QBだけでCBTに合格した話

QBさえやればCBTは受かる

この文言をご存知ですか。

はじめまして。国公立大学医学部4年生のやまだです。

インターネットで「CBT 勉強法」と検索すると、意識の高い学生さんによるビデオ講座や参考書を利用した効率的に高得点を叩き出す方法がワンサカ出てきます。そこで、CBT受験を控える医学生の皆さんに聞きたいです。

QBさえやればCBTは受かる」という文言をご存知ですか。

この悪魔の囁きを真に受けて、実際にQBだけでCBTに挑んだ体験をまとめてみましたので、最後まで読んでいただけると幸いです。

そもそも”CBT"ってなに??

まずタイトルにもあるCBTについてです。全国の医学部4年生は翌年からの病院実習に必要な資格を取得するため、医学的知識が問われる”CBT”と臨床的実技を問われる”OSCE”という試験に合格しなければなりません。CBTという試験は各大学で合格基準に若干の差異はありますが、概ね「受験者の下位約2%が落ちる試験」だと思っていただければいいと思います。要するにほとんどの学生がスイスイ受かるというわけです。しかしナメてかかると余裕で落ちます。かくいう私もありがたいことに合格通知をいただきましたが、結果が出るまでは内心ヒヤヒヤでした。そこで来年以降にCBTを受験する医学生たちには楽な気持ちで合格してほしいので、取り急ぎ学習方法をまとめさせていただこうと思いました。私自身、満足のいく結果ではなかったので(得点率やIRTはご想像にお任せして)、反省点や改善点を含めて参考程度に読んでいただければ幸いです。

マジョリティーになるために

CBTに限らず多くの医学部の試験に共通することですが、周りの流れに逆らわず、道を大きく踏み外すことなく、いわゆるマジョリティーの中に居座り続ければ自ずと合格していきます。そこで私の学習方法の前に昨今の大多数の医学生がどうやって勉強しているのかを紹介します。医学部に入ると膨大な量の暗記に次ぐ暗記をイメージする方がいるかもしれませんが、最近ではほとんどの学生が各予備校が配信しているビデオ講座や「病気がみえる」(通称:病みえ)シリーズなどの参考書を購入して効率的に勉強するといったスタイルが主流となっております。今年度はコロナの関係もあり、自宅での勉強を余儀なくされた学生も多かったのではないでしょうか。そんなこともあり、少なくとも私の周りではビデオ講座や病みえでインプット、QBなどの問題集でアウトプットをするといった学習方法が圧倒的多数派を占めておりました(ちなみに、QBとはQuestion Bankの略称で、端的にいうと本番の形式に合わせて演習ができるオンラインの問題集(有料)です)。そんな中、CBTの勉強を始めようとしていた当時の私は、「病みえが欲しいけど経済的に手が出せない!」ことに加えて、「iPad(に代表されるタブレット端末)を持っていないから、ビデオ講座を最大限に活用できない!」と考えた結果、QBだけで勉強する意志を固めました。つまり大多数の学生がこなしているインプットを疎かにし、アウトプットに注力した勉強方法ということです。

前置きが長くなってしまいましたが、来年以降にCBTを受験する学生に向けてさらに前置きしておくと、「iPadとビデオ講座と病みえは絶対に購入してCBTを含めた医学部の勉強に臨んでほしい」ということです。それがマジョリティーの中に身を置き、コンスタントに合格を手にする一歩目となります。

こんな学生さんに向けてます

実はこのnoteは非常に狭い範囲を対象にしているかもしれません。では、どのような学生さんに向けているのかを明確にするために、私がどんな学生であるかをイメージしてもらおうと思います。私は大学入学後から留年はせずストレートでここまで来られていますが、道中では再試験に引っかかったりレポートでなんとか単位をもらったりと、成績としては学年の下の中に位置していました。決して意識が低いわけではないですが、勉強習慣は身についておらず、連日勉強しようものなら身体中に蕁麻疹が出て痙攣発作を起こしてしまいます(大嘘)。自分なりに周りの流れに身を任せてはいて、特に目立って奇をてらうような行動はしておりませんでした。今回、ビデオ講座を取らずにQBだけで突撃したのは経済的にiPadを買える余裕がなかったために仕方なくマイノリティー寄りのムーブをした次第であります。そういうこともあるので想像としてはこんな学生さんに参考にしていただきたいなぁ、と考えております。

・QBだけでCBTを通過したい人

・できるだけお金をかけずにCBTに合格したい人

・iPadを持っていないからビデオ講座を買おうか迷っている人

「効率的に合格したい」「高得点を目指す」というような意識とポテンシャルが高い学生さんは、何度も申し上げるようですが、iPadとビデオ講座を買って淡々と勉強に励んでください!私のような要領は悪く能力は平凡、でも多少のやる気はあるという同志にはぜひ参考にしていただきたいと感じます。

QBを利用するにあたって

QBはアプリやWebサイトで五選択肢択一、多選択肢択一(以下、多選択肢)、順次回答四連問五選択肢択一(以下、4連問)など本番の形式に沿った問題を解ける有料の問題集です。QBを最大限に活用するために私は次のような点に着目しました。それぞれの特徴に軽く触れてから具体的な勉強内容について述べていきます。

