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【時事】NTT法 情報整理

これもデマが乱立しているので、一回情報整理しておいた方がよさそうですね。今回の「改正」と併せて「廃止になった際」も記載してまいります。

ヘッダーは「若い子、これ見た事ないでしょ?」な感じにしました。ちなみに、ちなみに「シティハンター」連載時は、この電話は現役だったりします。

シティハンター

では、本題に入りましょう。これ、複雑です。論点が同時進行的に複数あるのです。あと、段階的に廃止に向けて動いていくようなので、2024年4月の改正と、今後の方向性も分けて書かないと…うわ、なかなか大変だ…



01. NTT法の概要確認

そもそもNTT法ってなんなの?誰が誰を法で縛っているの?国民はどんな影響を受けるの?私も先日まで全く知りませんでしたので、一緒に確認してください。

NTT法は通称で、正式には「日本電信電話株式会社等に関する法律」です。


01-1. NTTの組織形態の変遷

1985年に前身にあたる電電公社が現在のNTTとして民営化され、日本電信電話公社法が廃止。新たに「日本電信電話株式会社法」(NTT法)が成立しました。その後、1988年にNTTデータ、1992年にNTTドコモと分社化が進み、1999年にはグループが再編して持ち株会社になります。

現時点でNTT法の規制対象となるのは、NTT(持株)とNTT東日本、NTT西日本の3社です。NTTドコモやNTTデータ、NTTコミュニケーションズ(OCN)は対象外です。

ケータイwatch

01-2. NTT法とはどんな法律?

細かい項目もありますが、大きいポイントは下記の3つ。

❶ 政府によるNTTの株式保有を3分の1以上にすること。
❷ 固定電話サービスを日本全国あまねく提供する義務 
❸ 電気通信技術に関する研究の情報を開示する義務

NTT法のポイント

政府が一定数の株式を保持する代わりに、公的サービスをちゃんと遂行してね、という法律です。賛成派、反対派の各論の前に、どういう影響が出るのかをピックアップしていきましょう。懸念材料の洗い出しです。

政府保有株の売却
政府がNTT法を廃止するという事は「政府がNTTの1/3以上の株式を保有」も廃止される流れになります。つまり、完全民営化です。現在、政府が保有するNTT株は約34%、時価は約4兆8000億円です。

ほぼ40年前の1984年に施行されたNTT法では、取締役と監査役の選任・解任、毎年度の事業計画、定款の変更や剰余金の処分などをいずれも総務相の認可事項と定めている。これは、あたかも国有企業であるかのような強い縛りである。それは、NTTのビジネスを強く制約している面があるだろう。

Nomura Research Institute

これを巡る議論は過去にも浮上していまして、90年代には政府の審議会が「将来の完全民営化」を盛り込んだ答申をまとめたりしています。懸念されるのは「外資が株式を取得すると、日本の通信インフラを握られるのではないか?」という部分かな。そこは後述します。

固定電話サービスを全国あまねく提供
ここ30年ほどで、世の中は大きく変化しました。言うまでもなく、携帯電話の普及です。企業や学校などの「組織」だと、当然のように固定電話は契約・設置されていると思いますが、一般の個人はどうでしょう?固定電話を使う機会ってめちゃめちゃ減ってますよね。実は固定電話は「NTTの業績を大きく損なう赤字事業」です。NTT東西加入電話(ISDN含む)の推移は下記グラフの緑色のチェック模様の箇所です。2011年時点で3,135万契約だったのが、2022年12月時点で1,375万契約。たった10年そこらで半分以下になっている訳です。

総務省 令和5年度情報通信白書

現在はNTT法のため、この不採算事業を撤退できないんですね。ここのサービス廃止が懸念材料の2つ目。

電気通信技術に関する研究の情報を開示する義務
これは現時点では「時代にそぐわない」になってしまっています。電電公社民営化の頃は「固定電話関連技術をNTTが独占していたため、情報通信技術の発展のため研究成果の普及を求める」という側面がありました。国内の企業が国内の発展に寄与するために情報を公開する主旨ですね。

旧民主党政権では原口一博総務相(当時)がNTTの姿について「ガリバーが手足を縛られチャンスを逃している」と表現し、規制を見直すよう提言しています。当時はもうネット社会でGAFAもどんどん勢力図を拡大している頃なので、国内企業の躍進を阻む要素はなくしたいですよね。今の原口氏を見ていると、隔世の感がありますが…。これは当然、立場によって見解が変わるでしょう。NTT側は自社技術の公開をしたくない(突出した技術を自社で使いたい、競争力を高めたい)でしょうし、逆に「その技術を使いたい側」からは開示義務は保持したい。と思っていたのですが、割とここは他社も寛容に捉えておられます(後述)


