されました。
不審がる私に、
「この学校でメアリールゥはあなただけだから」と。
宛先には、学校名と私の名前だけ。
差出人には覚えがありません。
開けて驚きました。
おじいさんからだったのです。
長くなったので、続きは次回。
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