見出し画像

優れた料理は芸術であり、すべての芸術は忍耐である【J1第31節 湘南ベルマーレvs.清水エスパルスの観戦記録】



#金J だよ!全員集合!という訳で平塚まで参ったでござるという話です。

縁あって推し(ミハエル・ミキッチ選手、ヤン・ヨンソン監督)の所属している2チームの直接対決ということで金曜日ですが休みとっちゃったよね。念願のタイトルで確固とした"スタイル"に貫禄の加わった湘南と、数年の雌伏を経て"スタイル"が確立しつつあり登り調子の清水の対決ということでめちゃくちゃ楽しみにしていました。



平日ということでいつもの静まり返ったBMWスタジアムへの道中とは異なり工場がブイブイ稼働していたのがエキサイティング。平日休みの背徳感もあってゾクゾクします。



開門時間到着目安で来たらコレという。平日ナイトゲームとはなんだったのか。やはりルヴァンカップ優勝後初のホームゲームであり、残留争いの瀬戸際ということで駆け付けたのでしょう、制服姿の学生やサラリーマンも少なくなかったのが印象的でした。すぐ駆け付けられるスタジアム良いですね。



ちょうど日没ごろであったので、なんとかジェニックな光景がそこここで見られ綺麗でした。UFOとか来てもおかしくはなかった。



清水からも新幹線でしょうか、多くのサポーターが駆けつけてグルメも盛況。けっこうしんどかった…w



なんとか確保した定番の地ビール、サンクトガーレンの香り高いエール。



ビールで調子に乗ったらめっちゃ寒かったのでバックスタンドのおばちゃんにホットレモネード淹れてもらいました。本格的なグルメだけでなく地域の方の善意で成り立っているようなお店も良いですね…寒い季節には特に沁みます。



ミハエル・ミキッチさん無念のベンチ外のため清水側へ。湘南の若い選手たちの躍動をみると致し方ないですし、そういう成長のベクトルの強いチームの一員で良かったというところですが、やはり淋しいですね…現地メディアのインタビューによると現役続行の意志はある(天皇杯取りたい)らしいので、まだまだピッチで見られるとは信じています笑



席はぎゅうぎゅうでしたが、それゆえに両チームの声援が混在していて楽しかった。ミックス席も良いですね。どっちも主審に文句出てたのは笑ってしまったw




さて試合のはなし。



湘南は中2日で3戦目という前代未聞の日程のため大きくメンバーを入れ替えています。清水は負傷明けのドウグラスと河井さんが復帰してベストメンバーと言える状態。

しかし、試合の蓋を開けてみると中2日のように体が重たかったのは清水。序盤からドウグラスにロングボールを当てる展開はおそらく先行策をとるであろう湘南への牽制…とたぶん前回対戦でクリスランに当てただけでPK2つとって半壊させた経験だとかドウグラスへの絶対的な信頼だとか…というものがあったかもしれませんが、5-2-3で構える湘南はドウグラスにはツーマンセル、こぼれ球を拾う予定の両ボランチへもシャドウとボランチの猛烈な挟み込みを仕掛け、これは完璧に準備されてたなという手ひどいセカンドボールの惨敗に。

なるほどね、これは良い駆け引きが始まるぞ…と思いきや、セカンドボールの惨敗から守備の距離感が悪い状態でボールを取りに行く必要が生じてしまったこと、3-4-2-1を相手にする際に必要なSBとSHのシャドウとウイングの二者択一の選択を金子と立田が誤りまくっていたことによって清水エスパルスは序盤からボコボコにされてしまいます。そして残念ながらこの構図は試合終了まで続いてしまいました。

湘南とすれば入れ食いで笑いが止まらない展開。メンバーを大きく入れ替えてもコンビネーションが取れていたのは流石のチーム作り…ですが、バーに嫌われたり、ファンソッコとフレイレと六反が猛烈に止めてしまうなどして決めきれません。湘南としては非常に勿体なかったところでしょう。

30分ほどでようやくWBに詰めるタイミングを立田が掴めてきたことでなんとか清水は持ち直してきたものの、ハーフスペースでビルドアップの逃げ口となってきたSHの金子にはべったりとマークがつき、散発的なカウンターを除けば右サイドは死に体に。それでもドウグラスが流れ、松原ー白崎のラインがうまくとれていた左サイドでつなぐことはできつつありなんとか見れるかなという前半終盤にはなりました。



後半、さすがにダメすぎるので金子→村田。村田は中に絞る金子とは異なるウインガーでタッチラインを踏んで縦にスプリントすることで清水の攻め筋に変化をもたらし立ち上がりは湘南を慌てさせることに成功しました。

とはいえ、守備のミスマッチを解決するには至らず、湘南は更にストッパーもサイド攻撃につぎ込む機会を増やすことで一層ゴールに迫ることになります。完璧に崩されても正面でストップする六反様マジ六反様。

その代わりカウンターは打ちやすくなるぞ、と思いきや北川とドウグラスの突貫は中央で粘り強くストップ。ナビスコのノックアウトラウンドと決勝を拝見した時にも感じたことですが、本当にタフになっています。ドウグラスが判定にいらつく程度には効果的でした。

湘南はナビスコヒーロー男杉岡を投入して村田が盛り返したサイドを押し返しにかかり、中2日の湘南を差し置いて清水先にへばってしまうという悲しい事態に。ヤン・ヨンソン監督もいら立ちを隠せず、(たぶん)フレイレが負傷したプレーにキレちまい退席と散々な状態。

ここからの舵取りを期待していただけにこれはとても堪えました…率直に言えば試合を投げたようで腹が立ちましたね…(反対側のサイドでの出来事だったので何が起こってたのはわからなかったのですがtwitterで知りましたw)

湘南に幾度も決定機が生まれ、CKを山のように積み上げますが、清水も篠田コーチが臨時に指揮を執り、白崎の乾坤一擲のカウンターも秋元のこれまたスーパープレーで阻止。石毛の投入で5バックとしてとりあえず水際の守備と自陣のセカンドボールはしっかりしようという形でうずくまるようにしのぐ清水、残留のためにどうしても欲しい勝ち点3に鬼気迫る執念を見せる湘南。しかしこのままタイムアップとなりました。


何も見せられなかった清水、結果だけが足りなかった湘南。推しと推しで得しかない優しい世界だと駆け付けたところ推しが揃って不幸になる二次創作でした……かなしい事件だった。




予定を変更して傷心旅行になったので海に来ました。




海は良い、いつでも受け止めてくれる…というのは人間のエゴでしょうけど。波の音と潮の香りに身をゆだねると少し客観的な見方が出来るような気がします(暗示)

………美しい結果というものは度重なる忍耐の先にあるもの。サッカーもそうでしょう。湘南にしてみれば破滅的な日程でもタイトルホルダーに相応しい湘南の強さを出せたことは誇らしいでしょうし、清水にとってもプラン通りにならず監督がキレてしまっても選手の力だけで踏ん張ることが出来たというのは8月9月で落とした勝ち点の多さを思えば進歩と言えるでしょう……

それでもまあ、推しが両方とも不幸という結果はだいぶ悲しいのですけれど。次節の土曜日には切り替わります。それがファンというものの救いがたいSA・GAでもありますから…w


優れた料理は芸術であり、すべての芸術は忍耐である 
―剣名舞・加藤唯史「ザ・シェフ」35巻より



それでは。