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こうして勤続20年!? いいかげんフリーランスのススメ

いいかげん

この言葉から、どんな意味を思い浮かべますか?

「塩を入れて、好い加減に調節してください」
ほどよい、適度と言うような、ポジティブな意味?

それとも、「あいつは、いいかげんなヤツだ!」
無責任、投げやりといったネガティブな使い方だったでしょうか?

私は韓国語や英語を学んでいるのですが、これらの言語でも、一つの単語が肯定、否定の両方の意で使われるというケースはあります。

けれど、いいかげんのようにアクセントを変えて意味の違いが出るという単語は、これまでに出合ったことがありません。

日本語独特のものなのでしょうか。

ポジティブないいかげんは、イ\イ・カ/ゲン。
ネガティブないいかげんは、イ/イカゲン。

アクセント表記でも、上は楽しそうで下は不機嫌そうに見えてくるから面白いです。


なぜ、こんなお話をはじめたのかと言いますと、20年のフリーランス人生を振り返ってみて、ワタシなりに編み出した長続きの秘訣は、いいかげんだったなと思ったからです。

私の仕事のスタイルは、基本的にクライアントから発注をいただいて、制作物を納品、もしくはサービスを提供するという業務委託という形式です。

スタートは、求人広告の制作ディレクションでした。2008年に起こったリーマンショックの余波を受けて、そのプロジェクトは解散。
次に委託を受けたのは大手企業のママコミュニティサイトへ出稿する、企業の記事広告の制作ディレクションの仕事でした。

それからも、医師や弁護士を対象にした専門雑誌の取材ライティングや、広報誌のライティング、書籍の執筆サポート、メールマガジンの制作代行、企業広報代行、SNSのコンテンツ制作・・・と、次々と仕事の幅が広がっていきました。

専門性を追求してエッジを利かせるというよりは、マルチプレーヤーです。

フリーランスとして生き残るには、ある分野のプロフェッショナルにならないとだめだよ、というアドバイスを受けたこともあります。

けれど、もともと野次馬気質なところがあるのでしょうか。ほどよくいろいろな分野をのぞけるほうが性に合っていました。

マルチプレーヤーが私にとってはイ\イ・カ/ゲンだったのです。


仕事をするうえで、切り離せない収入。ここでも、いいかげん精神を発揮しました。

業務委託なので、収入額を上げるためには

・案件1件あたりの単価を上げること
・数をこなすこと

この2つの要素が必要でした。

けれど実際の話、面白いけれどギャランティーが低い、金額はよいけれど、内容に惹かれない、とママならないのが世の常。

また、数をこなすと言っても、ひたすら仕事を受けていたのでは、私が意図していた好きなことを好きなときにやるためのフリーランスという働き方が果たせなくなります。

そこで、私のいいかげん戦略はこうです。

まず、生活に必要な最低限の金額を設定し、最低限、その額に達するよう依頼を受けること。ここは四の五の言わずにがんばります。

さらに、最低額に達した後は、仕事の面白さ、ギャランティー、その時々で、優先順位を変えながら、適度な量と内容になるよう調整。

仕事以外のことに時間を存分に使いたいときは、最低ラインの収入に達すればよしとしたこともあります。

もちろん、こちらが望むような形で案件が舞い込んでくるわけではありません。ここでも、キッチキチに考えるのではなく、ほどよく、ほどよく。

イ\イ・カ/ゲンであることが、フリーランスという収入面での不安定さを乗りこなしていく精神安定剤でした。


最後に、いいかげんのネガティブな側面にも少し触れておきますね。

20年間、私はクライアントや仕事には恵まれたほうだと思います。

それでも、時にはぞんざいな扱われ方をしたり、誠意の欠片も感じられないような仕事を受けたりすることもありました。

中でもいちばん悩ましかったのは、「プロでしょ。適当にいいの作ってよ」という依頼でした。

全知全能の神さまのようなクリエイターなら「適当にいいもの」を作れるのかもしれません。けれど、下界の凡人なプロの私は、そういう仕事がもっとも苦手。

イ/イカゲンな発注は、イ/イカゲンな仕事で返す。それでは、自分の心が荒んでしまいます。

よく、フリーランスは人間関係のしがらみがなくてうらやましいと言われましたが、残念ながら、フリーランスでも面倒な人間関係はあります。

発注(お金を出す)側⇔受注(お金を受け取る)側という関係は、上下関係が生じやすく、パワーバランスが一方に偏ることも多にしてあります。

だからこそ、2024年にフリーランス新法なる、弱い立場になりがちなフリーランスを守る法律が施行されたわけです。

こうしたイ/イカゲンな状況でも、心が荒まないとっておきの方法、知りたいですか?

こっそり教えましょう(コホン)。

仕事はきっちりとやって、請求書を送る時に心の中で「デンソージオ!(前歯がリスのように伸びろ!)」とハリーポッターに出てきた呪文の言葉を唱えるのです。

イ/イカゲンをイ\イ・カ/ゲンに変える呪文。だまされたと思って唱えてみて!ふふふ。


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