 02. 通信手段の変遷・情報整理

携帯電話はここ30年程の進化であり、公社時代が関与しないのですが、昔からある固定電話および付随する施設が「NTTと他者を大きく分けるポイント」かなと思います。ユニバーサルサービスとしてあまねく電話サービスを提供すると同時に、他が引き受けないエリアはNTTがやるという「ラストリゾート(最終手段)」を担っている側面もあるので…


02-1. NTTは固定電話サービスを全国あまねく提供

過疎地や山間部、離島で「固定電話サービスの提供が受けられなくなる地域が出てくる恐れがある」という懸念はわかります。NTT法があれば、採算が合わない地域でも都心部と同じ価格でサービスを提供する必要があります。
義務が撤廃されれば、当然、不採算地域から事業撤退してしまう恐れがあります。これ、国鉄からJR民営化の時も同じような論調でしたよね。

競合会社は「固定電話の需要は根強い」という事で、全国一律サービス義務は残すべきだと主張。ポイントは、この責務を負わない競合他社の主張である点ですね。


02-2. メタル回線の需要減

通信形態が携帯電話主流になり、ネットワークも(ダイヤルアップ・ISDN・ADSLの時代が終焉を迎えた今となっては)メタル回線(銅線)よりもFTTH(Fiber To The Home/光ファイバー)での通信です。競合他社は、光回線のIP電話網についても、NTTに一定の提供義務を課すよう求めています。実際、NTTのFTTH通信網を数多のISP(Internet Service Provider)が利用しておられます。設備はNTT、サービスの実務はISPって役割分担ですね。

NTTは全国一律の通信サービスを固定電話から「携帯電話を軸」としたものに変更することを情通審に提案しています。島田社長は全国一律の通信サービスの中心に携帯電話を据えることで「光ファイバーですべてカバーするよりも、コスト的には軽減できるのではないか」と述べ、国民負担が少ない形で通信サービスが受けられると説明しています。

総務省のデータで世界規模で固定電話の普及率を見ても、年々契約数が減少しているのがわかります。ここに固執するのは、衰退する産業(古くは石炭、ビデオデッキ、ワープロのような)に投資する形になるのではないでしょうか。過疎地、離島対策は、正直「携帯エリアの拡充」で賄っていくのが理にかなうと考えます。


02-3. ワイヤレス固定電話

固定電話も「メタル回線」の時代は終焉が近いと思います。というのも、まさに今月(2024年4月1日)サービス開始したのがワイヤレス固定電話。

固定電話のメタル回線は「銅線」です。経年劣化、老朽化が著しく、設備の維持には多額の費用がかかります。需要減で契約数も収益性も確保できないのに「高額な維持費がかさむ」は普通に考えてナンセンスですね。

NTT東日本・NTT西日本 ワイヤレス固定電話の概要について 2022年1月7日

山村、半島、離島振興法などで、かつ加入電話回線密度が18回線/㎢未満のエリア、メタルケーブルでの提供が著しく不経済なエリア、災害時など一時的に電話の役務の提供が困難となるエリアなどが対象です。固定電話も次世代に移行する必要性があり、実際に稼働し始めた訳です。まあ、現在はまだメタル回線が主流で、過疎地などで限定的に動き出した形ですし、あくまで「サービスの維持」が主軸で「赤字解消につなげるプラン」ではないのにご注意ください。


02-4. 携帯電話の変遷

まずは通信規格の過去の変遷をご覧ください。ショルダー携帯を使っていた方はかなりレアだと思いますが、1993年のデジタル化以降は一般に馴染んで、どんどんサービスが拡充されて、ガラケーからスマホに移行…という流れをご経験の方も多いと思います。今の大学生とかは「初手からいきなりスマホ」でしょうけどね。

5Gの覇権争いは比較的記憶に新しいのではないでしょうか?アメリカや欧州や日本では、政治的にHuaweiがあまりプッシュされるニュースは出回らないと思われますが、世界シェアでは下記の通り。次いでEricssonとNokia、ZTEあたりが並びます。Samsungに忌避感ある方も多いとは思うのですが「日本企業合計」の3倍以上のシェアがあるんですね。私も今回確認して少し愕然としました。

