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固定観念をとっぱらって、息子と接してくれる先生

10月から、支援級にお邪魔している小1の息子。
支援級の担任のK先生にはすっかりなついて、「学校楽しい!K先生が好き!」と毎日楽しんで学校に通っている。

K先生は35歳くらいの女性の先生。K先生ってどんな人?というのがわかるエピソードをいくつか紹介する。

■エピソード①
支援級まだ慣れていない頃「お母さんと離れたくない」という息子に
「じゃあ、お母さんとスーパー行って、好きなお菓子を買っておいで。
そのお菓子持って、教室入ってきていいから。そしたら、お母さんには帰ってもらおう」と提案してくれた。
→この提案に息子は乗り気で、ちゃんと私と離れられた。
モノで釣るのは…と心配したのだが、それ以降はモノで釣らなくても学校に行くようになった。

■エピソード②
・ズックのかかとが嫌い、学校指定の白や紺の靴下が嫌いな息子は、学校内では裸足で過ごしていた。

ある日、蛍光色の靴下を履いていくと、先生は
「いいですよ、蛍光色でも。履いてきてくれたなら何でもいいです!」と言ってくれた。
→それ以来、息子は毎日蛍光色の靴下で登校している。

「ズックのかかと、切り落としましょう!」と先生が提案するので、切り落とした。
→息子はかかとを切ったズックを履いている。

■エピソード③
連絡帳には保育園の先生並みに、息子の様子を書いてくれる。
「発表してるときの動画を送りたいので」と言って、LINEを交換をしてくれる。

■エピソード④
「冬休みの宿題はしてもしなくてもいいです。宿題のことで、家でお母さんとバトルしてほしくないし。これくらいの量だったら、私とやれば2日で終わりますから。」と、"宿題はしなくてもよい"と言ってくれる。

K先生ってこんな人

とにかく、息子をよく観察してくれている。
そして、「この子にはどういったアプローチがベストなのか」を常に考えて接してくれるのだ。

このK先生の教育方針とか、背景にどんなものがあったのか、とても興味があって、先生に色々聞いてみた。
(個人を特定するような表現はあえてぼかしています。)


"ベテラン教諭と共に働いてみたい"と二つ返事で支援級へ

そもそも、なぜ支援級を担当しているのか?
育休中に校長先生から「復帰後は支援級を担当しませんか?」と打診されたそう。
息子が通っている小学校には支援級ベテランの先生が二人在籍している。
"この二人と共に働いてみたい"という思いから、二つ返事で支援級での復帰を決めたそうだ。

なぜ教師に?

教師という職業を志すきっかけになったのは、小学校時代の恩師の影響が大きいという。

「小学校4年生の時に、学校が嫌でずる休みしていたことがあります。父が厳しい人で、思うようにいかない気持ちを抱えていたんです。家でのモヤモヤを晴らすために、友人を仲間外れにしたり、逆に仲間外れにされたり。そんな時期をすごしていました。」

「でも、小学校5,6年生にもたれた先生の影響で考え方が変わりました。"友達にいじわるするとか、そんなことはくだらない”、”授業はみんなで作るもんだ。先生が作るんじゃない”。熱心な先生に認めてほしくて、私は精いっぱい頑張りました。そして”こんな先生になりたいな”と思うようになったんです。」

このときに持たれた先生には、K先生が新任のときにも、お世話になったそうで、今でも親交があるそうだ。

教師になって間もなく、海外研修に

教師になって間もなく、教師海外研修で10日間アフリカのエチオピアに行く機会があったK先生。
そこで、教え子と同じくらいの歳の子どもたちが、靴磨きの仕事をしている現状を目の当たりにする。

「日本に生まれたら、普通に学校に通って、普通にみんなと遊んで…そういう生活ができたはずなのに。生まれた国が違うだけで、ここまで違うんだって、衝撃を受けました。」

「経験だから、Kさんも靴磨きをしてもらったら?」と言われ、履いていたスニーカーを磨いてもらったK先生。

「その子の首のところに、大きな腫瘍があったんですよ。あぁ、この子はもう長く生きられないんだろうなって思いました。これから、たくさんのことを学んだり、誰かと恋をしたり、子どもを持ったり…そういうことが、この子はできないんだろうなって。」

この経験が火種となって、海外ボランティアに興味を持ったK先生。
青年海外協力隊に受験することを決める。

中米エルサルバドルに小学校算数教育という分野でボランティアに

青年海外協力隊事業に無事合格したK先生は、中米エルサルバドルに、”小学校算数教育"という分野でボランティアに参加することとなる。

日本の教育現場とは全く異なる環境に、驚きの連続だったという。

「朝ご飯食べてこない子もいるんです。学校の教室に持ってきて、授業を受けながら食べてる。"それはあかんやろ!"って思いましたけど、向こうでは当たり前の風景なんですよね。」

「向こうの教育は、"できない子"はいつまでたっても進級できないんです。だから、6年生くらいの子が1年生の授業受けてたりする。サポートが必要な子、なのに。」

固定観念を破る

私の息子に対して、「お菓子買っておいで」と提案したり、「かかと切っちゃいましょう」というK先生。
K先生の言動で、私の「固定観念」が壊された感覚があった。
そのことについて、K先生に尋ねてみた。

「海外協力隊での経験があったからだと思います。日本と全然違うから。"こうあらねばならない"って基準が違うから。私が考える固定観念の概念が取っ払われたんだと思います。」

全ての子に教育の機会を

先生の教育理念を聞いたところ、こんな答えが返ってきた。

全ての子に教育の機会を。その子にあった豊かな教育を。子どもにとっておもしろい教材を提供すること。限られた時間を有効に使うこと。子どもではなく一人の人として尊重すること。

K先生の教育の根っこというのは、青年海外協力隊での経験が大きいのだと思う。

日本に暮らしていたって、家庭の事情や本人の気持ちで学校に行けずに、教育の場に身を置けない子だっている。
現に、私の息子がそうだったから。

K先生に出会えなかったら、息子は今でも学校に行けていなかったと思うし、学校が楽しく学べるところだと思えなかっただろう。


K先生との出会いが、息子の学校生活を一変させた。
良い先生に巡り合えて、本当に良かった。

K先生についてはまだ書きたいことがあるのだが…今回の記事はこの辺りで。



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