・分野ごとに演習ができる

・解いた問題に◎○△×をつける機能がある

・周りの学習状況と自分の到達度を比較して確認できる

まず、分野ごとに演習するメリットについてです。ここでいう分野とは基礎医学や臨床医学などの区分のことと、CBTの形式として大きく6つに分けられるそれぞれのブロックごとの区分のことも意味します。当然、1〜4年までに勉強してきたことをもう一度勉強することになるわけですが、その上で「科目ごとに復習する」のと「ごちゃ混ぜに復習する」のでは、演習する前後でどれくらい知識が整理できたかに大きな違いが生まれると考えます。(一回演習しただけで全知識が整理できるスーパー人間は置いといて。)時間はかかりますが、基礎医学なら細胞生物学だけ!とか生化学だけ!とか、あるいは臨床医学なら循環器だけ!などひとつの分野に集中して勉強した方が、比較的効率の良い勉強になります。その点でQBは自分でその日に勉強したい分野に絞った問題を表示できるので非常に快適でした。

次に演習した後の問題の取り扱いについてです。スーパー人間は1回解いた問題は2度と間違えませんが、凡人は何回解いても何回も間違える苦手な問題がいくつもあります。ここで活用したのが解いた問題にマークをつける機能です。QBでは◎○△×の4種類があり、それぞれの問題によって自分でマークをつける機能があります。この4種類以外にブックマーク機能もあり、計5種類に問題を振り分けることができます。この機能は2周目以降の復習の際に非常に役に立ちました。

そして最後に周囲の学習状況が分かる機能です。この機能は同じ大学内でQBを購入している学生限定にはなりますが、それぞれの演習量と正答率をグラフで確認することができます。と言ってもQBを購入していない学生は0人に近いのでほとんど全員の学習状況を把握できます。具体的には自分の位置が赤丸、他の学生は青丸で表される散布図をイメージしてもらうといいです。この機能のおかげで、「自分は演習量は十分だからゆっくり知識の整理をしよう」とか、「もうちょっと量をこなす方向で頑張らないといけないな」とか、ある程度の勉強の指針が立てやすくなりました。

他にも解説が詳しかったり、問われていることの周辺事項やゴロを同時に学べたり、シンプルにUIが使いやすかったりなど良いところは多いですが、その中でも私の勉強方法の中心にしていた機能をまとめてみました。これらを踏まえて具体的に私がどのように勉強していたのかを次の項でご紹介します。

QBだけでCBTに合格した勉強方法

先述の通り、CBTまでの私の成績はズタボロでした。学内試験をギリギリで通過しているので知識が定着しているはずもなく、QBで演習をしたところで1問も解けないことは目に見えていました。危機感をもった私はCBT本番の約4ヶ月前に重い腰を上げ、CBT対策に乗り出しました。最初に私が掲げた目標は、

「毎日、QB10問は解ききる!!」

でした。分からない問題をひたすら10問解くのって意外と精神的に負担がかかります。毎日、iPhoneのリマインダーアプリで朝9時に「QB10問」の文言と共に通知がやってきて、演習せずに放置しようものなら終日、通知センターのトップに君臨し続けます。そんなプレッシャーに打ち勝った者は精神的苦痛から抜け出せると共に演習量を積み上げることができるのでした。しかし実際のところ、QBにはざっと3600問ほどの問題が収録されており、何周もしようと思えば計算で1日に解くべき大まかな問題数の目安はつきます。例えば、本番4ヶ月前から勉強を始めてQBを3周したい場合は、3600×3÷30日×4ヶ月=90問/日!!私は毎日10問解けるわけもなくサボり気味な日もあったため結果的に2周も満足にはできませんでした。

このままでは演習量不足で落ちる未来が目前に迫っています。そのため私は最初の10問をとっかかりに、その流れと勢いで解いていく作戦に出ました。受験テクニックではありませんが、やる気がない時に勉強する方法として「とりあえず机に向かってみる」という方法を聞いたことがないでしょうか。これは何かの作業の際にとりあえず単純作業から始めると一時的に作業量が上昇するという現象があるらしいです。その作戦でモリモリ演習量を積み重ねました!!!なら困らないのですが、少なくとも100問を超える日もあれば数問に止まる日もあり、だいたい本番4ヶ月〜2ヶ月前まではこの方法で多選択肢と4連問などの特殊な形式を除いた問題を全てこなすことができました。

ここで軽くアドバイス。まず最初の1周はひたすら問題を解いて出題範囲の大枠を掴むことが重要です。医学部4年生といえど必要とされる知識は限られており、臨床的重要度の高い疾患や頻度の高い疾患が多く出題されます。それらを体感することが1周目の目標です。ひとつだけ注意してほしいことがあり、それがマーク機能の活用です。2周目以降のために、「自信をもって解ける問題には○」「自信がないけど正解だった問題には△」「シンプルに分からなかった問題には×」など自分なりの指標をもって解いた問題にマーキングしてください。そうすることで優先して解くべき問題が絞られるため必然的に時間の節約になります。私はここが不十分で後々苦労したので、ぜひ意識してほしい部分です。