総務省 令和5年版 情報通信白書

経済安全保障上の「技術の秘匿性」は、同時に「国際競争力の確保」の側面も併せ持ちます。なお、下記の競合他社に関してもこの件に関しては異論がないようです。

ちなみに記憶に新しい事件なので覚えておられる方もいらっしゃるかな、ロシアの産業スパイ案件の記事はこちら。セキュリティクリアランスの必要性を痛感しますね。


03. 第一段階:改正NTT法案成立

2024年4月17日、改正NTT法案が成立しました。正式名称は「日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」です。改正内容を確認してまいりましょう。

今回は廃止ではなく「一部緩和」といったものです。

・NTTの研究成果の開示義務が廃止される
・社名の「日本電信電話」の変更が可能となる
・外国人役員の規制緩和
(全体の3分の1未満で、代表取締役を除いて就任が認められる)


03-1. 各社の反応

リンク張っておきます。

3社ともほぼ同一見解。整理すると下記のようになります。
NTTの研究成果の開示義務が廃止される
 
特に問題視はされていないようです。
社名の「日本電信電話」の変更が可能となる
 
ここも特に問題視はされていません。
・外国人役員の規制緩和
 
ここも「経済安全保障上、慎重な検討を云々」という程度

研究結果の開示義務について、少し注釈。NTTは1980年代後半の株式時価総額が世界一でした。情報通信分野の論文数も世界的に多かったのですが、2016年にGoogleに論文数を追い抜かれ、近年の論文数はGoogleの半分程。また、スイスのビジネススクールIMDによると「日本の情報通信産業の国際競争力は2016年の23位から22年には29位に沈んだ」との事。秘匿性のあった方が進めやすい開発を「NTT法が阻害している」面があるのですが、公開義務を緩和すれば、次世代通信技術の開発や生成AI開発など、最先端の国産技術を推進できる可能性があります。

ではどこを懸念しているのかというと、今後議論が進むであろう「固定電話サービスを全国あまねく提供」の箇所です。光ファイバー網は、NTT依存の状況が強いので、ここを独占的なスタイルで主導権を握ってのビジネスを展開される事に忌避感があるのではないかと思われます。


03-2. 通信インフラは誰のもの?

競合他社が懸念しているのは、NTT東西が持つ光回線網でしょう。NTT東西はその前身は「電電公社」です。公社時代に税金によって整備されたネットワークやロケーション、さまざまな設備を保有しています。光ファイバー関連の設備ではNTT東西が75%以上の圧倒的なシェア。他社からすれば携帯電話の基地局などを設置する上でもNTT東西のネットワークに頼らざるを得ないのです。

KDDI・SOFTBANK・楽天・CATV各社の懸念
2023年12月4日に「KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、楽天モバイル株式会社、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟」が合同で出した資料から抜粋します。国民の負担で出来た資産が「NTTの占有」になる事で、競合他社が不利益を被る可能性を懸念しているのですね。

NTT法の見直しに関する意見表明
NTT法の見直しに関する意見表明
NTT法の見直しに関する意見表明

NTTの回答
NTTサイドとしては、受け継いだ資産でインフラを牛耳る形になってしまいます。競合他社の懸念を払拭させる必要がありますので、下記のように「公正競争の確保」を発表しています。卸売・接続ともに「全ての事業者に公平に提供」を明言。下記の資料がそれです。

その上で「公社から引き継いだ資産」については下記のような見解を示しておられます。個人的見解では「公社時代は国の資産」でも、民営化したら「ステークホルダーの資産」で辻褄は合うと思われます。

NTT法のあり方についての当社の考え

04. 第二段階:NTT法廃止に向けて

論点が散らかったので、この辺で再整理。

❶ 政府によるNTTの株式保有を3分の1以上にすること。
  
4月の改正には含まれていません。一部含まれるかな。
❷ 固定電話サービスを日本全国あまねく提供する義務。

   4月の改正には含まれていません。
電気通信技術に関する研究の情報を開示する義務。
   4月の改正NTT法案で改正済。

終盤です。ここさえ押さえればおそらく全体像がつかめます。残る論点は2つです。政治経済アカウントの皆さんが懸念するところと、競合他社さんが懸念するところを確認。


04-1.保有株式売却および経済安保

話が散らかるのは多分ここがメインです。

1.防衛財源的な要素
これが騒がれるきっかけに「防衛財源の捻出」の要素があります。

自民党は党防衛関係費の財源検討に関する特命委員会の下に「日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)」の在り方に関するプロジェクトチームを設置中です。チームの座長・甘利明前幹事長はテレビ番組で、政府が保有するNTT株について「20年とか(時間を)かけて売っていかなければならない」と述べました。島田社長は「株主も安心できる売却の仕方」と評価しており、政府がNTT株を売却する際は、長期にわたり時間をかけていく可能性があります。

