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見知らぬ土地で心通わす バスの旅(ベトナム)
2015.09.19(Sat) 3日目前半 サフンからプレイクへ
海辺を歩く
翌朝、本当は朝日を見るつもりだったのに、6時に起きても周りはすっかり明るくなっていた。
眠い目をこすりながらビーチに行くと、沖から太陽が上がり、ちらほらと散歩している人たちの、それぞれの影を長くしていた。
ベトナムでは、朝の涼しい時間を海で楽しむのが習慣らしい。
カメラを持ちながら歩いていると、すれ違う上裸のおじさんから、
「いいカメラだな。息子たちも撮ってやってくれ」と言われた。
僕の腕がないから弟くんが目を瞑ってしまったけれど、お兄ちゃんがなかなか良い顔をしているので採用。
はにかみながらも堂々としている。
光を横から差して、朝日は目に映る限りにエネルギーを与えていっているよう。
後ろに映るだらしない背中のお父さんさえ、なんとなく様になる。
なんでもないような一瞬だけど、そんな中に自分が求めているものがあることに気づく。
空気、光、風、音、呼吸、全てが心地よく感じる不思議な瞬間。
満たされる、というのは、じわじわとくるものではなくて、その中にいる自分に“気づく”一瞬の出来事なのかもしれない。
心に残る、素敵なバスの旅
しばらく散歩してから、荷物を詰めて、出発の7:30に余裕をもってロビーに降りていった。
すると、オーナーがちょうどバイクに跨ってどこかに出発するところだった。(ちなみにオーナー以外英語が通じない)
おいおい、どこいくつもり?と声をかける。
オーナーは、あっ!と思い出した顔をしながら「大丈夫、大丈夫」と言って、バイトらしき男の子にちょちょっと指示を出し、「こいつに任せたから問題無い」と言い残してバイクで走り去っていった。
時間通りに降りていったらどうなっていたことか・・・。
そしてどうやらこれからバスを捕まえるらしい。
バイト君と一緒に国道に出ると、道の脇に座った。
バイト君は道を行く車やバスを見ながら、何をするでもない。
しかし、1台のバスが通りかかるとサッと手を挙げてバスを止めた。
バスに行き先が表示してあるわけではない。
停車したバスからアテンドが降りてきて、バイト君と話をしている。
するとアテンドの青年が「プレイク、プレイク」と笑顔で声を掛けてきた。目的地は認識してくれたようで安心した。
バイト君に別れを言ってバスに乗り込んだ。
車中はベトナム人ばかりが座席の半分くらいに座っていて、突然乗り込んできた外国人に驚いてちらちらと見てくる。
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この後、バスで出会った青年が、見知らぬ土地の単純なバス移動を、心に残る旅に変えてくれました。
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