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食べログの星に惑わされて、素敵なお店を見逃しているかもしれないと思った話。

 「東京の喫茶店」という本を最近読んだ。エッセイ形式で著者の川口葉子さんのおすすめの喫茶店を紹介している本。いま私が住んでるのは東京から海を隔てて離れた北国だけど、装丁の雰囲気がよくて、思わず手にとってしまった。

 数年前、東京に住んでいたときに訪れたお店もいくつか紹介されていた。吉祥寺の「ゆりあぺむめる」は昔からあるお洒落な純喫茶というかんじで、よく通っていたなあ。同じく吉祥寺の「くぐつ草」では美味しいカレーを食べたっけ。なつかしさと、あ、あのお店やっぱり人気だったんだ、と、なんだか嬉しくなる。

 一方で、家のものすごく近所にあったのに行ったことがなかったお店もあった。そこの店の存在は知っていたし、気になってもいた。いくらでも入るチャンスはあったのに、ついに行かなかった。それはなぜか?当時の食べログ評価が星3少々だったからである。
 本では、その店の魅力がつづられていて、今だったら、そのお店にコーヒーを飲みに行ってみたい、と思わされるものだった。ああ、おしいことしたなあ。

 食べログも、その本も、結局は「口コミ」で、どんなお店かを紹介しているところは共通している。だけど、食べログではどうしても、多くの人が良い評価をつけている、というところに目がいってしまって、せっかく行くなら星の多いお店に行きたい、となってしまいがちだ(少なくとも私は)。
 でも一方で、たった一人のある人がお店の魅力を語ってくれることを通して、そのお店への関心が高まる、ということもあるんだな、と、この本を読みながら気づいた。食べログの星の数だけじゃなかなかわからない魅力がある。

 こんなふうに一人の人が、自分の感じたことを通して素敵な喫茶店を紹介してくれる本。もっとはやく知っていたら、ここに載っているお店をまわってみたかったなあ・・・。

 まあ、結局だれかが「良い」といっているお店に行きたいということには変わりないわけだけど(たまには自分で開拓してみてもいいと思いつつ、せっかく外食するなら失敗したくない・・・という思考が働いてしまう)。たとえ「みんなが高評価」でなくても、あるひとりの人が「めっちゃよかった」といっているということも、素敵なお店を知るためには大切な情報になるんだなあ。「星の数」に惑わされて、素敵なお店を見逃していたら、もったいない。

 



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