夏季 チョボリンピック決勝戦 カバレージ

 2024年7月27日、イジンデン一周年を記念して開催された、最強ダイバー決定戦では上位4人全てが、徴募能力を持つカードを採用していた。その圧倒的な安定感と対応力で、他のデッキを蹂躙し続ける徴募デッキは、瞬く間に環境のトップメタへと駆け上がっていった。ここで筆者は一つのことに気づいた。そんな最強の徴募デッキを使うチョボリストの中で、最も強いものこそ、真の最強ダイバーなのではないだろうか?
 そこで企画されたのが、今回のチョボリンピックである。本大会は、BO1(スイスドロー形式、試合時間40分)で行われた。これだけ見ると制限時間が長いこと以外、普通の大会のように見えるが、参加者たちには「徴募能力を持つイジンを、8枚以上デッキに採用しなければいけない。」という鉄の掟が課されている。この条件下で徴募デッキを構築し、決勝戦まで進んだ二人のチョボリストを紹介しよう。

 まず一人目は、ヨシタカ。天の道(天草ループ)やグスタフテンポなど、これまでにないようなオリジナリティ溢れる強力なデッキを作ってきた彼が、持ち前の構築力を発揮し、決勝戦まで勝ち上がってきた。
 これに相対するは、ちょくはち。猛者が集う川越イジン会を取り仕切る、強豪プレーヤーである。3弾環境で徴募を使うのは初めてという彼だが、堅実に決勝まで駒を進めてきた。チョボリンピックの金メダルを獲得し、最強の名を手にするのはどちらか。「ダイブトゥイジンデン!」の掛け声と共に、戦いの火ぶたが切って落とされた。

 先行をとったのは、ちょくはち。≪怖れの種≫を配置し、≪鑑真≫を召喚。徴募における宇宙最強のスタートである。しかしこれに負けじとヨシタカも、≪BYマーブルオーブ≫を配置し、≪鑑真≫を召喚。互いの≪鑑真≫が、航海できる日を夢見て笑顔で見つめあっている。
 2ターン目、ちょくはちは≪鑑真≫で攻撃宣言。航海に失敗した彼は今日も墓地へと吸い込まれていくが、その命と引き換えに、ちょくはちに2枚の手札を残していった。その後増えた手札から、裏向きでマリョク配置し、≪高杉晋作≫を召喚。徴募能力によって≪鑑真≫を手札から追加し、ターンを返す。手札を強化しつつ後続も用意する、素晴らしい動きだ。

墓地に行ったちょくはちの鑑真を見て、自分の行く末を悟るヨシタカの鑑真


 続く返しのターン、ヨシタカも≪鑑真≫を爆破。今日一日で何度彼は爆発しただろう。無念である。そして増えた手札を使って、裏向きマリョクを追加し、≪メアリー1世≫を召喚。その効果により捲られたのは、2枚の≪円形闘技場≫、≪ピョートル大帝≫、≪高杉晋作≫、≪鑑真≫である。ここでヨシタカは1分以上の長考。徴募能力を持つイジン2枚は候補から外すとして、≪円形闘技場≫と≪鑑真≫の2択を悩んでいるのだろう。
 ≪円形闘技場≫はゲームを一瞬で終わらせることのできる強力なカードだ。しかし現状、ちょくはちの場にはマリョクが3つしかないため、次ターンでマリョクを引かれなければ、まだ起動することはできない。他方、≪鑑真≫は徴募のきっかけとなるカードで、放っておけば、さらなる徴募で一気にリソースの差を広げられてしまう。悩ましい選択だが、相手のマリョク採用枚数を計算し、次ターンでの≪円形闘技場≫起動の可能性は少ないと判断したヨシタカは、≪鑑真≫を選択した。さらに盤面を強化したいヨシタカは、裏向きマリョクになっていた≪ピョートル大帝≫をコストに、≪リドロー≫を発動。手札から≪BYマーブルオーブ≫を捨て、エンドフェイズに入る。徴募が達成されているため、≪ピョートル大帝≫の効果で≪鑑真≫が母地から復活。 次のターンでの徴募に備える。
 自分だけではなく、相手のトップやデッキ構成まで考えてのプレイング。まさにトッププレイヤーの成す業といえるだろう。ヨシタカの読み通り、次ターンの≪円形闘技場≫は無いのだろうか。ちょくはちのデッキトップに注目が集まる。

 3ターン目、ちょくはちがデッキトップから引き当てたのは≪オブシディアン≫!既存の徴募デッキには採用されてこなかった、ちょくはちの隠し玉である。これにはヨシタカも思わず「オブシディアン…!」と声が漏れてしまう。ちょくはちは、すかさず≪オブシディアン≫をマリョク配置し、二枚の≪円形闘技場≫をセット。≪鑑真≫爆発後、剣闘士となったガーディアン4体と、≪高杉晋作≫がヨシタカに襲い掛かる!!この襲撃によって、ヨシタカのガーディアン3枚と、≪鑑真≫、≪メアリー1世≫が破壊された。攻撃の手を緩めたくないちょくはちは、バトル終了後、追撃の≪ピョートル大帝≫を召喚し、その効果で≪鑑真≫をリアニメイト。≪高杉晋作≫の効果で、手札から≪高杉晋作≫を追加し、場のイジンを3体まで増やす。

 場が更地になってしまい苦しいヨシタカは、起死回生を狙い≪ヴィジェルブラン≫を召喚。ガーディアンを1枚増やす。そして復元によって増えたマリョクをコストに≪メロウ≫と≪ストーム≫を使用して、ちょくはちの≪ピョートル大帝≫と≪円形闘技場≫をどかし、次のターンに望みをかける。

 4ターン目、ちょくはちは、ガーディアン3枚と場のイジンで総攻撃を仕掛ける。ガーディアンから起死回生を狙いたいヨシタカだったが、捲れたガーディアンは≪曹操≫。ダイレクトアタックが決まり、ちょくはちが金メダルに輝いた!!

金メダルを獲得した ちょくはち選手のデッキ

 本大会のレギュレーションでは、徴募ミラーが多く発生することが想定されたため、①相手よりも早く盤面を整えて闘技場を決めること ②相手の徴募を邪魔すること の2点を意識してデッキを作ったというちょくはち選手。環境を読む力が卓越していたといえるであろう。改めて、優勝おめでとう!!

~あとがき~
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。川越イジン会が終わってラーメンを食べているときに、ふと思いついたイベントでしたが、大会一週間前には参加枠がすべて埋まるほどの好評で、とても嬉しかったです。徴募ミラーはデッキの理解度とプレイングが大きなウエイトを占めると思っていて、一番カードゲームしている感があって大好きです。
 しふくさんが作ってくださった動画のリンクをあげておくので、みんな見てね。カバレージよりわかりやすいよ。


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