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w/Jo(3)

あれから半年。待てども待てども……

"連絡が来ない!!!!"

なんでだ、なんでなんだ。

「悪の教典」を薦めたのが地雷だった?あんなシリアルキラーのサイコパスが出てきちゃう映画を推すなんて、変な女だと思われたのだろう。

まぁいい、いくら半年連絡がつかなかったからって、私は、私は…

そんな簡単に好きを諦められる奴じゃないんだ。実にめんどくさい女なんだ。

「恋なんて興味なくて」とか、「彼氏なんていらない」みたいに見られがちだけど、割と1番恋愛に執着してしまうタチなのかもしれないな、なんて思っている。

いや、そもそも「連絡を待つ」こと自体が「諦めろ」と言っているようなもんなのだろうか?諦める…一体何を?ジョウはもう、私のことなんか忘れてるかもしれない。でも、私は彼に会いたい、どうしても会いたい。

…よし、なんか理由つけて会いに行っちゃおう。

この時は完全に頭ぶっ飛んでて、片思いに執着して執着を重ね続けていた時期だったこともあって(そんな時期ねぇよ)、またしても私は即飛行機を予約してしまっていた。

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迎えた秋。かれこれ、もうジョウと出会って1年が経っている。

これは、私が彼を好きになって1年が経とうとしていることも意味する。

勢いとノリだけでここまで来たけど、果たして彼はどんな顔をして私に会うだろう。私は、どんな顔をして彼に会えばいいだろう…?

そうこうしているうちにジョウが来た。そこには変わらない、あの、大好きな笑顔があった。

予約してくれていたお寿司屋さんに行って、ご飯を食べた。彼とご飯を食べているという事実だけでもう何を食べても美味しいけれど、本当に本当に、美味しいお寿司だった。

この日のために買ったピアスが目に入ったらしい。猫がモチーフの、それでいて繊細な可愛らしいピアスだ。男はピアスの開いた女は嫌いだとかなんとか、なにかのサイトで読んだことがあったけど、幸い彼は「それ綺麗」と言ってくれた。好きな男の言う「綺麗」のなんて特別なことか。世界が、キラキラして見えた。

バイトの話、インターンの話。大学の同期とは少し話しづらい話題でも、ジョウとなら難なく話せた。彼のことが好きだからかな、きっとそうだ。

「次に繋げないと、次に繋げないと…」次第に、そんな思いが湧き上がってきた。彼と寿司を食べるのもいいけど、やっぱりそれじゃ物足りない。約束すれば必ず会える、「会えること」が確約される関係性が欲しい

何かを言い渋っているのを察したのか、「俺、クリスマス空いてるんだけど…」と切り出してきた。

???

頭の中にクエスチョンマークが押し寄せてくる。え、なんで今クリスマス…?

「東京行っていい?デートしよう」

「好き」でも、「付き合ってほしい」でもなく、「デートしよう」。一瞬、ドッキリカメラでも仕込まれているのかと思った。そのくらい、嬉しいと同時に隠しきれないほどの驚きを感じたから。

「うん、しよう!!」

迷いなく答えた私。

クリスマスに向け、未来は明るい、私はそう信じてやまなかった。

#あの恋 #終わった恋の忘れ方

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