note時がちょっと離れた地層【詩紹介】


 Ayako Shimadaさん。お茶のお稽古事をなさっていての詩。


 たぬきと龍

頭に言葉が浮かばない
体がすーっとしている
気持ちいい
鳥が鳴いた

今日の湯は熱かった
もうもうとあがる煙
赤く燃える炭が分福茶釜の隙間から見える
釜の両端にはしゃーと怖い顔をした龍
だけど形はたぬきの腹のようで
可笑しいんだか怖いんだか
ぼーっとゆっくり湯をすくっていたら
手を火傷しそうになった

背丈の高いがっしりとした男の方のお手前を拝見した
しなやかで品のあるお手前だった

茶室には四角が多いなとふと想う
畳、襖、床の間、掛け軸
四角の中に点々と丸が存在する
四角の中の丸が
龍とたぬきみたいでなんだか楽しい

ひょうたんはいつもふらふらしておれど
腹の真ん中きゅっと締める
といった感じのお軸がかかっていた

たぬきと龍
両方がいる自分だと
なんかいいなと
思ったりした

さーて
日曜!


 くたくたた

くたくただ
なんでこんなにくたくたなのだろう

くたくた
くたくた
くたくた

なんだかおかしくなってきた
ふふふ

食った食った
くたくたのほうれん草を食った食った

ごまとかつおぶしと醤油をちょっとたらして
くったくった

なんだか楽しくなってきた

頭の中にしかない言葉を文字にした途端
言葉がもつ音や別の意味、見た目
いろんな情報がとっとっとっと増えて

感情や想いが少し離れていく

今日は半月

マスクをずらして歩く
中華の匂いがした

ことしはもっと色んな香りをかぎたい
赤実の皮を剥いたらした土のような植物の濃い匂い 
いい香りだったなぁ
あんな風に香りをたくさん感じたい

とんとんとん
たんたんたん
くたくたくた
らったった

あるくよあるく
らったった
つまさき、つつつ
らったった

角野栄子さんがここにいる
そしたら文字が踊ってる
たったったのらったった

また、あしたったった



(*'▽')。