2周目以降(私の場合は本番2ヶ月前〜)には×をつけた問題を△や○にしていく作業に入ります。私の場合、1周目が終わった時点で全体の50%以上を間違えていたので大変でした。1周目でも十分な正答率だった優秀な学生さんには、2周目以降で○がついた問題にも目を向けて正答の理由や誤答の理由まで説明できるくらいになった問題には◎をつける作業をオススメします。また、2回以上間違えた問題は解説を読み込んでください。解答解説の他に基礎事項や周辺知識、あるいはゴロがある場合にはそこまで目を通してください。QBだけで挑む学生さんにぜひやっておいてほしいのが、本番直前に見るまとめノートです。ノートと言っても私は紙に書かず、QBを解いていて重要だと思った部分のスクリーンショットや解説のコピー&ペーストで構成したメモです。私はメモアプリを利用しましたが、これに関しては自分の使いやすいものならなんでもいいと思います。医学部受験の際に得たノウハウを使えば作成は容易かもしれません。私の場合はノート作りをしてこなかったのでここの部分で非常に苦労しました。コツコツ作っておくと直前で焦らず済むので非常にオススメです。

直前期(本番1ヶ月前〜)に入るとビデオ講座を受講していた周りの学生が演習を始めるので私の演習量はあっという間に追い抜かされていきました。私は本番2週間前になってから、やっと多選択肢や4連問に手をつけ始めました。周囲の学習状況と比較して焦っている学生にオススメなのが4連問です。4連問はひとつの問題に4つ解くべきパートが連続しているので演習量が一気に増えて非常に見栄えがいいです。私はメンタルが弱い方ですが、4連問を解き、見た目の演習量をグイグイ上げていくことででなんとかメンタルを保つことができました。多選択肢は五選択肢択一より問題文の誘導が明確なので比較的解きやすいと感じるかもしれません。加えてやっておいてほしいことが、本番直前(想定としては前日〜当日の朝)に解きたい問題のストックです。私はQBのブックマーク機能を利用しましたが、ここのストックには○でも×でも関係なく、その問題を解くと同時に周辺事項や基礎知識まで再確認できる良問を選んでください。この良問ストックは選んでいる間も解いた後も必要な知識の選別をすることができ、直前期にするべきことを絞ることができるので過剰に焦ることなく本番を迎えることができます。

QBを使った勉強法のまとめとして、

・1周目で出題範囲を体感する。

・2周目以降で必要な知識を整理する。

・まとめノート作り、良問ストックがあると直前に焦らない。

この3本柱をCBTに合格できるQBの勉強法とさせていただきます。

QB以外に使った教育資源などのご紹介

「QBだけで」という言葉には実はウソがありまして、CBTに向けての勉強に役立ったかは別として、QBの他にも利用した教材を少しご紹介したいと思います。

まず、模試です。CBTの模試はQBを作っているMedic Media社さんの模試(通称:MM模試、QA模試)はもちろん各予備校さんが販売されている模試を受けることができます。模試は実力を測るためにも非常に有用ですし、全国・学内の自分の学習習熟度や本番の形式を時間と共に感じることにも非常に役に立つので、一度は受けることをオススメします。私の場合は復習や知識の再確認などを含めて模試を受けた後が最も勉強の捗ったタイミングだったと感じています。

次に、Youtubeをはじめとする動画サイトです。私はビデオ講座を買わなかったのでインプットの作業にかなり苦労しました。QBや教科書など文字を読むだけでは知識の定着に時間がかかります。問題を解いていてどうしても不安な分野は、動画を使って目と耳で学びたいと感じたので、そこで利用したのがYoutubeでした。主に基礎医学の範囲ですが、細胞生物学や生化学、解剖生理などは取り扱っているチャンネルが非常に多くとても有意義な部分が多かったように感じます。もしつまづいた時には息抜きも兼ねて動画サイトを利用してみることもオススメします。なお、目的の動画から離れて趣味の動画を見てしまうと時間が一瞬で溶けていくので注意が必要です。

私の場合は出来ませんでしたが、他にも大学の授業で扱った資料や持っている教科書を活用して勉強の助けにするとより良かったと反省しております。

まとめ

以上がQBを活用してCBTに合格することができた私の勉強法です。図や表もなくダラダラと長ったらしい文章でしたがここまで読んでくださりありがとうございました。最後に、医学の勉強に励んでいる学生さんに伝えたいこととしては、

「勉強友達を作って一緒に勉強しよう!!」

です。特に低学年の方には強くオススメします。友達はチートです。試験に受かり単位を取ることに固執しすぎた結果、多くの友達を失った私は孤独に勉強をするしかなく、非常に苦労しました。今後もずっと後悔することでしょう。QBを使った勉強法をお伝えしましたが、友達がいれば勉強法などなんでもいいです。友達はチートです。なぜかは知らないですが、チートアイテムなので試験に受かります。一生懸命な勉強も大切ですが、部活や遊びを通じて友達をたくさん作り、華やかな大学生生活を謳歌してください!!


それでは。



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