見出し画像

【ヤン・ヨンソン監督は熟成させれば強い】清水エスパルスvsセレッソ大阪から

pickles





どうも。J１再開しましたね。ヤン監督の清水エスパルスはセレッソ大阪に3-0という完勝で最高のスタートを切りました。上位よりも下位が気になる前半戦になっていましたが、中断期間を経ていくつかの改善がみられて、美しい機能性を見せるシーンが非常に多くありました。というわけで備忘録として残しておきます。ヤン監督は熟成させるとつよい。。。








改善点①：ボランチの前後関係向上による攻守連携改善


まず大きなポイントだったのは、これまで一貫して竹内・河井のコンビだったボランチに２列目を本職として来た白崎が起用されたこと。前半戦でもカップ戦では起用されており、前半戦でも終盤の交代カードとしてであったり、先週の天皇杯でも起用されましたが、リーグでのスターターとしては記憶する限りははじめて。

竹内、河井は共にボール奪取に献身的であったのですが、二人ともボールに食いついてしまうことでゾーン守備に穴を作ってしまっていたり、攻撃のチャンスで前線へ効果的なパスをだせなかったりしたことでチームが苦しくなっていました。

今節ではより前線でのプレイに持ち味のある白崎が河井との縦関係を明確にすることで、守備においてはボールに強く当たる河井に対して少しタイミングのずれたプレスバックでカバーリング役となり、攻撃ではサイドチェンジ、縦パスを鋭く通しチームの攻守のリズムをつくりあげました。2点目のシーンは白崎のサイドチェンジと河井のバックパスの逃げ場となるプレイによって生まれた隙を、河井→白崎→デュークのダイレクトプレーで突いた、まさにこの両ボランチの縦関係の妙によって生まれたファインゴールでした。









改善点②：アンカーシステムによるバイタルエリアの封鎖と中央の数的優位　


前半戦の清水エスパルスの大きな課題のひとつであったのは、2トップと2シャドーの体力のみに守備の成功率が頼りきりであったという部分。いわゆる、気持ちのプレス以外にうまくボールを奪えず、時間と共に押し込まれ、押し込まれると共にゴール前にスペースが生まれてしまっていました。今節も、前半途中から2トップを1トップ＋トップ下に切り替えたセレッソが、最前線の杉本を偽９番的に振る舞わせることによって、決定的なミドルシュートを何度も打たれてしまっています。　

以前であればそのまま９０分を過ごすことになっていたと思いますが、ここでヤンヨンソン監督はデューク→石毛によって河井をアンカー、北川を右サイドに置く4-1-4-1に変更。交代直後、白崎の攻撃参加によって試合の流れを変える３点目に結びつけました






さらにクリスラン→兵働の交代によって、バイタルエリアの封鎖は決定的に。杉本へのクロス、ないしそのこぼれ球にしっかりと寄せることで攻撃の有望なルートを確実に削り取り、また、攻撃面でも、中盤の数的優位と河井・白崎コンビの前線進出を生み出すことで効果的なカウンターに結びつけました。

北川に代わって試合をクローズする役目となった長谷川悠も、インサイドハーフの河井、白崎と連携した守備でセレッソの攻撃を幾度も手詰まりに追いやり、カウンター局面ではサイドに開いて起点となり、いくつかの決定機に繋げました。自らのシュートもポストを叩くなど完璧に機能。

前半戦も匂わされた4-1-4-1のシステム、J1リーグではアンカーとインサイドハーフの動きの質がネックとなりなかなか実践的でないイメージがあったのですが、それを払拭する目覚ましい連動性でした。特に夏場は4人で横幅をカバーするのは大変な時間も増えてくるでしょうし、エスパルスには前線で活躍しそうな中盤の選手が多く、献身的なワントップの目処もたっているので(長谷川悠がとてもよかったですし、鄭大世やドウグラスも可能性はありそうです)、このシステムは大きなオプションとなり得そうです。





前半戦試合に絡めなかったメンバーによるチーム力の向上


特筆すべきなのはこれらのチームの改善が、前半戦にほとんど出場機会を得ることのできなかったメンバー(白崎・兵働・長谷川悠)によってもたらされたということです。チームの競争力が上がっているという証左ですし、この先も健全で効果的な競争が行われるであろうということを期待させてくれます。

どのチームよりも厳しい連戦を控えているセレッソがコンディションのピークを持ってきていなかったのではないかという留保はもちろんありえますし、そうであるとすればクロスで被決定機作りすぎでは...という懸念もあるのですが、それ以上にこの先もっとよくなっていきそうだという先行きのもてる内容でした。ヤンヨンソン監督が昨季土壇場でフェリペシウバや稲垣祥を”復活”させたことに近い気持ちよさのある試合でしたね。やりたいことはあの頃と似ていますし、自分の見たかったものとも一致しているので本当に嬉しかったです。楽しみ。


それでは。