LoLのパッションを知ったあの日。
僕が初めてLoLの大会を観戦したのは、確か昨年の世界大会「Worlds」でDFMが戦っていた試合だ。すまないが、対戦相手がどこのチームだったのかははっきりと覚えていない。が、その試合で受けた興奮は今こうして綴れる程に覚えている。まず試合を見ていて率直に思ったことは、
「何が起きているのか分からん…」だった。
それもその筈、僕は今までLoLをプレイした事がなくルールや知識もほとんど知らない状態で、興味本位でその試合を観戦していた。後に自分が始めるまでキーボードのWASDでチャンピオンを操作していると思っていたくらいだ。
序盤は各レーンでお互いのチャンピオンがちょいと手を出せば届きそうなスキルの間合いで探り合いをし、来る戦いに備える。だがその静けさに油断してはいけない。一瞬の隙や一手の判断ミスをしてしまえば、彼らはそれを見逃さず、ワイプに写る選手達の瞳孔は紅に染まり、瞬く間に狩りが始まるのだ。まるで狼の群れが牙を剥き出し襲い掛かるように、鯱の集団が優れた連携で自分より何倍も大きな鯨を沈めるようにキルを狙う。
まさに野生の狩人。
しかし、相手も世界を勝ち抜いてきた野生の狩人だ。人数不利に追い込まれても、そう易々とキルをさせてくれない。体力ギリギリのところで逃げ切ったり、刺し違えてもという覚悟で反撃をしてくる。さらに、追い詰められたフリをして敢えて自分を追わせ、敵が射程に入った瞬間、茂みや視覚外で隠れていた味方が飛び出し巧みなスキル合わせで返り討ちにする。そんなシーンもあった。 普段からLoLをプレイしている、試合を観戦している人達からすれば珍しいものではないのかも知れないが、初めて見たそれは衝撃的だった。LoLの理解が浅すぎる僕には推し量ることが出来ない程の用意周到な作戦とその場での臨機応変な対応や正確な判断、全てこうなる事を知っていたかのような立ち回り。それを見て、
「完璧だぁ!」とキャスターの人達が言っていたような気がする。
試合中盤になると、序盤のキルの積み重ねでゴールドに差があったり、タワーの破壊など徐々にDFM側が有利に進めている様子だった。両チーム、戦闘準備が整っていくと不利状況を覆そうとキルを狙ったり、ドラゴンやバロンを巡って激しい戦闘が繰り広げられる。その中での目まぐるしいスキルの応酬は実況やコメント欄を白熱させ、僕は何がどうなっているかあまり分かっていなかったが興奮して、
「おぉ〜!凄っ!やばっ!」しか出てこなかった。
その後、キル発生前後のリプレイが再生されると共に冷静で丁寧な解説を行ってくれる。用語は分からないものもあるが、何が起きたのかやそれぞれのチームがどういう考えで動いたのか、戦闘を仕掛けたのかを分かりやすく説明してくれるので、試合全体を通して非常に見やすく、実況解説の人達は本当に凄いと思った。
そして、終始DFMが自分達の有利を押し付ける事ができ、敵チームのネクサスを破壊し勝利した。勝者は試合中には見せなかった嬉しそうな表情で選手・コーチと喜びを分かち合い、敗者は落ち込んでいる選手の肩に手を添え合い、デバイスを片付け去る。それぞれのチームにドラマがあり、想いがあり、感動がある。僕はLoLに関して浅い者で、LoLの何たるかを理解した訳ではないが、大会観戦でLoLには熱くなれる要素が沢山詰まっていることを知った。MSIでも新しい発見を探しつつ、DFMの皆さんを応援して楽しみたいと思う。