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映画#33「敗れざる者」
「偉くもなれず、約束も守れず。俺は逃げたんだよ」
青島と交わした約束。「官僚も現場も関係なく一体となって捜査ができる組織」。ゴールデンゲートブリッジは封鎖できなかったが、あの時の約束は、室井の胸に焼き付いている。官僚の壁を破れず警察庁を退職した室井は、故郷の秋田へ戻り、犯罪孤児の里親をして暮らしている。高校2年生で16歳のタカと小学4年生で10歳のリクと暮らす室井は里親1年生だが、料理をしてやり、子ども達の意思を尊重して、タカとリクと向き合いながら生きている。
平和な毎日にさざ波をたてたのは、突如現れた謎の少女、杏。杏と一緒に住むこととなったが、その少女こそ、あの恐怖のシリアルキラー「日向真奈美(小泉今日子)」の娘だった。彼女が現れていらい、おかしな事件が立て続きに起こる。「室井慎次の家」の前にある池の対岸。異臭がすると付近の住民が騒いでいる。交番に届け出た室井は、掘り起こしを依頼。そこから出てきたのは、特殊詐欺と強盗事件の犯人、あのゴールデンゲートブリッジ封鎖事件の犯人の腐敗した遺体だった。室井の家のガレージが放火されて燃え落ちた。誰の仕業なのか。
リクの父親は、「強盗で捕まってムショに入っている」と周囲の者は言っているが、リクの腕に残る傷跡、背中のやけど痕、父親を恐れる様子等から、どうやら虐待を受けていたようだ。その父親が刑務所が出所する。刑務官から私物を渡された男は「その写真は息子さんか?」と聞かれ「はい、リクといいます」と応える。この男は何者?
様々な伏線を張り巡らせて、物語は後編「生き続ける者」へと続く。