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米国の教訓から学ぶPBR1倍問題

みなさんこんにちは。

今回は、PBR1倍割れ銘柄が今年3月末時点では649社と4割弱まで減ったものの、以前として多い日本が学ぶべきアメリカの歴史についてお話しします。

「PBR(Price-to-Book Ratio)」とは、株価純資産倍率を意味し、株価を1株当たり純資産(BPS)で割った指標です。PBRが1倍を下回る企業は、理論的にはその企業が持つ純資産以下の評価を市場から受けていることを示しており、市場がその企業の将来性や収益性に懐疑的であることを反映しています。

この「PBR1倍問題」は日本だけでなく、かつて米国でも話題になったことがあります。米国の事例から得られる教訓として、企業や投資家が取り組むべきポイントを以下に詳しく説明します。

1.米国の過去のPBR低迷企業の特徴

今から43年ほど前の1982年当時。
米国でも60%を超えるほどの企業がPBR1倍を下回る時代がありました。

これらの企業の共通点は次の通りです
• 業績の低迷や安定した利益の欠如
• 時代遅れのビジネスモデルや競争力の喪失
• 過剰な負債や資本効率の悪化
• 経営陣への信頼性の欠如や株主還元策の不十分さ

これに対し、米国では投資家や経営陣が積極的に行動を起こしたことで改善が進みました。

2.米国の対策と教訓

(1) 資本効率の向上(ROEの改善)
• 米国ではPBR1倍以下の企業が資本効率(ROE)改善のために、非効率な資産の売却や自社株買い、配当の増加を進めました。これにより、株主価値を高める努力が評価されました。
• 具体例:過剰な現金や不動産を抱える企業がこれらを売却し、株主還元に充てたことで株価が上昇。

(2) コーポレートガバナンスの強化
• 外部取締役の積極的な登用や経営陣への報酬体系の見直しを行い、株主の利益を重視する体制を構築しました。
• 企業の透明性を高め、長期的な成長戦略を明確化することで、投資家の信頼を回復しました。

(3) ビジネスモデルの改革
• 時代遅れの事業モデルを再構築し、新しい成長分野への投資を進めるケースが多く見られました。
• 例えば、デジタル化の遅れが指摘された企業がITインフラやDX(デジタルトランスフォーメーション)に注力することで、評価を回復させた事例があります。

(4) アクティビスト(物言う株主)の影響
• 米国ではアクティビスト投資家(ヘッジファンドなど)が経営陣に圧力をかけ、資本構造の見直しや事業再編を要求することが一般的です。このような外圧が企業改革を加速させました。

ここまでお読みいただき、お気付きになりましたか?

そうです。このところ日本企業が経済紙を賑わせているニュースの内容そのものを、過去の米国でも行ってきていたのです。

以下に日本と比較していきます。

3.日本のPBR1倍問題との比較

日本ではPBR1倍以下の企業が多く存在し、東証も2023年にこれに対処するための「PBR1倍割れ解消」を目指す改革を進めています。以下は、日本と米国の違いと、それに基づく教訓です:

(1) 株主還元策の強化
• 日本では配当や自社株買いが米国に比べて消極的な企業が多い傾向があります。米国の事例を参考に、株主還元の強化が必要です。

(2) ガバナンス改革の加速
• 日本企業のガバナンス改革は進んでいるものの、米国に比べると株主重視の姿勢が遅れています。米国のようにアクティビストの介入を受け入れる文化がないため、企業自らが能動的に改革を進める必要があります。
ただ、最近では肯定的に捉える企業も増えてきました。

(3) 資本効率の改善
• 米国企業が強調したROEの改善を、日本企業も重点的に取り組む必要があります。過剰な内部留保の削減や、成長戦略への積極的な投資が鍵となります。

4.日本企業が学ぶべきポイント

米国の事例を参考に、日本企業がPBR1倍問題を解消するためには以下が重要です:
1. 株主価値の重視:資本効率や株主還元に焦点を当てる。
2. 透明性の向上:情報開示を徹底し、投資家に信頼される経営を目指す。
3. 成長分野へのシフト:停滞するビジネスモデルからの脱却。
4. 外部からのプレッシャーを活用:アクティビストや市場の声を改革の推進力にする。

まとめとして

米国の教訓からわかるのは、企業が能動的に改革を進め、株主価値を高める努力を怠らないことがPBR1倍問題解消の鍵であるという点です。日本の企業がこれらの教訓をいかに活かせるかが、今後の課題と言えるでしょう。

また、株式投資を行う上でこのことを理解しているのか、していないのかでは
結果が大きく異なったものになると思います。
是非、米国の株式市場の歴史や教訓を学び理解し、投資成果につなげていただきたいと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

感謝します。

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