MONEYIZM

これについては限定的な効果しかないという意見が多いようです。それはそうですよね。保有株はいつか売却が終わる訳で「恒久財源」にはなりえません。ただし、逆にNomura Research Instituteの下記の記事から勘案すると、毎年2,350億円賄えます。各年度で2割は捻出できる形にはなりえます。

Nomura Research Institute

2.株価変動は?
上記甘利前幹事長の発言に観られる通り、一気に売却ではなく、20年ほどの長期にわたって徐々に徐々に売却をしていく流れになりそうです。株価もこれなら(変動はするにしても)急落などのおそれは低減できるのではないかと思われます。まあ、ここは私も予測できないので、経済アナリストさんにお任せします。

3.外資参入規制について
おそらくここが「保守アカウント」の方々の論点として取り上げられやすい箇所かなと推察します。NTT法の第6条で、外国人が議決権を持つ株式の割合(外国人等議決権割合)が1/3以上にならないよう定められていましたが、法が廃止になると当然その縛りはなくなってしまいますから、不安に思われる方も多いでしょう。では、その対策議論を下記に続けます。

・黄金株案(拒否権付種類株式)
名古屋大学教授の林氏の資料にある「政府がNTTの株式を3分の1以上保有する義務は黄金株(拒否権付種類株式)を付与することで代替が可能ではないか」という案はこの懸念を払拭できるかもです。黄金株(拒否権付種類株式)とは、株主総会や取締役会の決議に対し拒否権を持つ株式で、下記の項目が拒否事項として定められています。

❶ 取締役の選任・解任
❷ 重要な資産の処分等
❸ 定款変更
❹ 合併・株式交換・株式移転
❺ 資本の額の減少
❻ 会社の解散

MONEYIZM

これ、池田信夫氏も仰っていましたね。

4.経営の外資乗っ取りは防げる
株主と経営陣を分けて考察しますと、経営陣の乗っ取りは防げると思われます。4月の改正で、外国人役員については「就任できない訳ではないけど、全体の3分の1未満まで。代表取締役以外の役職」です。全権を握る社長就任はなし、日本人役員の数は常に2/3以上でないといけないです。なんだか「放送法上の外資比率」に似てますね。

5.外国貿易法などでの規制
今は日本の通信業界よりも海外の技術や経営力が上回っているのは、なんとなく理解しておられる方も多いと思います。NTTの島田社長は「グローバルビジネスを考えれば当然、海外の人の知見が重要になる」と述べておられます。ガラケーのような「日本の国内のみで流通という形でも収益が見込める」という時代はもう終わっており、コンシューマーの需要もGAFAの方に流れる一方なので、何らかの「国際的な一手を打たねばならない」という側面と「外資参入を防ぎたい」という経済安保上のジレンマが生じるのです。島田社長はこの両側面をきちんと把握、言及されています。

C-NET JAPAN

これに対しては甘利前幹事長が一定の見解を出しておられます。2019年の外為法改正で、海外投資家が重要企業の株式取得をするときに(以前は持ち株比率10%での事前届出だったのが)閾値1%以上の取得での事前届出に厳格化されています。NTT法が廃止になってもこの外為法上の規制は有効です。

念のため申し上げますと、外資規制の在り方に対しては「NTT」と「KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの競合3社」で大きく異なります。NTT側の主張は「経済安全保障の観点からは、NTT法で当社だけを守っても無意味であり、外為法やその他の法令等で、主要電気通信事業者を対象とすることを検討すべき」というもの。これに対し競合3社は、NTTが公社から継承した特別な資産(前述)に、モバイルも含めた他の電気通信事業者も依存していることから、他の事業者の設備と同列に扱えるものではなく、NTT法による外資規制が有効との考えです。

