【映画】CURVE
先日、高所恐怖症を恐怖のどん底へ叩き落す、もとい恐怖の頂点へぶっ飛ばす「FALL」という映画を紹介致しましたが、あれより更に「絶望しかない」映画を紹介します。こっちは、一片の希望すら残されていません。
ちなみにyoutubeで全編観ることが可能です。最後にリンクを貼りますので、ご興味のある方は是非。
物語
女性が目が覚めたら、ずり落ちそうで落ちない「絶妙な角度」のコンクリートの斜面の上にいる。たったそれだけの物語です。動画の長さは10分、登場人物は1名。足元の暗闇からは機械的な轟音が聞こえてくる。そして、落下に抗う彼女の下に雨が降り注ぎ…
ネット上で様々な考察が…
物語が「ほぼ説明なし」の状態なので、深堀する方がたくさん現れたようです。あれは、中絶のメタファではないか?とか、うつ病の方のメンタルを表したものではないか?とか。特に中絶説は色々と符合する側面があって(子宮の角度、中絶の所要時間、音など)、世の中には鋭い考察をする人がいるもんだなぁと思いました。
が、監督の「自身が事故に遭った時の体験」が、この映画の着想だったとの事。この世に生を受けた者は「中絶されなかった」訳ですし、事故のような偶発的なものとはニュアンスが異なる。となると、中絶説はどうにも整合性が取れない。やはり、単純に「死への恐怖をビジュアライズしたもの」という理解でいいのかな。
特筆すべきは音です。序盤の波の音、雨の音、足元の暗闇から聞こえてくる不気味な音。全てが恐怖を盛り立てます。
ホラーとして
世の中には様々なホラーがあります。モンスター系、怨霊系、人間の怖さを描いたサイコスリラー系、いきなり過酷な環境に追い込まれる不条理系などなど。これは不条理系、またFALLのような「ソリッド・シチュエーション・スリラー」でもあります。
1度目の鑑賞は目をそらしたくなるくらい怖かった。「FALL」と違って「助かる手段は皆無」です。いつまで持ち堪えるかだけ。必ず最後には絶望が待っている。こんな映画、なかなかないですね。
飽きさせない時間、登場人物が1人なので複雑な描写なし、セリフすらゼロ、音楽すら流れない。こんな映画かつてありましたか?普通の映画にあるような要素を排除したミニマルな映画だからこそ、恐怖だけが最大限に浮き彫りになる、そんな映画でした。
最大限の賛辞を贈りたいと思います。
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