千葉和彦選手の事例に学ぶドーピングあれこれ:完全版
先日、千葉和彦さんのドーピング違反の処分が不安すぎる件についてという形で記事を書いたのですが、本件の千葉選手側代理人を担当された弁護士の先生が御自ら解説記事を書いてくださっています。
http://mczkk.jugem.jp/?eid=276
本件の顛末を詳らかにしたうえで、譴責処分とは千葉選手には落ち度がなかったということであり、千葉選手の名誉を回復するために執筆してくださったとのことです。
千葉選手のキャリアを守ってくださり、さらには丁寧かつ詳細に解説を加えてくださったことに最大限の敬意を表し、感謝を申し上げます。本当に良い方に担当していただけました…
正確を期すという性格上、記事は分量があり内容もなかなか専門的なのですが、いくつか要点をつまみだすと
・言いたいのは千葉選手はやるべきことをしっかりやっていたので、非難される謂れはどこにもないということ。以下はその理由です。
・見つかった禁止物質は一時的な興奮作用をもたらすものでサッカーの競技力向上とは関係のない物質で、さらにはうっかり摂取の多いものであるので、無実だという方向でいった
・チームから推奨されたサプリメントしか服用していなかったし、製造元に安全性を確認していたこと、そのメーカーは政府機関への納入権利を持つ米国最大のメーカーで信頼性も高かったこと、これまでのドーピング検査では検出されてこなかったことから、初めは混入経路から除外していた
・本来はシャワーの前にすべき検査をシャワー後に行っており、さらにはカップ内部に手が触れてしまっていたりと、ドーピング検査のやりかたが正確ではなかったため、シャワー後のボディローションの成分が混入したか、プライベートで用いているボディローションの成分が皮膚から入り込み尿に混入したかしたんじゃないかと主張した
・検査の結果ボディローションの成分には禁止物質はないと分かり、他に疑わしいものがほぼなかったので、念のためにチーム推奨のサプリメントも再検査してもらったところ、そちらから見つかった。
・原因がサプリメントの汚染と分かったため規程上どうしても結果責任(禁止物質が検出されたこと)は出てくるので全くの無実である「過誤又は過失がない」状態ではないため処分は下りたが、最も軽い処分である「譴責処分」となったのはその「過誤又は過失」の程度が重大ではなく、千葉選手に落ち度はなかったということ
・今回のようなケースは非常にまれで、ドーピング禁止物質はどこにいるかわからない。チームと選手の対策は大変だし、まじめに対策していても、競技に関係ない禁止物質だとしても制度だからと杓子定規に処分なんてならないように制度を見直してほしいよね
という感じでしょうか。
ドーピング検査自体が正確でなかったという事実は非常に衝撃的で、その時点で検査結果を取り消すべきなのではと思うのですが、どうもそれだけでは禁止物質が入っていたことが言い訳できないので、それとこれとは別だということのようです。
その代わりに、そのせいで尿に入ってたんじゃなくて別のところから入っちゃったんじゃないかという主張がなされたわけです。結果それはシロだったのですが
ともあれ偶然というか、念のための検査でみつからなければどうなっていたか…隅々まで調べていただき、可能性を探してくださってありがたいの一言に尽きます…よかった…