義妹の話

子どもの頃の話を書いた時に、忘れていた悪事を思い出したと書いた私の悪事はまだまだある。ほんとに罪深い人間である。次の悪事を告白する。読んでくれる人が減るかもしれない…

22歳で結婚した私は今思えば世間知らずで人の気持ちも考えられない自己中な人間だった。
結婚して旦那の親と同居する。その次の年？いや結婚した年だったかもしれない。義妹が家に戻ってきた。関東方面で友人とアパートをシェアしていたが友人が引っ越す事になり家賃を払いきれないので戻ってきた。
細身の体に長いストレートの黒髪にちょっと丸顔で可愛らしい女の子。
でもなぜか好きになれなかった。今思えはそこが私の間違いだった。そこに気付けば今こんなに後悔の気持ちにはならなかったと思う。
小姑は嫌い。一般的にそうなのだろう。女同士は上手くいかないものなのだろう。
義妹は事務や巫女のアルバイトをしていた。可愛らしいから巫女姿はほんとに可愛らしかった。歯科助手の免許を取得して歯医者に勤め始めた。彼氏とよく出かけて帰りも遅かったので寝坊する。子どもが産まれて育休中の私は義妹が寝坊しているのを知りながら起こさず知らんぷりしていた。案の定義妹は遅刻する。「なんで起こしてくれなかったの？」1度も言われた事はなかった。今思い出すとまた胸が押しつぶされそうになる。私、なんて悪いやつ。
義妹が結婚して地元の歯医者に勤めると同僚にいじめを受けうつ病を発症する。なかなかうつ病が治らず実家に子ども２人連れて戻って来る。また私は嫌な気持ちになる。私は2人目の育休のタイミングだった。子ども達みんなで散らかしたのに「私の子どもは悪くないよね！？」って言ったり、私の娘が新しいパンツ買ったと言った時に(下着のパンツだよ？）「お兄ちゃんひとりで働いているのによく贅沢できるよね！」って言ったくせに勝手に我が家の飲み物を黙って飲んでいるし。私はマジでムカついていて、でも旦那や義姉は「病気だから仕方ない」って言う。血の繋がった兄妹なら許せるのか。私はほんとに嫌だった。だから義妹が大嫌いだった。
義妹は変な事を言うようになった。「子どもの同級生の親が自分の旦那と不倫している。私と旦那しか知らない事をあの女は知っていた」と言ったり「あの車の整備会社に騙されたようだ」とか。
そして義妹に相談事をされた時に助言したばかりに「○○がこう言ったから」と私のせいにされた事もある。
義妹はパチンコにハマり子どもの参観日もサボって来ないばかりか夜になっても家に戻らず私達家族は夜探し回る事になった。うつ病の人は自殺する事もあるのでとても心配した。義妹の子ども達は可哀想だった。
義妹はますますエスカレートしていき自分の子どもが学校でいじめられているんじゃないかと心配したり警察呼んだり救急車呼んだり、「今ヤクザの霊と話している」と言い出したり、聞いた話だが私の息子の背中に包丁を突き付けた事もある。うつ病から統合失調症になった。
もう病院に入院させるしかなく、その病院でもライターで自分の服に火をつけた事があり、義妹には知らせてなかったが彼女の母親が亡くなった時だった。
入院したまま内臓の疾患で私が離婚した次の年に亡くなった。亡くなるすぐ前に義妹から留守電が入っていて「息子が借りていたタオルがある」って内容だった。

義妹がうつ病で実家に戻って私に嫌味な事ばかり言ってきたので自分が被害を受けているとばかり思ってずっと義妹を嫌っていた。でも最初に嫌ったのは私だった。子どもの頃を思い出し人生のいろんな事を思い出した時にこの事も初めて気が付き私はどんだけ悪事を働いてきたんだと驚愕した。
自分が子どもの時いじめられた。その経験があるのに義妹に同じ事をしてしまった。あの時にそれに気が付いて優しくしてあげられたら。義妹は私に何の敵意も見せなかった。仲良くできていたら少しは義妹の人生が楽しく穏やかに過ごせる時間ができたかもしれなかった。
もう生きていないから何もしてあげられない。

還暦、人生一巡して今までの人生を振り返り後悔と懺悔する日々…