んー、それって公平じゃ無くないかなぁと。


04-2. 競合各社の懸念は「ユニバーサルサービス」に集中

これは、競合各社は「公社時代の資産をこちらにも使わせろ」が大きいのではないでしょうかね。上述のとおり、卸にしても接続にしてもサービスに差異は付けないとはあるので、NTTサイドから一定の歩み寄りはある感じですが、強者の寡占・独占でもあるとは思います。

NTT法に関連して当社よりお伝えしたいことがあります。
「税金で整備した光ファイバー網を持つNTTの完全民営化は愚策」説の勘違い。保有資産は最終的には株主に帰属するのでこの主張はナンセンスな話です。
① KDDが電電公社から分離した際、電電公社の資産を引き継いでいますが、KDD法を廃止して完全民営化した際も、そのまま資産を保有して事業をやっています。また、ソフトバンクも元々の母体である日本テレコムが国鉄から分割された際、国鉄の通信資産を受け継いでいますが、そのまま事業をやっています。JRは民営化後でも線路はJRの保有のままです。

② そもそも光ファイバーはほぼ全て公社ではなく民営化後に敷設しています。

③ ドイツテレコム、フランステレコムなどが会社法を廃止する際に保有する資産を受け継いでいます。

X NTT広報室のポスト(複数ポストなのでまとめました)

ここは慎重に読み解いた方がいいかもしれません。

NTT民営化は1985年で、光ファイバーの工事は1981年から開始されたようですが、ネットの普及に伴い各家庭へのFTTH環境が普及するのは2000年以降。軸となるインフラは公社時代で、枝葉のように各家庭に末節を伸ばしていった(もちろん、本数も距離数もこちらが圧倒的に多いとは思います)のが光回線でのネット時代なのではないかなぁ。


06.IOWN構想

上記のすり合わせがまだ難航しているところではありますが、NTTも国も競合他社も目指すのは「日本の技術が復権する事」です。技術の公開義務がなくなり、海外の人脈での技術支援などを受けて、急速に業態を変えようとしているNTTが狙うのは、GAFAやシリコンバレーに負けっぱなしの日本を、このIOWNというプロジェクトで挽回する事。最後の章でみなさんに紹介するのは、NTTが2019年5月に発表した、光技術を元にICTインフラ基盤を構築する IOWN (Innovative Optical and Wireless Network)構想です。

なんのこっちゃな方が多いと思いますが、簡単に言うと従来の電子技術(エレクトロニクス)から光技術(フォトニクス)にシフトし、より「低遅延」「低消費電力」「大容量・高品質」のネットワークを実現しようというものです。すべてが超高速処理になるんです。

どんな未来が待っているのかピックアップ。

・超低消費電力と無線給電技術で、電子機器の使用時間を長延化。
・現在の移動通信システムがカバーしていない空・海・宇宙などを含むあらゆる場所への通信エリアの拡張により、未来的ユースケースへの応用が期待できます。
高速大容量化により、1秒間に1,000テラbpsの通信が可能となり、今の5Gをはるかに超える速度で大容量データのダウンロードが可能となります。
・リモート通信のネックとなっている遅延が大幅に解消されたら、今までイマイチだったリモート飲み会も大盛り上がり間違いなしかもしれません。
・全ての車の位置情報を管理・制御できれば、障害物情報や渋滞原因を特定し、事故や渋滞がなくなった世の中になるかもしれません。

IOWNってなあに?

おそらく2030年ごろには「生活が激変しているであろう」と思われます。ワクワクしますね。技術的にパートナーシップを組んでる企業はこちら。列挙すると大変なのでご確認ください。

ビジネス+ITよりパートナー企業一覧

07.私見的まとめ

・株式売却で防衛費を大きくカバーは出来ないが、一定のカバーは可能。
・メタル回線はほぼ役割終了。収益性的には延々と赤字。
・IP回線やワイヤレス固定になるのは時代的に仕方ない。
・ラストリゾートの責務は、NTT側も継続するようです。
・外資の経営乗っ取りは「代表になれない+役員1/3未満」で防衛済。
・株式も外資が大きく取得するのは防げる(黄金株・外為法)
・技術の公開義務は撤廃(おめでとうございます)
・公社からの資産引継ぎは全社ある。
・NTTの回線網は全取引業者平等なら問題なさそうだと思う。
・光ファイバー網も株主の所有って解釈で、私的には違和感ありません。
・GAFAやシリコンバレーと戦っていくにはNTTには頑張ってほしい。
・IOWNすげええええ。

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