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A デエビゴ in the life

適応障害を発症してから、睡眠薬のデエビゴを処方している。元々のび太くらいよく寝れる方なので、ほとんど回復してる今はあまり使わないのだが、眠る前に考え事がたくさん浮かんでしまうようなときはのんで考えが浮かばないうちに眠るようにしている。

デエビゴには、5%の低確率で悪夢を見てしまうというレアイベントが存在する。まぁ基本的に夢を見ずに眠れるようになっているのだが、なんか不安とか強烈に印象に残ったことが重なると見てしまうのだ。

一時期、Adult Swimというアメリカのカートゥーンネットワークにおける深夜帯(子供に見せられないエログロアニメや日本のアニメが流される)のIDやBumps(番組間で流されるCMのようなもの)にハマっていたことがあった。(そもそも子供に見せられない時間帯を大人プールって呼ぶのもかっこよすぎる。)

一番好きなBump
夜明けがお前の敵ってもう惚れちゃうよ

その中には、サイケデリック要素を含むものもあって、それを大量に視聴した上でデエビゴをのんで寝たときはちゃんとサイケな夢をみた。虹色のうねうねした猫が現れたので、こういうのがトリップなん だと本気で思った。

多分これの影響

12月のある日、その夜も考えが止められない気がしたので、デエビゴのんで寝ることにした。ただ、それでもうまく眠れずに悶々と横になっていた。
そうすると、ベランダから子供の声が聞こえてきた。(自分のベランダはすぐ下に公園があり、午前は保育園の遊び場になっている。)その公園で突然お遊戯会が始まったのだ。子供のやっていることだし注意できないので、終わるのを待っていると、近所から大人たちが「うるさい!」「やめろー!」と怒号が聞こえてきた。子供たちは臆することなくお遊戯会を続け声を大きくしていく。それに呼応するよう怒号もどんどん大きくなる。どんどん怖くなってきて布団を頭にかぶせ、この恐怖のお遊戯会が終わるのを祈っていた。
急に静かになったので周りを見渡すと、自分が現実に戻っていたことに気づく。お遊戯会も怒号も幻聴らしかった。このとき、部屋の空気感がやけに冷たかったのがよく覚えている。この冷たさが現実を現実たらしめているのかと思い、現実に安心しきった自分はすぐに眠りに落ちた。今度は夢もみなかった。

このときの一連の幻聴は、ビートルズの「A day in the life」のオーケストラ部分に似ていたと思う。オーケストラに一番低い音から一番高い音を出すよう指示して作られた終末みたいなパート。最終的にピアノがジャーンと響いて、残響のうねりが残る。(実際はその後犬にしか聞こえない高周波が続いた後に、隠しトラックが流れる。あの隠しトラック怖すぎる。中学の夜に初めて聞いてしまって、ほんとに心霊現象かと思った。)
子供の歌声と大人の怒号が徐々に大きくなって破裂したかと思えば、静寂と冷たさだけが残ったとき、ああこれが日常と非日常の間なんだと「A day in the life」を思い出していた。

「A day in the life」とデエビゴでもう一つ思うことがある。
デエビゴの効能は覚醒の抑制にあり、つまり眠らせるというより起きていることを止めるよう働くとされている。だから、起きている意識が強かったりするとあまり効かないこともあるし、飲んだあと何時間か耐えたことも何度かあった。
この起きていることをやめさせようとする感じが、「A day in the life」のポールパート終わりの「アー」のとこにそっくりな気がする。あれは歌詞の終わりに「夢の中に入る」と言っているので、まさしく夢に入るまでのまどろみがテーマにあるとは思うのだが、あのコーラスとオーケストラのうねりがまさに入眠にいたるまでの過程に似ている。
今にも意識を飛ばされそうな「アー」と、その意識を吹き飛ばそうとしてくるオーケストラの強い響き、この響きがデエビゴの作用だと思えてしまう。

今回の話は、デエビゴとビートルズ知らない人にはなんだかよく分からない内容になってしまった。でもでも、デエビゴのんでビートルズ聴けば一発で理解すると思うので、デエビゴのんでない人はのんでほしいし、ビートルズ聴いてない人はぜひサージェントペパーズを聴いてほしい。
そんな話。

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