クラスで一番かわいいあの子
学校ってば最悪だ。県民の日と創立記念日で私は4日連続で休みだった。改めて冷静な視点で通う高校は最悪だ。小説を書き進めてたけどやる気が潰えたから今こうして学校のタブレットで書いている。
クラスにウォニョンがいる。もちろんこの場合はウォニョンでもなくウォニョン似の女の子でもなくウォニョンくらいかわいい女の子のことなのだが、そのクラスのウォニョンはイメチェンしてきた。というか、前髪切っただけなんだけど。
まゆげと同じくらいの前髪…つまりは前髪がめちゃくちゃ短いのに、ウォニョンは死ぬほど似合っていた。私だったらどうなるか想像もしたくない。
ウォニョンと接したことがなかったとき、私はウォニョンを心底嫌っていた。美人への僻み。それもあるだろうが、それよりもウォニョンを囲む男子の態度に辟易していた。クラスの男子は常にウォニョンに話しかけ、ことあるごとに自販機でジュースを奢ろうとする。ウォニョンに対しては鼻の下を伸ばす癖に私たちに対しては腫れもの扱いするような、ルッキズムを促進する男子達が憎くて仕方がなかった。
現に、今も私は38人もいるクラスの中、ウォニョンだけを特筆して書いている。これは私の嫌う男子達の行動と同じに他ならない、が、私は彼女が容姿端麗だから書いているわけではない。彼女が美人性悪だったら他の愚痴note既に書いていることだろう。と言い訳をしておく。
例のクラス会(クラス会と言いながら地獄みたいなメンツで除け者にされたゴミ会)にウォニョンも来ていた。女の子グループ+男の子グループ+ウォニョン+私 のメンツだった。ウォニョンの友達はきてなかったけどウォニョンはクラスのみんなから好かれていたからひとりぼっちではなかった。反対に私はみんなから嫌われていたからずっとひとりぼっちだった。
ウォニョンがウォニョンたることを私はこの会で痛いほど知ることになった。
クラス会に行くまでは私はウォニョンと話したことがなかった。一回モバイルバッテリーを貸しただけの関係だった。クラス会で私はドリンクサーバーで野菜ジュースを頼んだ。味が好きだから。そしたらウォニョンに「え、野菜ジュースなんか飲むの!?」って話しかけられた。書き方が悪いだけで嫌味なんかなかった。無理して私に話題を振ってるげでもなかった。普通に彼女は話しかけてきた。「味が好きなんだよね」とか他愛のないこと話した。彼女は凄いと思った。
その次には「らいくちゃん、ちゃんと食べてる?」って聞いてくれた。私があんまり食べずにスマホばっか見てたからだろう。周りを見てて気が使える彼女は本当に凄いなと思った。それも気を使ってるような素振りも見せずに。
緊張してあんまり食べれないやみたいな事話した。彼女は恐ろしいほどに優しかった。
美人に生まれたならその顔面を乗りこなす必要があるとTwitterで見た。彼女ほどの容姿なら引く手数多だろう。現にクラスの男子からは奢ってやる奢ってやると皆から言われている。でもきっと彼女はこれからもあの顔面を乗りこなしていけるんだろう。そう思った。彼女は顔面に振り回される事なく、まっすぐ生きていけるんだろう。ヤンキーの彼女にもならず、人生に病んだりもせず。
クラスで…いや、学年で一番可愛い彼女は性格も良くて愚痴を聞いたことがない。クラスで2、3番目にかわいい女の子は性格が終わっているのだが、彼女は恐ろしいほどに性格がいい。クラス会で少し仲良くなったからか最近は数学で頼られるようになってきた。素直に嬉しい。
これからも彼女はずっと優しいままでいてほしいな、と純粋に思う。